コウシュンウマノスズクサ (学名 : Aristolochia zollingeriana )は、ウマノスズクサ科 ウマノスズクサ属 に属する多年性 つる草 の1種である。つるは無毛、花は葉腋 に3–4個集まってつき、花筒と子房 の間に短い柄がある。日本の宮古諸島 から台湾 、東南アジア に分布し、日本では絶滅危惧II類に指定されている。
特徴
多年性 のつる草 であり、無毛、長さ5メートル (m) 以上になることもある[ 1] [ 11] 。葉 は互生し、三角状卵形からひし形状心形、長さ5–12センチメートル (cm)、幅 5–9 cm、基部は浅い心形、先端が尖り、革質、表面は光沢があり、裏面は淡白色で細毛が密生する[ 1] [ 11] [ 12] 。葉柄 は長さ 1.5–3.5 cm[ 1] 。
花期は6–8月[ 1] 。花 は葉腋に3–4個集まってつき、花柄は長さ 1–1.5 cm[ 1] 。花筒(萼筒、花被筒)は淡緑色から淡褐色、長さ 3–4 cm、湾曲し、子房との間に短い柄があり、基部が球形にふくらみ、先端(舷部)の上部は舌状に大きく拡大、舷部両縁は反り返る[ 1] [ 11] 。舷部内面は褐色を帯び、粗毛がある[ 1] [ 11] 。花筒内部は毛があるが、のちに脱落する[ 1] 。
果実 は蒴果 、倒卵状球形、長さ 5–6 cm、基部から6裂する[ 1] [ 11] 。種子は扇形で扁平、長さ 6–7 mm、周縁に翼がある[ 1] 。染色体数は 2n = 12[ 1] 。
他のウマノスズクサ属 の植物と同様、有毒なアルカロイド やアリストロキア酸 を生成する[ 13] [要出典 ] 。ジャコウアゲハ やベニモンアゲハ はコウシュンウマノスズクサを食草 とし、体内に有毒成分を蓄積する事で、鳥などに捕食 されないようにしている[要出典 ] 。
分布・生育環境
南西諸島 の宮古諸島 (宮古島 、池間島 、大神島 、伊良部島 、来間島 )と尖閣諸島 (魚釣島 )、台湾 、フィリピン 、ベトナム 、マレー に分布する[ 3] [ 1] [ 11] 。海岸や低地の明るい林縁部に生育する[ 11] 。
保全状況評価
絶滅危惧II類 (VU) (環境省レッドリスト )
環境省 および沖縄県 では、絶滅危惧II類に指定されている[ 14] [ 11] 。
分類
宮古島 で発見されたコウシュンウマノスズクサには、当初は Aristolochia tagala の学名 が充てられていた[ 12] 。またその変種(A. tagala var. kankaoensis )とすることや Aristolochia roxburghiana の亜種(A. roxburghiana subsp. kankauensis )とすることも提唱されていた[ 12] 。その後、コウシュンウマノスズクサには一時的に Aristolochia tubiflora の名が充てられたこともあったが[ 11] [ 14] 、2022年現在では Aristolochia zollingeriana の学名が充てられている[ 2] [ 3] [ 4] [ 5] 。
脚注
出典
^ a b c d e f g h i j k l m n 東馬哲雄 (2015). “ウマノスズクサ属”. In 大橋広好, 門田裕一, 邑田仁, 米倉浩司, 木原浩 (編). 改訂新版 日本の野生植物 1 . 平凡社. pp. 57–59. ISBN 978-4582535310
^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003年). “コウシュンウマノスズク ”. BG Plants 和名-学名インデックス(YList) . 2023年1月28日 閲覧。
^ a b c d e f g h “Aristolochia zollingerianam ”. Plants of the World Online . Kew Botanical Garden. 2023年1月28日 閲覧。
^ a b GBIF Secretariat (2022年). “Aristolochia zollingeriana Miq. ”. GBIF Backbone Taxonomy . 2023年1月28日 閲覧。
^ a b 島袋敬一 (1997). “コウシュンウマノスズクサ”. 琉球列島維管束植物集覧【改訂版】 . 九州大学出版会. p. 194. ISBN 4-87378-522-7
^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Aristolochia tubiflora auct. non Dunn ”. BG Plants 和名-学名インデックス(YList) . 2023年1月28日 閲覧。
^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Aristolochia tagala auct. non Cham. ”. BG Plants 和名-学名インデックス(YList) . 2023年1月28日 閲覧。
^ 佐々木望 (1883-1927) 動物学者 or 佐々木舜一 (1885-1960) 植物学者
^ 佐々木望 (1883-1927) 動物学者 or 佐々木舜一 (1885-1960) 植物学者
^ 佐々木望 (1883-1927) 動物学者 or 佐々木舜一 (1885-1960) 植物学者
^ a b c d e f g h i j 新城和治・新島義龍・洲鎌栄徳・横田昌嗣 (2018). “コウシュンウマノスズクサ”. 改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(レッドデータおきなわ)第3版-菌類編・植物編- . 沖縄県. p. 167
^ a b c 山崎敬 (1975). “コウシュンウマノスズクサについて (雑録)”. 植物研究雑誌 50 (11): 341. CRID 1522825130242942208 .
^ Jou, J. H., Li, C. Y., Schelonka, E. P., Lin, C. H. & Wu, T. S. (2004). “Analysis of the analogues of aristolochic acid and aristolactam in the plant of Aristolochia genus by HPLC”. Journal of Food and Drug Analysis 12 (1): 40-45. doi :10.38212/2224-6614.2668 .
^ a b “コウシュンウマノスズクサ ”. 日本のレッドデータ 検索システム . 2023年1月28日 閲覧。
外部リンク