カンゾー先生
『カンゾー先生』(カンゾーせんせい)は、1998年公開の日本映画[1]。 監督は今村昌平。坂口安吾の原作を、今村とその息子である天願大介が脚色した[1][2]。出演は柄本明、麻生久美子、松坂慶子ら[1]。 日本が敗戦を間近に控えた岡山県を舞台に、患者を「肝臓炎」としか診断しないことから「カンゾー先生」と揶揄される医者と、彼を取り巻く人々の人生を描いた喜劇映画である[1]。カンヌ国際映画祭特別招待作品[3]。 キャスト
スタッフ
製作今村昌平が30年もの間温めていた企画である[2]。主人公の医者には、実際に開業医だった今村の父が投影されており、想いを込めて描いたという[2]。ラストで広島の原爆投下らしき画を見せるため、時代背景は昭和20年頃で、その時代設定では予算がかかる作品として実現は困難とされていた[2]。 キャスティング主演は当初、北村和夫に打診されたが、手術を受けたために無理となり、三國連太郎が起用。しかし、撮影の1週間目ほどで自ら降板し、別の役で出演していた柄本で撮り直されることになった(なお、緒形拳は北村に頭を下げてまで主演を希望したが、今村に断られたという[4])。三國の降板の理由について、今村側は「三國の台詞覚えが悪い」、三國側は「撮影中に膝を悪くした」と説明が分かれている[5]。後日、当時現場にいた柄本は「100テイク近く撮り直ししていた。その後、降板が決まった」と語っている。 注目を浴びたのがヒロイン、万波ソノ子役に抜擢された新人・麻生久美子[2]。当時糖尿病で足が悪くなっていた71歳の今村監督にかなりしごかれたという[2]。 撮影原作「肝臓先生」の舞台は伊豆の伊東であるが、今村はラストで広島の原爆投下を見せるため、場所を瀬戸内に設定し直している[6]。 1997年7月中旬から岡山県牛窓を中心に[1][2]、広島市や香川県小豆島などで、約4ヵ月間、全員合宿してロケが行われた[1][2]。 編集当初の完成バージョンは3時間を越えていたが、興行上の問題から配給する東映の要請で、今村は倒れそうな思いで1時間ほどカットして2時間9分に再編集して劇場公開された。今村は「当初の3時間バージョンの方がはるかに面白かった」としている[7][8]。紅谷は「監督は結構思い切りよくズバズバと切っていきました」と証言している[2]。 ロケ地宣伝キャッチフレーズは「人間は美しく、たくましきバクテリアなり」。 作品の評価興行成績柄本明と麻生久美子が多くの映画賞を獲ったが、興行は振るわず[2]。 受賞歴
脚注
参考文献
外部リンク |
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