「クリープ 」(Creep )はTLC のシングル。全米だけでも累計1,200万枚以上(世界では2,300万枚以上)を売上げてダイヤモンドディスク となった2ndアルバム『クレイジーセクシークール 』からの1枚目のシングルで[ 5] [ 6] [ 7] 、1994年 10月31日に発売された[ 7] [ 8] [ 9] 。
「クリープ」はビルボード 全米ホット・チャートで4週連続1位(1995年 1月28日付から)を記録し、TLCにとって初の全米ホット・チャート1位獲得曲となった[ 10] [ 10] [ 5] [ 6] [ 8] 。R&Bチャートでも連続9週間1位(1994年12月10日付から)を記録し[ 10] [ 5] [ 6] 、TLCの2回目のR&Bチャート1位獲得曲となった[ 10] [ 6] [ 注釈 1] 。
アルバム『クレイジーセクシークール』を象徴する最初の大ヒット・シングルとなった「クリープ」は、第38回グラミー賞 において「最優秀R&Bパフォーマンス賞-デュオ・グループ部門」(Best R&B Performance by a Duo or Group with Vocals )を受賞[ 8] 。1995年度の全米ヒット曲中、第3位の楽曲にもなった[ 8] [ 注釈 2] 。
制作・録音
「クリープ」の作詞作曲は、1991年 にアナザー・バッド・クリエイション (英語版 ) 、ボーイズIIメン のヒット作や、TLCのデビュー・シングル「エイント・2・プラウド・2・ベッグ 」(Ain't 2 Proud 2 Beg )なども担当したこともあるダラス・オースティン が手掛け、プロデュース も彼自身が担当した[ 11] [ 12] [ 8] [ 6] 。
歌詞は、彼氏に浮気されている女性が自分自身も秘かに浮気 (creep )するという内容で、女性の視点から書かれているが、これはリード・ボーカルのT-ボズ の体験談を聞いたことがヒントになったとされる[ 8] 。
録音は、ジョージア州 アトランタ にあるDARPスタジオ (DARP Studios )で、アルヴィン・スペイツ (Alvin Speights ) と、レスリー・ブラスウェイト (Leslie Brathwaite )によって行われ[ 11] [ 12] [ 8] 、ミキシングも同スタジオで、アルヴィン・スペイツが担当した[ 11] [ 12] [ 8] 。マスタリングは、ハーブ・パワーズ (Herb Powers )によって行われた[ 11] [ 12] [ 8] 。
サンプリングには、スリック・リック の1988年のデビュー・アルバム『ザ・グレイト・アドベンチャーズ・オブ・スリック・リック』(The Great Adventures of Slick Rick )からの3枚目のシングル「ヘイ・ヤング・ワールド」(Hey Young World )と[ 11] [ 8] 、シャインヘッド (英語版 ) の1988年のアルバム『ユニティ』(Unity )の収録曲「フー・ザ・キャップ・フィット」(Who the Cap Fits )が使用されている[ 8] 。
レフト・アイの拒否反応
レフト・アイ は「クリープ」の歌詞の内容に疑問を呈し、浮気されたら自分も浮気してやり返すといった悪いアドバイスをファンに与えることになるという理由でシングル発売に大反対し、もし発売するなら抗議表明としてミュージック・ビデオで口に黒いテープを貼るとメンバーやプロデューサーらに言い張った[ 8] 。
そのため、浮気の危険性について警告する彼女のラップをリミックス・バージョンの方に入れることで、なんとか折り合いがついたとされる[ 8] 。そのバージョンのレフト・アイのラップには、don't creep if you don't want to. という一節もある[ 8] 。
レフト・アイが生前インタビューの中で、彼氏に浮気された人がいたら浮気し返すのではなくて、その彼氏の元から去るように言うべきであり、浮気し返すことで気分が良くなる人ならいいけど自分はそういう人達とは違うと話していたのが、ドキュメンタリー『ザ・ラスト・デイズ・オブ・レフトアイ』(The Last Days of Left Eye )に収録されている[ 8] 。
評価
「クリープ」はミッド・テンポの楽曲ながらも、ファンク の要素が織り込まれたビート感覚が、当時としてはR・ケリー の楽曲と共通する新しい動きのダウン・ロウ (Down Low )な音として高評価された[ 11] [ 注釈 3] 。
R&B評論家の出田圭 は、「クリープ」のDARP・ミックス (DARP Mix )・ヴァージョンを、1993年から1996年のR&Bマスターピース ・シングルの1曲として挙げている[ 13] 。
チャート的にも大ヒットした「クリープ」は、ダラス・オースティン 制作の代表曲トップ10にも挙げられている[ 14] 。
トラック・リスト
CDシングル
US・CDシングル[ 15] # タイトル 作詞 作曲・編曲 時間 1. 「クリープ Creep 」(アルバム・ヴァージョン Album Version ) 4:27 2. 「クリープ Creep 」(インストゥルメンタル・アルバム・ヴァージョン Instrumental Album Version ) 4:47
12インチ・シングル
US・12インチレコードA面[ 16] # タイトル 作詞 作曲・編曲 時間 1. 「クリープ Creep 」(アルバム・ヴァージョン Album Version ) 4:27 2. 「クリープ Creep 」(ジャーメインズ・ジープ・ミックス Jermaine 's Jeep Mix ) 5:09
US・12インチレコードB面[ 16] # タイトル 作詞 作曲・編曲 時間 1. 「クリープ Creep 」(インストゥルメンタル・アルバム・ヴァージョン Instrumental Album Version ) 4:47 2. 「クリープ Creep 」(ジャーメインズ・アカペラ・ミックス Jermaine's Acappella Mix ) 5:09
マキシシングル
US・マキシシングル[ 17] # タイトル 作詞 作曲・編曲 時間 1. 「クリープ Creep 」(アルバム・ヴァージョン Album Version ) 4:30 2. 「クリープ Creep 」(ジャーメインズ・ジープ・ミックス Jermaine's Jeep Mix ) 5:11 3. 「クリープ Creep 」(アンタッチャブル・ミックス Untouchables Mix ) 5:26 4. 「クリープ Creep 」(スーパー・スムース・ミックス Super Smooth Mix ) 4:44 5. 「クリープ Creep 」(DARP・ミックス DARP Mix ) 4:51 6. 「クリープ Creep 」(アンタッチャブル・インストゥルメンタル Untouchables Instrumental ) 5:18
UKのCreep ‘96
UK・CDシングル[ 18] # タイトル 作詞 作曲・編曲 時間 1. 「クリープ Creep 」(ラジオ・エディット・オリジナル・ヴァージョン Radio Edit - Original Version ) 4:28 2. 「ウォーターフォールズ Waterfalls 」(シングル・エディット Single Edit ) 4:21 3. 「クリープ Creep 」(マックス・リミックス Maxx Remix ) 5:11 4. 「クリープ Creep 」(ティン・ティン・アウト・リミックス Tin Tin Out Remix ) 8:35
UK・12インチレコードA面[ 19] # タイトル 作詞 作曲・編曲 時間 1. 「クリープ Creep 」(マックス・リミックス Maxx Remix ) 5:11 2. 「クリープ Creep 」(ジャーメインズ・ジープ・ミックス Jermaine's Jeep Mix ) 5:11
UK・12インチレコードB面[ 19] # タイトル 作詞 作曲・編曲 時間 1. 「クリープ Creep 」(ティン・ティン・アウト・リミックス Tin Tin Out Remix ) 8:35 2. 「ウォーターフォールズ Waterfalls 」(ダープ・リミックス Darp Remix ) 4:32
レコーディング・ミュージシャン
出典は[ 11] [ 12] [ 8]
T-ボズ - リード・ボーカル
チリ – バック・ボーカル、ブリッジ・ボーカル
レフト・アイ
デブラ・キリングス (英語版 ) – バック・ボーカル
ダラス・オースティン - インストルメンテーション
アルヴィン・スペイツ (Alvin Speights ) - レコーディング・エンジニア、ミキシング・エンジニア
レスリー・ブラスウェイト (Leslie Brathwaite ) – レコーディング・エンジニア
カール・グローバー (Carl Glover ) - アシスタント・レコーディング・エンジニア
カール・グローバー (Brian Smith ) - アシスタント・レコーディング・エンジニア
ソル・メサイア (Sol Messiah ) - スクラッチング
リック・シェパード (Rick Sheppard ) - サウンド・デザイナー
ハーブ・パワーズ (Herb Powers ) - マスタリング・エンジニア
ミュージック・ビデオ
TLCの3人がシルクのパジャマで踊るのが印象的なミュージック・ビデオは、大きな話題を集めたが[ 5] 、そのビデオの監督はマシュー・ローストン (英語版 ) が担当した[ 8] 。
リミックス・バージョンのプロデューサー
出典は[ 16] [ 17] [ 18]
ジャーメインズ・ジープ・ミックス (Jermaine 's Jeep Mix )
アンタッチャブル・ミックス (Untouchables Mix )
スーパー・スムース・ミックス (Super Smooth Mix )
エディ・F、ケニー・タン
ラップはレフト・アイが担当。
サンプリングは、上記同様に、ビズ・マーキーの「メイク・ザ・ミュージック・ウィズ・ユア・マウス、ビズ」が使用されている[ 17] [ 22] 。
DARP・ミックス DARP Mix
ダラス・オースティン
サンプリングは、アイザック・ヘイズ の1974年の「ハングアップ・オン・マイ・ベイビー」(Hung Up On My Baby )が使用されている[ 17] 。この曲は映画『スリー・タフ・ガイズ』(Three Tough Guys )のサウンドトラック中の一曲。
マックス・リミックス (Maxx Remix )
ティン・ティン・アウト・リミックス (Tin Tin Out Remix )
チャート記録
週間
年間
オールタイム・ランキング
出版媒体(国)
ランキング名称
位
発表年度
コンプレックス 誌(米) (Complex )
ベスト90s R&Bソングス (The Best 90s R&B Songs )
2[ 30]
2012
ビルボード (米) (Billboard )
最も偉大なガールズグループ・ソングス100 (100 Greatest Girl Group Songs of All Time )
2[ 31] [ 32]
2017
ビルボード(米) (Billboard )
ホット100・60周年記念オールタイム(1958–2018) (Hot 100 60th Anniversary )
172[ 33]
2018
ビルボード(米) (Billboard )
ビルボード90年代トップ・ソングス (Billboard's Top Songs of the '90s )
28[ 34]
2019
受賞・ノミネート
収録アルバム
『クレイジーセクシークール 』(CrazySexyCool )(1994年)
『Now & Forever: The Hits』(Now & Forever: The Hits )(2003年) - 日本盤のみのボーナスCDに、ジャーメインズ・ジープ・ミックスのヴァージョンも収録。
『The Very Best of TLC: Crazy Sexy Hits』(The Very Best of TLC: Crazy Sexy Hits )(2007年)
『We Love TLC』(We Love TLC )(2009年)
『プレイリスト: ヴェリー・ベスト・オブ・TLC』(Playlist: The Very Best of TLC )(2009年)
『TLC20 ~20thアニヴァーサリー・ヒッツ』(TLC 20: 20th Anniversary Hits )(2013年) - 新たにレコーディングし直したヴァージョンと、1999年-2000年に行われた「ファンメール・ツアー」(FanMail Tour )のライヴ音源が収録。
『グレイテスト・20イヤーズ・ヒッツ』(20 )(2013年)
『TLC 』(TLC )(2017年) - デラックス・エディションにリマスタリング音源を収録。
カバー・アーティスト
他の楽曲へのサンプリング
出典は[ 36]
脚注
注釈
出典
参考資料
クレイジーセクシークール (Media notes). TLC . LaFace・Arista . 15 November 1994. IMT11461902。 – 輸入盤
クレイジーセクシークール (ライナーノーツ). TLC. LaFace・Arista. 21 December 1994. BVCA-663。
Now & Forever・The Hits (ライナーノーツ). TLC. Arista. 19 November 2003. BVCA-21146。
We Love TLC (ライナーノーツ). TLC. LaFace. 25 March 2009. BVCM-34077。 - 期間限定生産盤(DVD付)
グレイテスト・20イヤーズ・ヒッツ (ライナーノーツ). TLC. ソニー・ミュージック・ジャパン . 6 November 2013. EICP-1593。
出田圭 『R&B/HIP-HOP DISC GUIDE』スペースシャワーネットワーク 、2001年11月10日。ISBN 978-4860200183 。
関連項目
外部リンク
スタジオ・アルバムと そのシングル
ベスト・企画アルバムと その中の新曲
Now & Forever: The Hits (Now & Forever: The Hits ) The Very Best of TLC: Crazy Sexy Hits (The Very Best of TLC: Crazy Sexy Hits ) We Love TLC (We Love TLC ) ※日本のみ プレイリスト: ヴェリー・ベスト・オブ・TLC (Playlist: The Very Best of TLC ) TLC20 ~20thアニヴァーサリー・ヒッツ (TLC 20: 20th Anniversary Hits ) ※日本のみ グレイテスト・20イヤーズ・ヒッツ (20 )
「メント・トゥ・ミー」(Meant to Be ) ニーヨ の書き下ろし曲。
20 Unreleased (20 Unreleased ) アルバム未収録曲を収録。デジタル限定
プロモーション・シングル括弧内は収録アルバム
「キック・ユア・ゲーム」(Kick Your Game ) (『クレイジーセクシークール』)
「シリー・ホー」(Silly Ho ) (『ファンメール』)
「アイム・グッド・アット・ビーング・ベッド」(I'm Good at Being Bad ) (『ファンメール』)
「ファンメール」(FanMail ) (『ファンメール』)
「マイ・ライフ」(My Life )(『ファンメール』)
「アイ・ニード・ザット」(I Need That ) (アルバム未収録)
「3D」(3D ) (『3D』)
「ダーティ・ダーティ」(Dirty Dirty )(『3D』)
「アメリカン・ゴールド」(American Gold ) (『TLC』)
「イッツ・サニー」(It's Sunny ) (『TLC』)
その他のシングル・楽曲括弧内は収録アルバム
「アイ・ベット」(I Bet ) オーディション番組『R U the Girl )』で合格したオーソ・クリスピー (O'so Krispie )がラップを担当。デジタル・リリースのみ。 (デジタル盤限定『Now & Forever: The Hits』)
「ギフト・ラップド・キス」(Gift Wrapped Kiss ) (アルバム未収録)
「マイ・シークレット・エネミー」(My Secret Enemy ) 「レッド・ライト・スペシャル」のB面。 (限定盤『クレイジーセクシークール』、デジタル盤『20 Unreleased』)
フィーチャリング参加括弧内は共演者と収録アルバム ★はシングルあり サウンドトラック参加括弧内は映画・舞台名と収録アルバム ★はシングルあり ●はプロモーション・シングル ゲスト参加括弧内は収録アルバム
「オール・アイ・ウォント・フォー・クリスマス」(All I Want for Christmas ) (ラ・フェイス・レコードの企画アルバム『A LaFace Family Christmas 』)
「ホワッツ・ゴーイン・オン (Dupri R&B Mix)」(What's Going On (Dupri R&B Mix) ) (オールスター・トリビュートのシングル『What's Going On 』)
「ホワッツ・ゴーイン・オン (Mick Guzauski's Pop Mix)」(What's Going On (Mick Guzauski's Pop Mix ) (オールスター・トリビュートのシングル『What's Going On 』)
「虹 」(Rainbow ) (L'Arc〜en〜Ciel トリビュートアルバム『L'Arc〜en〜Ciel Tribute 』)
関連テレビ番組 コンサートツアー 関連項目