『イン・アンド・アウト・オブ・フォーカス』(In and Out of Focus)は、オランダのプログレッシブ・ロック・バンド、フォーカスが1970年に発表した初のスタジオ・アルバム。オランダ初回盤LPは『フォーカス・プレイズ・フォーカス』というタイトルだったが[3]、1971年に発表されたインターナショナル盤は改題され[4]、現行のCDのタイトルもインターナショナル盤に準じている。
解説
オランダで1970年9月に発表された初回盤LPの『フォーカス・プレイズ・フォーカス』は7曲入りで、メンバー4人の写真がジャケットの全面にわたり掲載された[3]。一方、1971年に発表されたインターナショナル盤『イン・アンド・アウト・オブ・フォーカス』は、同年1月にシングルで発表された「ハウス・オブ・ザ・キング」を含む8曲入りで曲順も『フォーカス・プレイズ・フォーカス』とは大幅に異なり、ジャケットも『フォーカス・プレイズ・フォーカス』とは異なったメンバーの写真や青と赤の水玉模様のデザインが存在した[5]。
「アノニマス」の冒頭にトランペット、ベース・ギター、スネアドラムで演奏されるのは、15世紀のブルゴーニュ領の楽曲'Dit Le Bourguignon'[注釈 1]である。
幾つかの収録曲の共作者に記されているエリック・クルフェール(Eric Cleuver)は、メンバーのハンス・クルフェールの父親で、作詞を担当した。
本作の制作中に録音されたが収録されなかったタイス・ファン・レール作の「創造主は語る」は、1976年に発表された未発表音源集『シップ・オブ・メモリーズ-美の魔術-』に収録された。
1988年にEMIからCD化された際には、1971年のインターナショナル盤『イン・アンド・アウト・オブ・フォーカス』と同じ曲数・曲順となった[9]。
反響・評価
Richie Unterbergerはオールミュージックにおいて5点満点中3点を付け「彼らの後の作品と比べて、穏やかで抑制的でボーカルの比重が高い」「ヤン・アッカーマンの火花散るテクニックのファンは、彼の存在感が割と限定的であることに失望するかもしれない」と評している[10]。
フォーカスがアメリカでも注目を集めるようになった1973年には、アメリカの総合アルバム・チャートBillboard 200で最高104位を記録した[2]。
『フォーカス・プレイズ・フォーカス』が発表された後、1971年1月にシングルで発表された「ハウス・オブ・ザ・キング」は、同年にオランダのシングル・チャートで最高10位を記録するヒットとなった[11]。
収録曲
LP 『フォーカス・プレイズ・フォーカス』
- サイド1
- "Focus (Instrumental)" (Thijs van Leer) - 9:44
- "Why Dream" (T. van Leer, Eric Cleuver) - 3:57
- "Happy Nightmare" (T. van Leer, Martijn Dresden, Mike Hayes) - 3:58
- サイド2
- "Anonymus" (T. van Leer, Jan Akkerman, M. Dresden) - 6:33
- "Black Beauty" (T. van Leer, E. Cleuver) - 3:06
- "Sugar Island" (T. van Leer, M. Dresden, Jan Staal) - 3:04
- "Focus (Vocal)" (T. van Leer, E. Cleuver) - 2:44
LP 『イン・アンド・アウト・オブ・フォーカス』
- サイド1
- フォーカス [ヴォーカル] - "Focus (Vocal)" (T. van Leer, E. Cleuver) - 2:44
- ブラック・ビューティー - "Black Beauty" (T. van Leer, E. Cleuver) - 3:06
- シュガー・アイランド - "Sugar Island" (T. van Leer, M. Dresden, J. Staal) - 3:04
- アノニマス - "Anonymus" (T. van Leer, J. Akkerman, M. Dresden) - 6:33
- ハウス・オブ・ザ・キング - "House of the King" (J. Akkerman) - 2:51
- サイド2
- ハッピー・ナイトメア(メスカリン) - "Happy Nightmare (Mescaline)" (T. van Leer, M. Dresden, M. Hayes) - 3:58
- ホワイ・ドリーム - "Why Dream" (T. van Leer, E. Cleuver) - 3:57
- フォーカス [インストゥルメンタル] - "Focus (Instrumental)" (T. van Leer) - 9:44
1970年代にポリドール株式会社から『イン・アンド・アウト・オブ・フォーカス』として日本で発売されたLPには、『フォーカス・プレイズ・フォーカス』に収録された7曲がオランダ盤LPの曲順に従って収録され、それらに加えて「ハウス・オブ・ザ・キング」が「フォーカス [インストゥルメンタル] 」と「ホワイ・ドリーム」の間に挿入された。つまり、日本盤『イン・アンド・アウト・オブ・フォーカス』には上記の8曲が異なる曲順で収録されたことになる。
CD 『イン・アンド・アウト・オブ・フォーカス』
- フォーカス [ヴォーカル] - "Focus (Vocal)" (T. van Leer, E. Cleuver) - 2:44
- ブラック・ビューティー - "Black Beauty" (T. van Leer, E. Cleuver) - 3:06
- シュガー・アイランド - "Sugar Island" (T. van Leer, M. Dresden, J. Staal) - 3:04
- アノニマス - "Anonymus" (T. van Leer, J. Akkerman, M. Dresden) - 6:33
- ハウス・オブ・ザ・キング - "House of the King" (J. Akkerman) - 2:51
- ハッピー・ナイトメア(メスカリン) - "Happy Nightmare (Mescaline)" (T. van Leer, M. Dresden, M. Hayes) - 3:58
- ホワイ・ドリーム - "Why Dream" (T. van Leer, E. Cleuver) - 3:57
- フォーカス [インストゥルメンタル] - "Focus (Instrumental)" (T. van Leer) - 9:44
パーソネル
脚注
注釈
- ^ この楽曲の作者は不詳、つまり"Anonymous"である。
出典
引用文献
- Johnson, Peet (2015), Hocus Pocus: The Strife and Times of Rock's Dutch Masters, Tweed Press, ISBN 978-0-646-59727-0
外部リンク