キヤノン EOS Kiss デジタル
キヤノン EOS Kiss デジタル(キヤノン イオス キス デジタル)は、キヤノン製デジタル一眼レフカメラの入門・ファミリーユース向けシリーズである。上位機種はEOS 10Dシリーズ。 ここではEOS Kiss デジタルと、後継機種のEOS Kiss デジタルN/X、EOS Kiss X2-X10/X50/X6i-X9i/X70、及びEOS Kiss Fについて取り上げる。 なお、2018年に発売されたEOS Kiss M(海外名EOS M50)は、EOS M5の後継機となるミラーレス一眼カメラである。このため、レンズマウントはEF-Mレンズマウントであり、当記事で取り上げているカメラのEF-Sレンズマウントのレンズとは互換性がないことに注意されたい。 EOS Kiss デジタル(初代)2003年9月20日発売。一眼レフカメラのユーザー層を広げたEOS Kissシリーズのデジタル版として登場、上位機種EOS 10Dと同等の画素数の撮影素子を搭載しながら、ボディ単体での実売価格が12万円前後(レンズキットは14万円前後)という低価格を実現させ、普及型デジタル一眼レフカメラの先駆けとして注目された。ライバルメーカーへの影響は大きく、後に登場するニコン D70は正式発表前に「開発発表」として早々と公表されるなど異例の対応が取られた。当初はシルバーボディのみであったが、2004年4月24日にブラックボディが追加発売された。アメリカでの名称はEOS DIGITAL REBEL、ヨーロッパ、アジア、オセアニアでの名称はEOS 300Dである。なお、専用レンズ(EF-S18-55mm F3.5-5.6 USM。EOS 20Dなど、当機種以降のAPS-Cサイズセンサー採用機種でも使用可能)が開発されており、このレンズとのセット販売もされた。2004年にはカメラ記者クラブ特別賞を受賞している(グランプリはD70)。 主な仕様
EOS Kiss デジタル N(2代目)2005年3月17日発売。EOS Kiss Digitalの後継機種。新設計のシャッターユニット(フィルム巻上げ音に似たシャッター音を発する)やシャーシ、小型バッテリーの採用によりボディの小型軽量化を実現、有効画素数もEOS 20Dに迫る800万画素にまで向上した。 アメリカでの名称はEOS DIGITAL REBEL XT、ヨーロッパ、アジア、オセアニアでの名称はEOS 350Dである。また、販売促進用としてNew EOS Kiss Digitalの名称も用いられ、当初よりシルバーとブラックの2種類のボディが用意された。 主な仕様(初代との変更点のみ)
その他変更点
EOS Kiss デジタル X(3代目)2006年9月8日発売。EOS Kiss Digital Nの後継機種。キヤノンのデジタル一眼レフでは初の、ローパスフィルタ上のゴミを振動で除去する機能が搭載された(原理はオリンパス E-1などとほぼ同様)ほか、画素数も上位機種のEOS 30Dを上回る1,010万まで引き上げられた。 アメリカでの名称はEOS DIGITAL REBEL XTi、ヨーロッパ、アジア、オセアニアでの名称はEOS 400Dで、先代同様、当初よりシルバーとブラックの2種類のボディが用意された。 なお、4代目のKiss X2が発売されても低価格モデルとして2008年6月のKiss F発売まで併売された。 主な仕様(2代目との変更点のみ)
EOS Kiss X2(4代目)2008年3月21日発売。EOS Kiss Digital Xの後継機種であり上位機種(EOS Kiss Digital Xは2008年6月まで併売、その後EOS Kiss Fへ)。有効画素数1,220万画素のCMOSセンサー、DIGIC III、ライブビューを搭載する。なお、銀塩EOS Kissシリーズが2007年をもって生産終了したことから、本モデルより機種名から「デジタル」が省かれた。また、ブラックボディのみとなるほか、記録媒体もSDHC/SDカードとなる。レンズキットに用意されるレンズには手ぶれ補正機構(IS)を持つモデルを用意する。北米ではEOS REBEL XSi、ヨーロッパ、アジア、オセアニアではEOS 450Dの名称で販売される。 主な仕様(3代目との変更点のみ)
その他変更点
EOS Kiss F(4代目廉価版)2008年6月27日発売。Kiss X2の廉価版の位置づけの機種。X2発売後も低価格モデルとして併売されていたEOS Kiss Digital Xの販売戦略上の後継機種といえる。北米ではEOS REBEL XS、ヨーロッパ、アジア、オセアニアではCanon EOS 1000Dの名称で販売される。 EOSシリーズ(デジタル)では最軽量ボディを誇る。 X2と比較すると、DIGIC IIIやライブビュー、手ぶれ補正レンズの標準搭載などは据え置きながら、モニターサイズ(2.5型、 約23万画素)や画素数(1010万画素)をEOS Kiss Digital Xと同一化、一部モードでの連写性能を落とすなどのスペックダウンを施し、X2より低価格かつ小型軽量にしたモデルである。 初代EOS Kiss Digital/EOS Kiss Digital Nや銀塩カメラからの買い替え層も狙っている。当然X2もそのまま併売されるので、以降キヤノンのエントリー機が2ラインになった。記録媒体はX2に引き続きSDHC/SDカードとなり、これによりソニー・オリンパス以外の全社がデジタル一眼レフのエントリーモデルではSDカードを使用することになった。また、本モデルは発売開始当初、レンズ2本のダブルズームキットが用意されていなかったが、2008年9月5日より発売された。 なお、これはフィルムカメラ時代のEOS Kiss LiteとEOS Kiss 5及びその後継のEOS Kiss 7の関係に近い。また、ターゲットも上記のようにフィルムカメラユーザーも視野に入れたものであることから2007年半ばをもって生産終了した銀塩Kissの後継機ともいえる。 主な仕様(Kiss X2との変更点のみ)
EOS Kiss X3(5代目)2009年4月24日発売。EOS Kiss X2の後継にあたる機種。北米ではEOS REBEL T1i、ヨーロッパ、アジア、オセアニアではCanon EOS 500Dの名称で販売される。 EOS Kiss (Digital) シリーズ史上、初めて動画撮影に対応した機種。有効画素数は、約1,510万画素で、ハイアマチュア向けのEOS 50Dと同じ画素数である。レンズキットに含まれるレンズは、EOS Kiss X2と同じもので、手ぶれ補正機構を備える。 主な仕様(Kiss X2との変更点のみ)
フルHDでの動画撮影に対応している。 動画関連
マニュアルでの絞り設定やISO感度設定はできない(先にフルHD動画撮影に対応した上位機種のEOS 5D Mark IIでは、ファームウェアのアップデートにてこれらに対応した)。 外部マイク端子も付いていないため、音声は内蔵マイクからのみ記録可能である。設定すれば音声を記録せず動画のみの撮影も可能。 キットレンズはUSMではなくAFの駆動音が大きいため、キットレンズでの撮影中にAFを使用すると駆動音が記録されてしまうことがある。 EOS Kiss X4(6代目)2010年2月26日発売。EOS Kiss X3の後継にあたる機種。北米ではEOS REBEL T2i、ヨーロッパ、アジア、オセアニアではCanon EOS 550Dの名称で販売される。 有効画素数は、約1,800万画素で、APS-Cサイズセンサーを搭載するEOS DIGITAL最上位機種のEOS 7Dと同じであり、他社のエントリー機よりも大きかった。また、新たにマニュアル露出や動画クロップ機能を搭載し、フルHD撮影時の撮影可能フレームレートが向上するなど、動画撮影機能が進化している[2][3]。 静止画撮影時、±2段までだった露出補正の設定が±5段まで可能になった。高感度性能の向上も見られる[2]。 液晶モニターにおいて、X3の3型/約92万画素、画面比4:3から、3型ワイド/約104万画素、3:2へと精細化・ワイド化を実現した[2]。 主な仕様(Kiss X3との変更点のみ)
動画関連
EOS Kiss X5(7代目)2011年3月3日発売。EOS Kiss X4の後継にあたる機種。北米ではEOS REBEL T3i、ヨーロッパ、アジア、オセアニアではCanon EOS 600Dの名称で販売される。有効画素数は、約1,800万画素で、新たにバリアングル液晶となった。また、これまでの全自動に加えピクチャースタイルも自動判別するシーンインテリジェントオートや動画デジタルズームを搭載するほかは、スペックはキヤノン EOS 60Dと同等である[4]。 主な仕様(Kiss X4との変更点のみ)
動画関連
EOS Kiss X50(7代目廉価版)2011年3月29日発売[5]。Kiss X5の廉価版の位置づけの機種。X4発売後も低価格モデルとして併売されていたEOS Kiss X3の販売戦略上の後継機種といえる。北米では、EOS REBEL T3、ヨーロッパ、アジア、オセアニアではCanon EOS 1100Dの名称で販売される。また、EOS DIGITAL初のレッドモデルを用意するほか、標準ズームレンズに単焦点レンズ(EF 50mm F1.8 II)も同梱した「こだわりスナップキット」も発売される[6]。なお、レッドモデルが用意されるのは日本のみである[7]。 主な仕様(Kiss X5との変更点のみ)
EOS Kiss X6i(8代目)2012年6月22日発売。EOS Kiss X5の後継にあたる機種。北米ではEOS REBEL T4i、ヨーロッパ、アジア、オセアニアではCanon EOS 650Dの名称で販売される。有効画素数は約1,800万画素とKiss X4以来据え置かれているが、動画記録に適した新AFシステム「ハイブリッドCMOS AF」と、EOS DIGITALで初めてとなるタッチパネル液晶を搭載する。また、動画サーボAFが可能となり、ステッピングモーターを搭載したレンズ[8]を使用することで、AF駆動音を気にすることなく、スムーズな動画撮影が行える[9][10]。 主な仕様(Kiss X5との変更点のみ)
EOS Kiss X7i(9代目)
EOS Kiss X7(9代目・X7iの廉価版)
EOS Kiss X70(X50の後継機)
EOS Kiss X8i (10代目)
EOS Kiss X80(X70の後継機)
EOS Kiss X9i (11代目)
EOS Kiss X9
一覧表
脚注・参考文献
関連項目外部リンク
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