アクリル酸2-ヒドロキシエチル
アクリル酸2-ヒドロキシエチルは、化学式C5H8O3で表されるアクリル酸エステルの一種である。HEAあるいはBHEAと略記される。 用途熱硬化性塗料、接着剤、繊維処理剤、コポリマーの改質、潤滑油添加剤[3]のほか、共重合による樹脂改質剤、紫外線硬化樹脂用反応性希釈剤としても使用される[4]。市販品には、重合禁止剤としてメキノールなどが添加される[1]。2004年の統計では日本国内の需要量58700トン、輸出量は7060トンであった[4]。 安全性日本の消防法では危険物第4類第3石油類(水溶性)に該当する[1]。日本の毒物及び劇物取締法では毒物となっている。急性毒性は、ラットに経口投与した場合の半数致死量(LD50)が548mg/kg、ラットのミスト吸入で1.87~18.52 mg/L/4Hであり、GHS区分4あるいは区分外であった。ウサギへの経皮投与ではLC50が154mg/kgの数値があり、GHS区分2(毒劇法上の毒物と同等)に該当する。眼に対しても強い刺激性を示し、結膜炎や角膜の混濁、壊死を生じた。これはGHS区分1(毒劇法上の劇物と同等)に相当する[5]。本物質の代謝経路は、他のアクリル酸エステルと同様に、カルボキシルエステラーゼによってアクリル酸とエチレングリコールに加水分解され、最終的に二酸化炭素として呼気より排出される経路、グルタチオンと抱合してメルカプツール酸として尿中に排泄される経路の2通りにより代謝されるものと考えられる。2.5mg/kgを経口または腹腔内投与した場合、呼気に35%、尿に45%が排泄された。50mg/kgの場合はそれぞれ42%、35%となり、尿からの排泄が減少した。これは、代謝がやや飽和していたことを示唆する[4]。水生生物に対しては強い毒性を持つが、生分解性は良好で生物蓄積性は低いと考えられている[3]。 脚注 |
Portal di Ensiklopedia Dunia