「ウォーターフォールズ 」(Waterfalls )はTLC のシングル。全米だけでも累計1,200万枚以上(世界では2,300万枚以上)を売上げてダイヤモンドディスク となった2ndアルバム『クレイジーセクシークール 』からの3枚目のシングルで[ 7] [ 8] [ 9] [ 10] 、1995年 5月22日に発売された[ 11] 。
「ウォーターフォールズ」はビルボード 全米ホット・チャートで7週連続1位(1995年7月8日付から)を記録し、TLCにとって2回目の全米ホット・チャート1位獲得曲となった[ 12] [ 7] [ 8] [ 10] [ 注釈 1] 。R&Bチャートでは連続3週間4位(1995年7月8日付から)を記録した[ 12] [ 7] [ 8] 。
アルバム『クレイジーセクシークール』を代表する大ヒット・シングルとなったこの楽曲は、1995年のMTV ビデオ・ミュージック・アワード (1995 MTV Video Music Awards )において「最優秀ビデオ賞」(Video of the Year ) を受賞するなど、各ビデオ賞を総なめし[ 12] [ 7] [ 8] [ 13] 、1995年度の全米ヒット曲中、第2位の楽曲にもなった[ 10] [ 注釈 2] 。
制作・録音
「ウォーターフォールズ」の作詞作曲は、マルケス・エスリッジ (Marqueze Etheridge )、TLCメンバーのレフト・アイ 、リコ・ウェイド (英語版 ) とスリーピー・ブラウン (英語版 ) とレイ・マーレイ (Ray Murray )の3名から成るオーガナイズド・ノイズ (英語版 ) が手掛け、プロデュースもオーガナイズド・ノイズが担当した[ 14] [ 15] [ 10] [ 8] 。
アトランタ を拠点とするオーガナイズド・ノイズは、ペブルス に見出され、1993年にアウトキャスト の「プレイヤーズ・ボール」(Player's Ball )などをヒットさせていた新進気鋭のプロデューサー・チームとして当時頭角を現しはじめていた[ 14] [ 12] [ 16] [ 注釈 3] 。
マルケス・エスリッジは、エクスケイプ のデビュー・アルバム『Hummin' Comin' at 'Cha 』(1993年)からのシングル「トゥナイト」(Tonight )なども手掛けていたソングライターである[ 17] 。バック・ボーカルにはシーロー・グリーン も参加している[ 14] [ 15] [ 10] 。
歌詞の内容は、麻薬密売に加担し荒稼ぎをしている息子を心配する母親の苦悩とその息子が悪い連中に殺されるエピソードが最初にあり、次は、魅力的な遊び女との性交によって性病 死に至る男のエピソードが語られていて、無謀な行動や安易な欲望に流されて道を踏み外す若者への警告的な詞になっている[ 14] [ 7] [ 10] 。
レフト・アイのラップ部は、「きのう、虹 を見たよ」から始まり、七色の虹を見てもアタシの毎日は嵐の繰り返しで十の灰色の影ばかりで「神様の光」なんて射したことはないけど、自分の人生から悪事が消えるようにお祈りし穏やかな暮らしのために神様を讃えよう、という信仰心の詞が歌われ、日々続く苦しみに耐えきれず薬物に依存したり、人の頭に銃を突きつけ発砲したりする人達へ、「アンタは気がおかしくて、いま、この時代のせいで罪を犯しているというけれど、ホントは社会のしくみによって自分自身の犠牲になっただけ」と言い、最後に「夢を叶えたいなんて、叶うはずのない希望」(Dreams are hopeless aspirations in hopes of coming true ) 、「自分自身を信じれば、あとはアタシ達次第」(Believe in yourself, the rest is up to me and you )と締めくくるラップになっている[ 14] [ 7] [ 10] 。
美しい虹は、実際にレコーディングの前日に見えたもので、レフト・アイと一緒に車に乗っていたT-ボズ も見たものであるという[ 18] [ 10] 。当時の1990年代のアメリカでは、犯罪、貧困、エイズ の問題が楽曲のテーマになることが多かった背景があり、TLCの「ウォーターフォールズ」はそうした時代を象徴する一曲でもあった[ 19] 。
コーラス部で繰り返される「夢の滝を追いかけてはだめ。慣れ親しんだ川や湖から離れないで」(Don't go chasing waterfalls. Please stick to the rivers and the lakes that you're used to )という歌詞の一節は、ポール・マッカートニー の1980年のシングル「ウォーターフォールズ 」(Waterfalls )の歌詞の中にある、滝に飛び込もうとしている人を止める一節の(Don't go jumping waterfalls. Please keep to the lake. )から取り入れられている[ 10] [ 20] 。
録音はジョージア州 アトランタ にあるDARPスタジオ (DARP Studios )、ドップラー・スタジオ (英語版 ) 、ボスタウン・レコーディング・スタジオ (Bosstown Recording Studios )の3つのスタジオで、ニール・ポーグ (英語版 ) によって行なわれた[ 14] [ 15] [ 10] 。ミキシングもニール・ポーグによって、DARPスタジオとスタジオ・ラココ (Studio LaCoCo )で行われ、マスタリングは、ハーブ・パワーズ (Herb Powers )が担当した[ 14] [ 15] [ 10] 。
評価
全米ホット・チャートで7週連続1位を記録した「ウォーターフォールズ」は、ミュージック・ビデオも各賞を総なめにするなど、アルバム『クレイジーセクシークール 』にとって重要な曲というだけではなく、TLCを代表する楽曲の一つとして位置づけられている[ 12] [ 13] [ 10] 。
世界的にヒットした「ウォーターフォールズ」は、オーガナイズド・ノイズ (英語版 ) 制作の代表曲トップ10にも挙げられている[ 16] 。
R&B評論家の出田圭 は、「ウォーターフォールズ」のONP・リミックス (ONP Remix )・ヴァージョンを、1993年から1996年のR&Bマスターピース ・シングルの1曲として挙げている[ 21] 。
トラック・リスト
CDシングル
US・CDシングル[ 22] # タイトル 作詞 作曲・編曲 時間 1. 「ウォーターフォールズ Waterfalls 」(シングル・エディット Single Edit ) 4:19 2. 「ウォーターフォールズ Waterfalls 」(ONP・リミックス ONP Remix ) 4:34 3. 「ウォーターフォールズ Waterfalls 」(DARP・リミックス・インストゥルメンタル DARP Remix Instrumental ) 4:27 4. 「ウォーターフォールズ Waterfalls 」(アルバム・インストゥルメンタル Album Instrumental ) 4:42
7インチ・シングル
US・7インチレコード[ 23] # タイトル 作詞 作曲・編曲 時間 1. 「ウォーターフォールズ Waterfalls 」 4:19 2. 「ウォーターフォールズ Waterfalls 」(インストゥルメンタル Instrumental ) 4:42
12インチ・シングル
US・12インチレコードA面[ 24] # タイトル 作詞 作曲・編曲 時間 1. 「ウォーターフォールズ Waterfalls 」(シングル・エディット Single Edit ) 4:19 2. 「ウォーターフォールズ Waterfalls 」(DARP・リミックス DARP Remix ) 4:27 3. 「ウォーターフォールズ Waterfalls 」(アルバム・インストゥルメンタル Album Instrumental ) 4:42
US・12インチレコードB面[ 24] # タイトル 作詞 作曲・編曲 時間 1. 「ウォーターフォールズ Waterfalls 」(ONP・リミックス ONP Remix ) 4:34 2. 「ウォーターフォールズ Waterfalls 」(ONP・リミックス・インストゥルメンタル ONP Remix Instrumental ) 5:19 3. 「ウォーターフォールズ Waterfalls 」(アカペラ Acappella ) 4:05
マキシシングル
US・マキシシングル[ 25] # タイトル 作詞 作曲・編曲 時間 1. 「ウォーターフォールズ Waterfalls 」(シングル・エディット Single Edit ) 4:19 2. 「ウォーターフォールズ Waterfalls 」(ONP・リミックス ONP Remix ) 4:34 3. 「ウォーターフォールズ Waterfalls 」(DARP・リミックス DARP Remix ) 4:27 4. 「ウォーターフォールズ Waterfalls 」(アルバム・インストゥルメンタル Album Instrumental ) 4:42
※日本発売のマキシシングルも収録曲は同じ[ 26] 。
レコーディング・ミュージシャン
出典は[ 14] [ 15] [ 10]
T-ボズ - リード・ボーカル
チリ – バック・ボーカル
レフト・アイ - バック・ボーカル、ラップ
デブラ・キリングス (英語版 ) – バック・ボーカル
シーロー・グリーン – バック・ボーカル
オーガナイズド・ノイズ (英語版 ) -ドラム・プログラム
ラマルキ・ジェファーソン (LaMarquis Jefferson) – ベース
エドワード・ストラウド (Edward Stroud) – ギター
チャールズ・ニックス (Charles Nix) – ホーン
ロニー・フィッチ (Ronnie Fitch) – ホーン
ジェリー・ロイド (Jerry Lloyd) – ホーン
ケネス・ライト (Kenneth Wright) – ウーリッツァー・エレクトロニック・ピアノ (英語版 )
ニール・ポーグ (英語版 ) - レコーディング・エンジニア、ミキシング・エンジニア
リコ・ランプキン (Rico Lumpkins) - アシスタント・レコーディング・エンジニア
ベルナスキー・ウォール (Bernasky Wall) - アシスタント・レコーディング・エンジニア
マイク・ウィルソン (Mike Wilson) - アシスタント・レコーディング・エンジニア
ハーブ・パワーズ (Herb Powers) - マスタリング・エンジニア
ミュージック・ビデオ
ミュージック・ビデオは歌詞の内容に沿ったストーリー展開となっており、SFX を駆使しながら様々なエピソードの描写が表現され、歌っているTLCの3人が水面に浮んで立っている映像も印象的で話題を呼んだ[ 12] [ 7] [ 18] 。ビデオの監督はF・ゲイリー・グレイ が担当した[ 10] 。
数々の賞を受賞したこのミュージック・ビデオは、2002年 4月25日に交通事故で亡くなったレフト・アイの葬儀会場でもオンエアされた[ 12] [ 7] [ 8] 。
リミックス・バージョンのプロデューサー
出典は[ 22] [ 27]
ONP・リミックス ONP Remix
DARP・リミックス DARP Remix
チャート記録
週間
年間
オールタイム・ランキング
出版媒体(国)
ランキング名称
位
発表年度
ブレンダー誌(米) (Blender )
あなたが生れてからの最も偉大な500曲(1980–2005) (The 500 Greatest Songs Since You Were Born )
415[ 38]
2005
コンプレックス 誌(米) (Complex )
ベスト90s R&Bソングス (The Best 90s R&B Songs )
40[ 39]
2012
ビルボード (米) (Billboard )
最も偉大なガールズグループ・ソングス100 (100 Greatest Girl Group Songs of All Time )
11[ 40] [ 41]
2017
ビルボード(米) (Billboard )
ホット100・60周年記念オールタイム(1958–2018) (Hot 100 60th Anniversary )
181[ 42]
2018
ビルボード(米) (Billboard )
ビルボード90年代トップ・ソングス (Billboard's Top Songs of the '90s )
29[ 43]
2019
グラマー 誌(米) (Glamour )
90年代ベストソングス53 (53 Best ’90s Songs That Are All That and a Bag of Chips )
37[ 44]
2020
バズフィード 誌(米) (BuzzFeed )
最も偉大な90年代・夏ソングス50 (The 50 Greatest '90s Songs of Summer )
3[ 45]
2021
ローリング・ストーン 誌(米) (Rolling Stone )
歴代最高の500曲 (The 500 Greatest Songs of All Time )
127[ 46] [ 47]
2021
タイムアウト 誌(米) (Time Out )
ベスト90年代ソングス50 (50 Best '90s Songs )
10[ 48]
2022
受賞・ノミネート
収録アルバム
『クレイジーセクシークール 』(CrazySexyCool )(1994年)
『Now & Forever: The Hits』(Now & Forever: The Hits )(2003年) - 日本盤のみのボーナスCDに、ジャーメインズ・ジープ・ミックスのヴァージョンも収録。
『The Very Best of TLC: Crazy Sexy Hits』(The Very Best of TLC: Crazy Sexy Hits )(2007年)
『We Love TLC』(We Love TLC )(2009年)
『プレイリスト: ヴェリー・ベスト・オブ・TLC』(Playlist: The Very Best of TLC )(2009年)
『TLC20 ~20thアニヴァーサリー・ヒッツ』(TLC 20: 20th Anniversary Hits )(2013年) - 新たにレコーディングし直したヴァージョンと、1999年-2000年に行われた「ファンメール・ツアー」(FanMail Tour )のライヴ音源が収録。新ヴァージョンは「20thアニヴァーサリー・ヴァージョン」として、故レフト・アイのラップ部をアレンジし安室奈美恵 が参加したもの。
『グレイテスト・20イヤーズ・ヒッツ』(20 )(2013年)
カバー・アーティスト
出典は[ 49]
ジェメル (GEMELLE )(2020年)
デス・キャブ・フォー・キューティー (2020年) - アルバム『The Georgia E.P. 』に収録。
クロイ&ハリー (2021年) - アルバム『Juneteenth: Freedom Songs 』に収録。
他の楽曲へのサンプリング
出典は[ 50]
他の楽曲へのインターポレイト(補間)
出典は[ 51]
脚注
注釈
出典
参考資料
クレイジーセクシークール (Media notes). TLC . LaFace・Arista . 15 November 1994. IMT11461902。 – 輸入盤
クレイジーセクシークール (ライナーノーツ). TLC. LaFace・Arista. 21 December 1994. BVCA-663。
Now & Forever・The Hits (ライナーノーツ). TLC. Arista. 19 November 2003. BVCA-21146。
We Love TLC (ライナーノーツ). TLC. LaFace. 25 March 2009. BVCM-34077。 - 期間限定生産盤(DVD付)
グレイテスト・20イヤーズ・ヒッツ (ライナーノーツ). TLC. ソニー・ミュージック・ジャパン . 6 November 2013. EICP-1593。
出田圭 『R&B/HIP-HOP DISC GUIDE』スペースシャワーネットワーク 、2001年11月10日。ISBN 978-4860200183 。
関連項目
外部リンク
スタジオ・アルバムと そのシングル
ベスト・企画アルバムと その中の新曲
Now & Forever: The Hits (Now & Forever: The Hits ) The Very Best of TLC: Crazy Sexy Hits (The Very Best of TLC: Crazy Sexy Hits ) We Love TLC (We Love TLC ) ※日本のみ プレイリスト: ヴェリー・ベスト・オブ・TLC (Playlist: The Very Best of TLC ) TLC20 ~20thアニヴァーサリー・ヒッツ (TLC 20: 20th Anniversary Hits ) ※日本のみ グレイテスト・20イヤーズ・ヒッツ (20 )
「メント・トゥ・ミー」(Meant to Be ) ニーヨ の書き下ろし曲。
20 Unreleased (20 Unreleased ) アルバム未収録曲を収録。デジタル限定
プロモーション・シングル括弧内は収録アルバム
「キック・ユア・ゲーム」(Kick Your Game ) (『クレイジーセクシークール』)
「シリー・ホー」(Silly Ho ) (『ファンメール』)
「アイム・グッド・アット・ビーング・ベッド」(I'm Good at Being Bad ) (『ファンメール』)
「ファンメール」(FanMail ) (『ファンメール』)
「マイ・ライフ」(My Life )(『ファンメール』)
「アイ・ニード・ザット」(I Need That ) (アルバム未収録)
「3D」(3D ) (『3D』)
「ダーティ・ダーティ」(Dirty Dirty )(『3D』)
「アメリカン・ゴールド」(American Gold ) (『TLC』)
「イッツ・サニー」(It's Sunny ) (『TLC』)
その他のシングル・楽曲括弧内は収録アルバム
「アイ・ベット」(I Bet ) オーディション番組『R U the Girl )』で合格したオーソ・クリスピー (O'so Krispie )がラップを担当。デジタル・リリースのみ。 (デジタル盤限定『Now & Forever: The Hits』)
「ギフト・ラップド・キス」(Gift Wrapped Kiss ) (アルバム未収録)
「マイ・シークレット・エネミー」(My Secret Enemy ) 「レッド・ライト・スペシャル」のB面。 (限定盤『クレイジーセクシークール』、デジタル盤『20 Unreleased』)
フィーチャリング参加括弧内は共演者と収録アルバム ★はシングルあり サウンドトラック参加括弧内は映画・舞台名と収録アルバム ★はシングルあり ●はプロモーション・シングル ゲスト参加括弧内は収録アルバム
「オール・アイ・ウォント・フォー・クリスマス」(All I Want for Christmas ) (ラ・フェイス・レコードの企画アルバム『A LaFace Family Christmas 』)
「ホワッツ・ゴーイン・オン (Dupri R&B Mix)」(What's Going On (Dupri R&B Mix) ) (オールスター・トリビュートのシングル『What's Going On 』)
「ホワッツ・ゴーイン・オン (Mick Guzauski's Pop Mix)」(What's Going On (Mick Guzauski's Pop Mix ) (オールスター・トリビュートのシングル『What's Going On 』)
「虹 」(Rainbow ) (L'Arc〜en〜Ciel トリビュートアルバム『L'Arc〜en〜Ciel Tribute 』)
関連テレビ番組 コンサートツアー 関連項目