イギリス国鉄313形電車(British Rail Class 313)は、1976年に登場したイギリス国鉄の近郊用電車の1形式である。
交流25kVの架空電車線方式と直流750Vの第三軌条方式の双方に対応する、ハイブリッド集電車である。
概要
イギリスの第2世代の電車の最初の形式となる近郊用電車であり、グラスゴー向け314形(英語版)、アングリア向け315形、マージーサイド向け507形(英語版)・508形(英語版)とともに、「1972年デザイン」の車体を採用している[3]。1976年から1977年にかけて3両編成64本がBRELのヨーク工場で製造された[2]。
塗装は国鉄標準のBRブルーを採用した。前面の色を側面に拡大したほか、前面窓回りを黒で縁取り、貫通扉を塗り分けてアクセントを付けている[4]。
運用
1976年の登場当初より東海岸本線のグレート・ノーザン系統に導入され、ムーアゲート駅とウェリン・ガーデンシティ、ハートフォード・ノース駅間で運用を開始した[2]。車両限界が小さく第三軌条方式を採用するムーアゲート駅方面は直流750Vで集電靴を用い、それ以外の区間では交流25kVの架空電車線方式でパンタグラフにより集電した。民営化後の運行会社はWAGN(英語版)、ファースト・キャピタル・コネクトを経てゴヴィア・テムズリンク・レールウェイに所属[2]。しかし2018年から717形「デジロシティ」による置き換えが進み[5]、2019年9月をもって運用を終了した。
1988年からは北ロンドン線(英語版)などロンドン近郊線区にも投入された[2]。民営化後はシルバーリンクを経てロンドン・オーバーグラウンドに所属した。2009年の378形(英語版)導入に伴う置き換えでサザンへ転属し、2019年現在は後継のゴヴィア・テムズリンク・レールウェイによってブライトン近郊の沿岸線区で運用されている[6]。
1編成は事業用に転用され、ネットワーク・レールによるERTMSの試験車となっている[7]。
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国鉄塗装(1982年)
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サザン塗装(2010年)
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シルバーリンク塗装(2008年)
脚注
- ^ a b c d e f g h i j k l m Class 313 The Railway Centre.Com
- ^ a b c d e f Multiple unit stalwart – Dual-voltage pioneers Railway Magazine、2017年7月17日
- ^ Hugh Llewelyn『EMUs A History』Amberley Publishing、2016年。ISBN 9781445649825
- ^ 『鉄道ファン』1985年8月号、51頁
- ^ “Great Northern Class 717 EMUs unveiled” (英語). Railway Gazette. (2018年5月3日). https://www.railwaygazette.com/news/traction-rolling-stock/single-view/view/great-northern-class-717-emus-unveiled.html
- ^ “Class 313s come to Southern” (英語). Southern Electric Group. http://extra.southernelectric.org.uk/features/rolling-stock/313/index.html
- ^ “Suburban EMU converted into mobile ERTMS laboratory” (英語). Railway Gazette. (2013年7月10日). https://www.railwaygazette.com/news/single-view/view/suburban-emu-converted-into-mobile-ertms-laboratory.html
参考文献
- 大塚和之「海の向こうの電車の顔を拝見」『鉄道ファン』交友社、1985年8月号(46-57頁)
外部リンク