「ノー・スクラブス 」(No Scrubs )はTLC のシングル。2ndアルバム『クレイジーセクシークール 』に次ぐヒット作となった4年半ぶりの3rdアルバム『ファンメール 』(FanMail )からの1枚目のシングルで[ 7] [ 8] [ 9] 、1999年 2月2日に発売された[ 9] [ 10] [ 注釈 1] 。
「ノー・スクラブス」はビルボード 全米ホット・チャート で4週連続1位(1999年4月10日付から)を記録し、TLCにとって3回目の全米ホット・チャート1位獲得曲となった[ 11] [ 7] [ 8] [ 10] [ 注釈 2] 。R&Bチャートでも連続5週間1位(1999年4月10日付から)を記録した[ 11] [ 7] [ 8] [ 注釈 3] 。
アルバム『ファンメール』からの先行シングルとして大ヒットとなった「ノー・スクラブス」は、第42回グラミー賞 において「最優秀R&Bパフォーマンス賞-デュオ・グループ部門」(Best R&B Performance by a Duo or Group with Vocals )を受賞[ 11] [ 10] 。1999年度の全米ヒット曲中、第2位の楽曲にもなった[ 10] [ 注釈 4] 。
制作・録音
「ノー・スクラブス」の作詞作曲は、ケヴィン・ブリッグス (英語版 ) 、キャンディ・バーラス (英語版 ) 、タメカ・タイニー・ハリス (英語版 ) が手掛け、プロデュース もケヴィン・ブリッグスが担当した[ 12] [ 11] [ 10] 。キャンディ・バーラスとタメカ・タイニー・ハリスは、エクスケイプ (英語版 ) のメンバーである[ 12] [ 8] 。
ケヴィン・ブリッグスは、ラ・フェイス・レコード (英語版 ) から1997年にリリースされたサム・ソルター (英語版 ) のアルバムでミキサー&ラッパーとして参加していた人物[ 12] 。「ノー・スクラブス」の後、同年にはデスティニーズ・チャイルド のシングル「ビルズ・ビルズ・ビルズ」(Bills, Bills, Bills )、「バガブー」(Bug a Boo )も手掛け、新進気鋭のプロデューサーとして注目された[ 11] [ 7] [ 注釈 5] 。
歌詞の中の「スクラブ」(Scrub )の語は、「自惚れの強い男」を意味し[ 12] [ 11] [ 7] [ 8] 「いつも欲しい物の話ばかりしているくせに、実際には何の行動にも移さないダサい男のあんたには、私の電話番号も教えないし、あんたの電話番号も要らない」といった内容となっている[ 12] [ 11] [ 7] [ 8] 。リード・ボーカルは、従来のT-ボズ ではなく、チリ の担当となった[ 10] 。
録音は、ジョージア州 アトランタ にあるDARPスタジオ (DARP Studios )で、カールトン・リーン (Carlton Lynn )によって行われた[ 12] [ 10] 。ミキシングも同スタジオでレスリー・ブラスウェイト (Leslie Brathwaite )が担当し、マスタリングは、ハーブ・パワーズ (Herb Powers )によって行われた[ 10] 。
レフト・アイの提案
レフト・アイ は、曲にラップ を加えた方がもっと良くなると考え、エグゼクティブ・プロデューサーのL.A.リード (英語版 ) やベイビーフェイス にそのことを強く要望した[ 8] 。そのため、急遽ラップを入れたヴァージョンのレコーディングも行われて、その後にシングルのカップリングやベスト盤などに収録された[ 8] 。
ラッパーでもあるレフト・アイの提案は結果的に功を奏して、ラップ・ヴァージョンの方が通常のものよりも人気が高く、彼女のプロデューサーとしての才能がベイビーフェイスに認められることになった[ 8] 。
評価
ケヴィン・ブリッグス (英語版 ) の出世作となった「ノー・スクラブス」は、それまでのTLCの既存のイメージを覆すような新しいサウンドに仕上がっており[ 13] 、イントロのアコースティック・ギター のメロディーも、このミッドテンポをベースとする楽曲に深みを加える効果を出していると評価されている[ 12] 。また、チリ の色気を増した歌声に成長や努力が感じられるボーカルにもなっている[ 13] 。
R&B評論家の出田圭 は、レフト・アイ のラップが加わったヴァージョンを、1996年から2000年のR&Bマスターピース ・シングルの1曲として挙げている[ 14] 。
反響
「ノー・スクラブス」の歌詞は、敏感な男性を怒らせた一面もあり[ 15] 、パロディ ・ソングとして、ニューヨーク のヒップホップ・グループのスポーティ・シーヴズ (英語版 ) が男性の視点から対抗する楽曲「ノー・ピジョンズ」(No Pigeons )を1999年5月に発売した[ 16] 。
彼らは、TLCがダサい男を「スクラブ」(Scrub )と呼んだのに対抗し、got more than one baby father で、strip all week to go clubbin' な見苦しいbitch (性悪女)を「ハト」(Pigeon )と呼んで、Hittin' you a scrub, call that bitch a Pigeon と歌っている[ 16] 。
スポーティ・シーヴズの「ノー・ピジョンズ」はヒットし、ゴールドディスクとなった[ 17] 。
トラック・リスト
CDシングル
US・CDシングル[ 18] # タイトル 作詞 作曲・編曲 時間 1. 「ノー・スクラブス No Scrubs 」(アルバム・ヴァージョン Album Version (Dirty) ) 3:39 2. 「ノー・スクラブス No Scrubs 」(インストゥルメンタル Instrumental ) 3:37
12インチ・シングル
US・12インチレコードA面[ 19] # タイトル 作詞 作曲・編曲 時間 1. 「ノー・スクラブス No Scrubs 」(アルバム・ヴァージョン Album Version ) 3:39 2. 「ノー・スクラブス No Scrubs 」(ウィズ・ラップ With Rap ) 3:59 3. 「ノー・スクラブス No Scrubs 」(インストゥルメンタル Instrumental ) 3:37
US・12インチレコードB面[ 19] # タイトル 作詞 作曲・編曲 時間 1. 「シリー・ホー Silly Ho 」(アルバム・ヴァージョン Album Version ) 4:13 2. 「シリー・ホー Silly Ho 」(インストゥルメンタル Instrumental ) 4:13
マキシシングル
Europe・マキシシングル[ 20] # タイトル 作詞 作曲・編曲 時間 1. 「ノー・スクラブス No Scrubs 」(アルバム・ヴァージョン Album Version ) 3:37 2. 「ノー・スクラブス No Scrubs 」(メイン・ミックス Main Mix ) 3:59 3. 「ノー・スクラブス No Scrubs 」(インストゥルメンタル Instrumental ) 3:37 4. 「シリー・ホー Silly Ho 」(アルバム・ヴァージョン Album Version ) 4:13
2010
レコーディング・ミュージシャン
出典は[ 12] [ 10] [ 22]
ミュージック・ビデオ
3人が未来的な宇宙ステーション で、斬新なメイクアップと衣裳で歌う姿が印象的なミュージック・ビデオは、レフト・アイのラップ入りのヴァージョンである[ 22] 。監督はハイプ・ウィリアムス (英語版 ) で[ 10] [ 22] 、メイクアップは、マトゥ・アンダーソン (Mathu Andersen )が担当した[ 22] 。
リミックス・バージョンのプロデューサー
メイン・ミックス (Main Mix ) - レフト・アイのラップ入りヴァージョン
トッド・エドワーズ・ヴォーカル・ミックス (Todd Edwards Vocal Mix )
チャート記録
週間
年間
オールタイム・ランキング
出版媒体(国)
ランキング名称
位
発表年度
ビルボード (米) (Billboard )
最も偉大なガールズグループ・ソングス100 (100 Greatest Girl Group Songs of All Time )
42[ 31] [ 32]
2017
ビルボード(米) (Billboard )
ホット100・60周年記念オールタイム(1958–2018) (Hot 100 60th Anniversary )
344[ 33]
2018
ビルボード(米) (Billboard )
ビルボード90年代トップ・ソングス (Billboard's Top Songs of the '90s )
56[ 34]
2019
ローリング・ストーン 誌(米) (Rolling Stone )
90年代ベストソング50選 (The 50 Best songs of the 90s )
10[ 35] [ 36]
2019
ローリング・ストーン誌(米) (Rolling Stone )
歴代最高の500曲 (The 500 Greatest Songs of All Time )
303[ 15] [ 37]
2021
受賞・ノミネート
収録アルバム
『ファンメール 』(FanMail )(1999年)
『Now & Forever: The Hits』(Now & Forever: The Hits )(2003年)
『The Very Best of TLC: Crazy Sexy Hits』(The Very Best of TLC: Crazy Sexy Hits )(2007年)
『We Love TLC』(We Love TLC )(2009年) - ラップ・バージョンが収録。
『プレイリスト: ヴェリー・ベスト・オブ・TLC』(Playlist: The Very Best of TLC )(2009年)
『TLC20 ~20thアニヴァーサリー・ヒッツ』(TLC 20: 20th Anniversary Hits )(2013年) - 新たにレコーディングし直したヴァージョンと、1999年-2000年に行われた「ファンメール・ツアー」(FanMail Tour )のライヴ音源が収録。
『グレイテスト・20イヤーズ・ヒッツ』(20 )(2013年)
『TLC 』(TLC )(2017年) - デラックス・エディションにリマスタリング音源を収録。
カバー・アーティスト
出典は[ 10]
他の楽曲へのサンプリング
出典は[ 39]
カマザジン (英語版 ) 「No Scrubs Freestyle 」(2015年)
クリス・クラック (Chris Crack )「Hug Me Til I Smell Like You 」(2018年) - アルバム『Just Gimme a Minute 』に収録。
リル・ビーン (Lil Bean )「BUTTERFLIES 」(2012年) - アルバム『CARE PACKAGE 4 THE STREETS 』に収録。
ベイビー・メイン (Baby Mane )「No Love 」(2021年)
K1ddKAMI (K1ddKAMI )「Hold On 」(2021年) - アルバム『i like sad girls 』に収録。
Asme (Asme )「Eget Bruk 」(2022年) - アルバム『Tusen Flows 2 』に収録。
ラス (英語版 ) 「I Don’t Want Your Number 」
他の楽曲へのインターポレイト(補間)
出典は[ 40]
スポーティ・シーヴズ (英語版 ) 「ノー・ピジョンズ」(No Pigeons )(1999年) - アルバム『ストリート・シネマ』(Street Cinema )に収録。
ハムザ (英語版 ) 「Mi Gyal 」(2017年) - ミックステープ『1994 』に収録。
ドラマ『LUCIFER/ルシファー 』のキャスト「Bad to the Bone / No Scrubs 」(2021年) - アルバム『Lucifer: Bloody Celestial Karaoke Jam 』に収録。
マライア・アンジェリク (英語版 ) 、バッド・ギャル (Bad Gyal ) & マリア・ベセラ (英語版 ) 「BOBO 」(2021年)
MBNel (MBNel )「All of Me 」(2021年) - アルバム『No Hard Feelings 』に収録。
EBK Young Joc (EBK Young Joc )「Find Yourself (TLC Flow) 」(2021年) - アルバム『Nightingale Legend 』に収録。
ベイビー・メイン (Baby Mane )「No Love 」(2021年)
サマー・ウォーカー & アリ・レノックス (英語版 ) 「Unloyal」(2021年) - アルバム『スティル・オーバー・イット』(Still Over It )に収録。
Nauwái (Nauwái )「Ta Mig Bort 」(2022年)
脚注
注釈
出典
参考資料
FANMAIL (ライナーノーツ). TLC. LaFace・Arista . 6 March 1999. BVCA-21011。
3D (ライナーノーツ). TLC. LaFace・Arista. 6 November 2002. BVCA 21130。
Now & Forever・The Hits (ライナーノーツ). TLC. Arista. 19 November 2003. BVCA-21146。
We Love TLC (ライナーノーツ). TLC. LaFace. 25 March 2009. BVCM-34077。 - 期間限定生産盤(DVD付)
グレイテスト・20イヤーズ・ヒッツ (ライナーノーツ). TLC. ソニー・ミュージック・ジャパン . 6 November 2013. EICP-1593。
出田圭 『R&B/HIP-HOP DISC GUIDE』スペースシャワーネットワーク 、2001年11月10日。ISBN 978-4860200183 。
関連項目
外部リンク
スタジオ・アルバムと そのシングル
ベスト・企画アルバムと その中の新曲
Now & Forever: The Hits (Now & Forever: The Hits ) The Very Best of TLC: Crazy Sexy Hits (The Very Best of TLC: Crazy Sexy Hits ) We Love TLC (We Love TLC ) ※日本のみ プレイリスト: ヴェリー・ベスト・オブ・TLC (Playlist: The Very Best of TLC ) TLC20 ~20thアニヴァーサリー・ヒッツ (TLC 20: 20th Anniversary Hits ) ※日本のみ グレイテスト・20イヤーズ・ヒッツ (20 )
「メント・トゥ・ミー」(Meant to Be ) ニーヨ の書き下ろし曲。
20 Unreleased (20 Unreleased ) アルバム未収録曲を収録。デジタル限定
プロモーション・シングル括弧内は収録アルバム
「キック・ユア・ゲーム」(Kick Your Game ) (『クレイジーセクシークール』)
「シリー・ホー」(Silly Ho ) (『ファンメール』)
「アイム・グッド・アット・ビーング・ベッド」(I'm Good at Being Bad ) (『ファンメール』)
「ファンメール」(FanMail ) (『ファンメール』)
「マイ・ライフ」(My Life )(『ファンメール』)
「アイ・ニード・ザット」(I Need That ) (アルバム未収録)
「3D」(3D ) (『3D』)
「ダーティ・ダーティ」(Dirty Dirty )(『3D』)
「アメリカン・ゴールド」(American Gold ) (『TLC』)
「イッツ・サニー」(It's Sunny ) (『TLC』)
その他のシングル・楽曲括弧内は収録アルバム
「アイ・ベット」(I Bet ) オーディション番組『R U the Girl )』で合格したオーソ・クリスピー (O'so Krispie )がラップを担当。デジタル・リリースのみ。 (デジタル盤限定『Now & Forever: The Hits』)
「ギフト・ラップド・キス」(Gift Wrapped Kiss ) (アルバム未収録)
「マイ・シークレット・エネミー」(My Secret Enemy ) 「レッド・ライト・スペシャル」のB面。 (限定盤『クレイジーセクシークール』、デジタル盤『20 Unreleased』)
フィーチャリング参加括弧内は共演者と収録アルバム ★はシングルあり サウンドトラック参加括弧内は映画・舞台名と収録アルバム ★はシングルあり ●はプロモーション・シングル ゲスト参加括弧内は収録アルバム
「オール・アイ・ウォント・フォー・クリスマス」(All I Want for Christmas ) (ラ・フェイス・レコードの企画アルバム『A LaFace Family Christmas 』)
「ホワッツ・ゴーイン・オン (Dupri R&B Mix)」(What's Going On (Dupri R&B Mix) ) (オールスター・トリビュートのシングル『What's Going On 』)
「ホワッツ・ゴーイン・オン (Mick Guzauski's Pop Mix)」(What's Going On (Mick Guzauski's Pop Mix ) (オールスター・トリビュートのシングル『What's Going On 』)
「虹 」(Rainbow ) (L'Arc〜en〜Ciel トリビュートアルバム『L'Arc〜en〜Ciel Tribute 』)
関連テレビ番組 コンサートツアー 関連項目