アビス・ホライズン
『アビス・ホライズン』(英: Abyss Horizon、中: 深渊地平线)は、中華人民共和国に本社を置く重慶煜顔文化伝播有限公司(shinecolor)が開発したiOS/Android用アクションRPG[1]。日本では2018年6月28日にリリースされ[3]、2021年2月19日にサービス終了[4]。 中華圏での主な略称は艦A(簡体字:舰A)。キャッチコピーは「キミはまだ本物の海戦を知らない」[9]。 概要2013年にサービスを開始した日本のブラウザゲーム『艦隊これくしょん -艦これ-』のヒットに端を発し、中華圏で数多く企画・作成された艦船擬人化を題材とするゲームの1作。shinecolorが2016年に京東商城で実施したクラウドファンディングにより開発資金を調達した『艦隊2次元』が前身とされる[10]。開発スタッフは中国側がメインだが、日本からも設定やシナリオ協力でライター集団のQualiaが参加している[11]。 ジャンルは「艦隊アクションRPG」とされており、3Dグラフィックで描画された擬人化キャラクターの艦姫(ふなひめ)を操作して侵攻勢力の敵キャラクターを倒すことがゲームの目的。複数人のプレイヤーで協力して巨大ボスと戦う「討伐モード」や収集した艦姫を観賞するARモード等が搭載されている[12][13]。 登場する艦姫は各国海軍の軍艦や海上自衛隊の護衛艦を基に美少女化したものだが、基になった艦船の就役時期は第二次世界大戦期に限定されず19世紀末や冷戦時代、さらには21世紀に建造されたミサイル艦、18世紀の海賊船、未成艦や実際には建造されなかった計画艦なども存在する。舞台設定は「並行世界勢力からの侵略を受けた近未来」とされており、史実をベースとしている訳ではない。 リリース中国大陸で開発された「日系ゲーム」の多くと同様に、本作も開発段階から日本の声優をキャスティングして日本語音声の演技を収録している[14]。 本作は2016年以降に日本へ進出した艦船擬人化ジャンルのゲームの多くと異なり、中国でヒットした作品を日本市場向けにローカライズするものではなく当初から日本市場を視野に入れて開発が進められていた[15]。最初にリリースされた日本版は2018年6月28日から上海晨之科(MorningTec)の日本法人であるMorningTec Japan(以下「MTJ」)が運営を行っていたが[12]、同年12月31日付でshinecolorが香港に設立した関連企業の煜顔国際有限公司(Y.Y. Global)に運営権が譲渡されている(MTJからYYへの利用規約を含めた引き継ぎ作業の完了は2019年1月31日付)[16]。 開発国の中国では心動網絡(X.D.)を運営元としてリリース予定だが[1]、2018年秋に中国政府文化部の新作ゲーム審査が停滞した影響からリリースの目処が立たない状態が続き、2020年4月にようやく審査を通過した[6]。こうした事情により、日本版から2年ほど遅れた2020年7月23日からスタートしている[6]。2019年1月にはX.D.のグループ企業である龍成網絡が台湾・香港・マカオで繁体字中文版を[2]、同年5月16日にはYYが韓国版を[17]、12月25日にはIllusion Studiosが英語版をそれぞれリリースした。このうち韓国版は2020年10月30日に終了しており、繁体字中文版は2021年1月29日[18]、日本版は2月19日[4][19]、英語版は2月28日に終了。最後に残った中国大陸版も7月15日に終了した[8]。 終了後の展開サービス終了から3年経った2024年、本作と同じく重慶煜顔文化伝播が開発した『エタクロニクル:Re』に、本作とのコラボとしてハバクックが実装された[20]。 世界観20XX年の重イオン衝突実験中に発生した爆発事故により、多元並行世界「アビス」に繋がる次元の裂け目が発生。そこから流入したアビスの海水により海面が急上昇し、陸地の90%が水没する大災害を引き起こしてしまう。 更に、海水と共に流入したアビス由来のエネルギー「ヴォイド」に汚染された地球の海洋生物が異形の生命体「アビソール」へ変貌。海底資源を食い尽くし、地上への侵攻をも開始する。 世界各国の科学者は最先端の叡智を結集し、人間に近い形状を持つアビソールの高知能個体鬼姫(おにひめ)が操る「鬼艦装甲」に対抗して「姫艦装甲」を開発することに成功。その適合者である少女たちが各地から召集された。人類の命運を賭けて選ばれた艦姫(ふなひめ)たちと「アビソール」との、大海原を舞台にした壮絶な戦いが幕を開ける。 ゲームシステム
登場艦船・キャスト中国大陸版では中国語(普通話)キャストの起用で2言語対応が予定されているが[21]、本節では日本語および朝鮮語キャストのみ掲載する。 日本版では旧運営のMTJが公式サイト上で一部キャラクターのMMD用モデルを配布していたが、YYへの運営譲渡に伴い一旦終了していた。これとは別に、日本版の終了発表後にはYYがTwitterに新設した開発チームアカウントでキャラクター原画と3Dモデルを「非商用ならばフリー素材として利用可」とする条件で配布されている[22]。 艦姫アビソールの侵攻に防戦一方だった人類が「鬼艦装甲」を基に開発した「姫艦装甲」の適合者として、世界各地から召集された少女たち。
鬼姫アビソールの中でも高い知能と身体能力を持った個体。日本の伝承に登場する鬼のような角を持つことが特徴のため「鬼姫」と呼ばれている。艦姫の「姫艦装甲」は鬼姫が戦闘時に用いる「鬼艦装甲」を基に開発された。戦闘能力に応じた序列が存在する。 ゲーム中でドロップする「霊魂」を集めることにより浄化され、プレイアブルキャラクターとして使用が可能になる。
楽曲
2018年7月26日のニコニコ生放送でテーマソングの作成が発表され[27]、9月18日に完成版のPVが公開された。 知的財産紛争2018年6月28日、『艦これアーケード』を開発・運営するセガ・インタラクティブ(当時、現「セガ(2代目)」)は同作との「関連性を指摘されているサービス」がスマートフォン向けに提供されていることを把握しており「関係各所と連絡を取り合っております(中略)本製品と類似するサービスは一切提供しておりません」とするプレスリリースを公表した[28][29][30]。 同年7月11日、セガと『艦これ』の原著作に名を連ねるC2プレパラート(代表取締役:田中謙介、以下「C2」)[31]の2社は東京地方裁判所に対して著作権法および不正競争防止法違反を理由に日本国内での『アビス・ホライズン』配信差し止めを求める仮処分を申請した[32][33]。当時の日本版運営であったMTJは仮処分申請に対し「セガ及びC2の主張には理由がなく(中略)今後の裁判手続を通じて、その正当性を主張していく所存です」と全面的に争う姿勢を表明している[33][34]。 7月31日、MTJはセガの報道発表から3週間近く経過した同日の時点で裁判所から仮処分申立の書類送達を受けておらず、セガ側の主張内容を確認できていないとするプレスリリースを公表した[35]。その後、MTJは8月20日に書類送達を受けたことを翌8月21日に公表したが、このプレスリリース上ではセガ側の申請の日付が同社のプレスリリースにある「7月11日」でなく「8月3日」となっていることを指摘している[36]。セガ側は8月24日にMTJの21日付プレスリリースを受ける形で『艦これアーケード』公式サイト上に経過報告を掲載し、7月11日付の申請に手続き上の問題があり一旦取り下げて8月3日に再申請したこと、8月17日に債権者側審尋を終えており9月11日に債務者側審尋が実施される予定であることを公表した[37][38][39]。 セガは2019年1月11日に「2018年12月31日をもってMTJは「アビス・ホライズン」の配信/運営から撤退する事が法廷の場で告知」されたことを艦これアーケードのサイト上で発表し、「MorningTec Japan株式会社が実際に撤退したことが確認でき次第、同社に対して行った申立てを取り下げる予定」とした[40]。これに対し、旧運営のMTJと日本版運営を引き継いだ煜顔国際有限公司(以下「YY」)はそれぞれ前年10月以降の経過説明を行い[41]、その中でセガ側がMTJに対して和解を申し入れていたことを公表した[42]。MTJからYYへ日本版運営権が譲渡されたことについては、YYの設立母体であるshinecolorから「グローバル展開のため」として申し入れがあったことを理由とし、セガとの法廷闘争との関連性については否定している[43]。セガは一部取材に対してMTJ側へ和解を申し入れた事実を否定し、日本版の運営権譲渡が事後に公表されたことと併せて「誠に遺憾」とコメントした[43]。 出典、注釈出典
脚注
関連項目外部リンク
日本国外
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