アブドゥッラーアブドゥッラー(アラビア語: عبد الله, ʿAbdullāh, 文語アラビア語発音:アブドゥッラーフ、口語アラビア語発音:アブドゥッラー)は、アラビア語由来の中東系男性名。 意味は「アッラーのしもべ」「神の僕」だが、アッラーを唯一神とするイスラーム教以前のジャーヒリーヤ時代から使われていた伝統的アラブ人名で、多神教、ユダヤ教、キリスト教といった複数宗教共通のアラビア語人名として使われてきた[1][2]。 意味アラビア語で奴隷(しもべ)を意味する名詞アブドをイスラーム教の神アッラー(アッラーフ)が後ろから属格(所有格)支配した複合語だが、預言者ムハンマドの別名でありかつ預言者本人によって強く推奨された男性名であることからイスラーム圏全体で非常にポピュラーな名前となっている。またアラブ諸国ではキリスト教の神も同じくアッラー(アッラーフ)と呼ばれるため、この名を持つアラブ系キリスト教徒も存在する。 イスラーム教の教えでは神のしもべとして教えを守ることが敬虔さの表れであるとの価値観が強い。アッラーの命じたことによく従い教えをしっかり守る敬虔な信徒である人物という意味を持っており、英語では「servant of God」「sevant of Allah」などと訳されている[3]。 人名アブドゥッラーは預言者ムハンマドが神に愛される最良の名前の一つとして挙げていることから、我が子が神に愛されるように、良きイスラーム教徒となるようにと幸せを願う親たちによって命名される[4]人気男子名となっている。 発音と表記英字では分かち書きをせず発音の通りにつなげたAbdullahや、アラビア語表記の通りスペースを入れたAbd Allahなどと書かれる。 アラビア語の文語発音ではアブドゥッラーヒ、もしくは語末母音のiを省略したアブドゥッラーフとなるが、口語発音にアブドゥッラー、アブドッラー、アブダッラー、アブドッラ、アブダッラ等が存在し、英字表記としてはAbdulla、Abdollah、Abdolla、Abdallah、Abdallaなどが見られる。そこから派生した日本語のカタカナ表記が、アブドラ、アブダラである。 中東における伝統的男性名「神のしもべ」イスラーム以前のジャーヒリーヤ時代は多神教時代だったため「アブド・◯◯」という形式の男性名の◯◯部分に偶像崇拝対象だった神の名や神殿名のカアバといった語を含むものが数多く見られた。そのような名前を持っていた人物はイスラーム改宗にあたり預言者ムハンマドのアドバイスを得るなどしてアブドゥッラー他に改名を行った[5][6]ことが知られている。 この種の名前「◯◯のしもべ」は元々イスラーム教特有の人名ではなく、それ以前のアラブ人名、さらにはそれよりも古い時代から「神のしもべ」「◯◯神のしもべ」といった名前として用いられていたもので、中東地域に非常に古くからある形式となっている。 古代メソポタミアのハンムラビ王時代には既に「神のしもべ」という名前が存在したことが歴史家によって確認されており、紀元前2000年頃にもあったバビロニア人男性名のAb-di-ili(ないしはAbdi-ili)(神のしもべ(Sevant of God)の意[7])はアラビア語のアブドゥッラー(神のしもべ)と同じ系統の言語であるアッカド語であったことから、語の響き自体も似通ったものとなっている。 また旧約聖書の歴代誌に登場するヘブライ語男性名アブディエル(ヘブライ語:עֲבְדִּיאֵל、英字表記:Abdiel)はこのアラビア語男性名アブドゥッラーに対応した人名[8]である。 人物王侯
その他
関連項目脚注
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