クロワデュノール(欧字名:Croix du Nord、2022年3月21日 - )は、日本の競走馬[1]。主な勝ち鞍に2024年のホープフルステークス、東京スポーツ杯2歳ステークス。
馬名の意味は、北十字星(フランス語)[2]。
経歴
デビュー前の背景
2003年に誕生したイギリスの競走馬であるライジングクロス(Rising Cross)は、繁殖牝馬のウッドライジングと種牡馬のケープクロスとの間から生産された。1歳時には、エージェントのデイヴィッド・ミントンに2万ユーロで購入され、馬主であるデイヴ・ネヴィソンの所有馬となり、調教師のジョン・ベスト厩舎に預託された。体高14.3ハンドというポニー級の小柄な馬格で知られており[注 1]、3歳時の2006年にはオークスステークスでアレクサンドローヴァの2着に入った後、ゲイリー・タナカに所有権が移り、アイリッシュオークスで3着、パークヒルステークス(英語版)を制するなど、実績を残した。その牝系は中長距離の実績が目立つ[注 2]。同馬は2008年に日本へと輸入され、2012年に誕生したマンハッタンカフェ産駒のアースライズは、2015年のフラワーカップ(GIII)2着、2016年の愛知杯(GIII)、2017年のマーメイドステークス(GIII)3着などの成績を残した[5]。2022年、キタサンブラックとの間に本馬が誕生した[5]。
2歳(2024年)
2024年6月9日、東京競馬場第5レースの2歳新馬戦(芝1800m)で、北村友一を鞍上にデビュー[注 3][6]。パドックでは幼い仕草を見せたが、レースでは好スタートを決め、2番手に付けて追走[6]。直線に入ると、逃げた二冠牝馬であるチェルヴィニアの半弟アルレッキーノを含む後続を離し、サンデーレーシングの所有馬同士の競り合いになったが、直線で突き放して新馬勝ちを決めた[6]。勝ち時計の1分46秒7は2歳の6月の芝1800メートルで最速記録[6]。また3歳戦を含めた同コースの新馬戦最速タイムであった[7]。
陣営は次走に重賞初挑戦となる東京スポーツ杯2歳ステークスに参戦を表明[8]。11月16日、「出世レース」[注 4]の同競走はキャリア1戦馬が人気の中心となり、本馬に次ぐサートゥルナーリア産駒のレッドキングリーが2番人気、キズナ産駒のサトノシャイニングが3番人気に支持された[5]。+24kgと大幅に増加した馬体重に加え、調教の動きは本来の迫力を欠き、陣営によれば完調手前の状態であった。[5][9]。レースではサトノシャイニングが主導権を取り、レッドキングリーが2番手追走、本馬は3番手に控えて追走。[5]。3コーナーから位置を上げて先頭に並びかけ、直線半ばではサトノシャイニング、レッドキングリーとの激しい追い比べとなったが、最後は本馬が競り合いを制し、サトノシャイニングに3/4馬身差をつけて重賞初勝利となった[5]。
11月20日、ホープフルステークスへの参戦を表明[10]。道中は好スタートを切ると、中団に付け脚を溜める。1000m61秒4のスローペースの中、残り800mから早めに動き前団へ。直線で一気に末脚を炸裂させ、先頭のファウストラーゼンを交わし、3連勝でGI初制覇を飾った[11][12]。
競走成績
以下の内容は、netkeiba.com[13]およびJBISサーチ[14]の情報に基づく。
競走日 |
競馬場 |
競走名 |
格 |
距離(馬場) |
頭 数 |
枠 番 |
馬 番 |
オッズ (人気) |
着順 |
タイム (上り3F) |
着差 |
騎手 |
斤量 [kg] |
1着馬(2着馬) |
馬体重 [kg]
|
2024.06.09
|
東京
|
2歳新馬
|
|
芝1800m(良)
|
11
|
6
|
6
|
006.10(3人)
|
01着
|
R1:46.7(33.8)
|
-0.4
|
0北村友一
|
55
|
(アルレッキーノ)
|
480
|
0000.11.16
|
東京
|
東スポ杯2歳S
|
GII
|
芝1800m(良)
|
9
|
4
|
4
|
002.20(1人)
|
01着
|
R1:46.8(33.3)
|
-0.1
|
0北村友一
|
56
|
(サトノシャイニング)
|
504
|
0000.12.28
|
中山
|
ホープフルS
|
GI
|
芝2000m(良)
|
18
|
3
|
6
|
001.80(1人)
|
01着
|
R2:00.5(34.9)
|
-0.3
|
0北村友一
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56
|
(ジョバンニ)
|
496
|
血統表
脚注
注釈
- ^ 厩舎に到着したとき、ネヴィソンは「地元の乗馬学校と送り先を間違えたのではないか」と疑った。タイムフォーム誌は、馬混みをさばいて抜け出したパークヒルステークスではその体格が活かされたと評した。
- ^ ウッドライジングは平地競馬では10ハロン競走の優勝馬。ウッドライジングの母ボッドハムは12ハロンおよび13ハロン競走の勝ち鞍、祖母クレイは12ハロン競走の勝ち鞍がある。また、クレイはダービーステークスを制したブレイクニーおよびモーストン(英語版)の半姉妹である。
- ^ クラシック競走を見据え、東京の新馬を使う関西馬は多数おり、11頭立ての同競走には本馬を含めて4頭の関西馬が出走していた[6]。
- ^ 2024年の施行時点で、歴代28頭の同競走優勝馬のうち、半数である14頭がその後JRAの平地GI競走に優勝していた[5]。GII昇格初年度の2021年には同じキタサンブラック産駒のイクイノックスが優勝している[9]。
出典
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o “クロワデュノール”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2024年11月16日閲覧。
- ^ “競走馬情報 クロワデュノール”. 日本中央競馬会. 2024年11月16日閲覧。
- ^ a b c d e f g 『優駿 Book in Book 重賞プレイバック』2024 vol.11、20頁。
- ^ a b c d e 横手2024a、86頁。
- ^ 「東京芝千八の新馬戦レコード!キタサンブラック産駒クロワデュノールが快勝/新馬戦」『日刊スポーツ』。2024年11月16日閲覧。
- ^ 「クロワデュノールは東京スポーツ杯2歳Sを視野 初戦は東京芝1800メートルの新馬戦最速タイムで圧勝」『サンスポZBAT!』。2024年11月16日閲覧。
- ^ a b 横手2024b、82頁。
- ^ 「【注目馬動向】2戦2勝のクロワデュノール ホープフルSの鞍上は引き続き北村友一騎手を予定」『スポーツ報知』。2024年12月9日閲覧。
- ^ 「【ホープフルS】1番人気のクロワデュノールが無傷3連勝でG1初制覇 昨年レガレイラVの出世レース制した」『スポーツ報知』2024年12月28日。2024年12月28日閲覧。
- ^ 「【ホープフルS】クロワデュノールが末脚炸裂させて快勝!無傷3連勝で来春のクラシック戦線の主役に」『サンスポZBAT!』2024年12月28日。2024年12月28日閲覧。
- ^ “クロワデュノールの競走成績”. netkeiba.com. ネットドリーマーズ. 2024年11月16日閲覧。
- ^ “クロワデュノール 競走成績”. JBISサーチ. 2024年11月16日閲覧。
- ^ a b c “血統情報:5代血統表|クロワデュノール”. JBISサーチ. 日本軽種馬協会. 2024年11月16日閲覧。
- ^ a b c “クロワデュノールの血統表|競走馬データ”. netkeiba.com. ネットドリーマーズ. 2024年11月16日閲覧。
- ^ “ライジングクロス(GB)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2024年11月16日閲覧。
参考文献
- 横手礼一『優駿』2024年8月号、中央競馬ピーアール・センター、2024年、86-87頁。
- 横手礼一『優駿』2025年1月号、中央競馬ピーアール・センター、2024年、82-83頁。
- 『優駿 Book in Book 重賞プレイバック』2024 vol.11、『優駿』2025年1月号付録、中央競馬ピーアール・センター、2024年。
- Timeform (2007) (英語). Racehorses of 2006. Portway Press Ltd. ISBN 978-1901570632
外部リンク
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2010年代 | |
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2020年代 | |
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表記はGI昇格後についてのみ |
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(旧)最優秀3歳牡馬 |
1950年代 | |
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1960年代 | |
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1970年代 | |
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1980年代 | |
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1990年代 | |
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2000年代 | |
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最優秀2歳牡馬 |
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- 1 2001年より馬齢表記法が数え年から満年齢に移行
*2 1954-1971年は「啓衆社賞」、1972-1986年は「優駿賞」として実施 *3 1986年は2頭同時受賞
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