イアン・ギラン・バンド (Ian Gillan Band )は、イアン・ギラン がディープ・パープル 脱退、復帰に際して結成したジャズ・ロック ・バンド。
略歴
1975年 秋、ギランはジャズ・ロックを基盤とした同バンドを結成して、1976年 にデビュー・アルバム『チャイルド・イン・タイム』を発表。彼以外のメンバーはギタリストのレイ・フェンウィック、ベーシストのジョン・ガスタフソン、キーボーディストのマイク・モラン、ドラマーのマーク・ナウシーフ 。即興演奏 へのアプローチやパーカッシヴなリズムの組み立て、キーボーディスト/フルーティストのコリン・タウンズ が参加した2作目『鋼鉄のロック魂』からはホーン・セクションを導入したプログレッシブなR&Bスタイルが中心となる。
1977年 9月に来日公演を行い、翌年に『ライヴ・イン・ジャパン』を発表。ライブ・パフォーマンスの評価は高かったものの、パンク全盛の時代ではセールスは振るわず、1978年にバンド再編のために解散に至る。
来歴
1976年:ライブ活動のためのキーボーディストとして元エルフ のミッキー・リー・ソウルを迎えて、4月にフランスでファースト・ギグを行う。その後、新たにマルチ・プレイヤーのコリン・タウンズ がギランの曲作りのパートナーになり、ソウルを除いたメンバーとホーン・セクションを用いたセカンド・アルバム『鋼鉄のロック魂』録音。
1977年:同メンバーで『魔性の勇者』録音。その後、日本武道館 でライブを行う。
1978年:前年の日本公演の音源を『ライヴ・イン・ジャパン』として発表。バンドの運営方針を変更するためにタウンズ以外のメンバーと契約は行わず解散、ヘヴィメタル 指向を強めたサウンドとバンド名をギラン に改名する。
1983年 、ギランの契約先のヴァージン・レコード から『ライヴ・イン・ジャパン』が新たに2枚組のLPアルバムとして再発された。2001年 、1977年の広島公演を収録した『Live Yubin Chokin Hall,Hiroshima 1977』が発表された。
メンバーと担当楽器
第1期 1975年 - 1976年
イアン・ギラン (Ian Gillan) - ボーカル
レイ・フェンウィック (Ray Fenwick) - ギター、ボーカル
ジョン・ガスタフソン (John Gustafson) - ベース、ボーカル
マイク・モラン (Mike Moran) - キーボード
マーク・ナウシーフ (Mark Nauseef) - ドラム、パーカッション
+
ロジャー・グローヴァー (Roger Glover) - プロデュース、シンセサイザー、カリンバ、ボーカル (1stアルバム)
ファースト・アルバム『チャイルド・イン・タイム』録音。ガスタフソンがロキシー・ミュージック のイギリス・ツアーに起用された[ 2] ので、プロデューサーのロジャー・グローヴァー がレコーディング・セッションの時に数曲でベースを弾いているが、後にガスタフソンがベース・パートを新たにオーバー・ダブしている。
第2期 1976年
イアン・ギラン (Ian Gillan) - ボーカル
レイ・フェンウィック (Ray Fenwick) - ギター、ボーカル
ジョン・ガスタフソン (John Gustafson) - ベース、ボーカル
ミッキー・リー・ソウル (Micky Lee Soule) - キーボード
マーク・ナウシーフ (Mark Nauseef) - ドラム、パーカッション
このメンバーでファースト・ギグを行う。
第3期 1976年 - 1978年
イアン・ギラン (Ian Gillan) - ボーカル
レイ・フェンウィック (Ray Fenwick) - ギター、ボーカル
ジョン・ガスタフソン (John Gustafson) - ベース、ボーカル
コリン・タウンズ (Colin Towns) - キーボード、フルート
マーク・ナウシーフ (Mark Nauseef) - ドラム、パーカッション
+
フィル・カーシー (Phil Kersie) - サックス (ゲスト/2nd)
ジョン・ハックリッジ (John Huckridge) - トランペット (ゲスト/2nd)
デレク・ヒーレー (Derek Healey) - トランペット (ゲスト/2nd)
マルコム・グリフィス (Malcolm Griffiths) - トロンボーン (ゲスト/2nd)
マーティン・フリス (Martin Frith) - サックス (ゲスト/2nd)
セカンド・アルバム『鋼鉄のロック魂』、サード・アルバム『魔性の勇者』、ライブ・アルバム『ライヴ・イン・ジャパン』録音。
ディスコグラフィ
スタジオ・アルバム
『チャイルド・イン・タイム』 - Child In Time (1976年 第1期)
『鋼鉄のロック魂』 - Clear Air Turbulence (1977年 第3期)
『魔性の勇者』 - Scarabus (1977年 第3期)
ライブ・アルバム
『ライヴ・イン・ジャパン』 - Live At The Budokan (1978年 第3期)
『ライヴ・イン・ジャパン Vol.2』 - Live At The Budokan Vol.2 (1978年 第3期)
上記2枚は日本のみの発売だったが、1983年にイギリスでは2枚組LPで発売された。
Live At The Rainbow (1998年 第3期)
Live Yubin Chokin Hall,Hiroshima 1977 (2001年 第3期)
コンピレーション・アルバム
Rarities 1975-1977 (2003年 第1期 - 第3期)
ロジャー・グローヴァー がベースを弾いているファースト・レコーディング・セッション時の未発表曲や未発表テイク、ガスタフソンがリード・ボーカルをとった未発表曲等も収録している。
その他
Clear Air Turbulence/The Rockfield Mixes Plus (1997年)
発売が決定されたアルバムとは違うオリジナル・ミックス・ヴァージョン、ボーナス曲追加
映像作品
Live At The Rainbow 1977 (2006年) ※DVD
脚注
注釈
^ ロキシー・ミュージック の準メンバーとしてアルバム『ストランデッド 』(1973年)、『カントリー・ライフ 』(1974年)、『サイレン 』(1975年)の製作に参加。ロキシー・ミュージックの歴代ベーシストは、オリジナル・メンバーのグラハム・シンプソン を除いて全員準メンバー扱いだった。2014年他界。ロキシー・ミュージックが2019年にロックの殿堂 入りした時には、受賞者8名の1人に選ばれた。
^ 「Black Sheep Of The Family」はスティーヴ・ハモンド(Steve Hammond)の作品。ハモンドはギタリストで、ノエル・レディング がジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス に在籍中に結成したファット・マットレス に、脱退したレディングの後任として加入して同曲を提供した。ファット・マットレスが録音した原曲は、2000年に発表された編集アルバム に収録されている。ガスタフソンが在籍したクォーターマスは同曲をファースト・アルバム で取り上げた。さらにリッチー・ブラックモア のレインボー もデビュー・アルバム『銀嶺の覇者 』に収録した。
出典
^ “Discogs ”. 2024年1月3日 閲覧。
^ a b David, Buckley (2004). The Thrill of It All: The Story of Bryan Ferry & Roxy Music . London: Andre Deutsch. pp. 149-51, 156, 159, 162, 176-7, 194-5, 196, 198-9, 200-1. ISBN 0-233-05113-9
引用文献
Popoff, Martin (2016). The Deep Purple Family Year By Year Volume One (to 1979) . Bedford, England: Wymer Publishing. ISBN 978-1-908724-42-7
関連項目