ひなたライナー
ひなたライナー(ひなたらいなー)は、かつて京都府京都市を起点に大阪府大阪市・兵庫県神戸市を経て宮崎県延岡市・日向市・宮崎市までの間で運行されていた夜行高速バスである。2019年(平成31年)2月28日出発便をもって廃止された[1]。 本項では、旧路線である「おひさま号」「あおしま号」に加え、「あおしま号」と運行会社が同じで、大阪府大阪市と宮崎県延岡市を結んだ「ひえつき号」についても述べる。 概要「ひなたライナー」は2017年2月1日より運行開始したが、以前にも1989年から1999年の間、「あおしま号」の名称で大阪府大阪市と宮崎県えびの市・小林市・都城市・宮崎市を結んでいた路線が存在した。その後、2008年に京都市・神戸市を新たに停車地に加え「あおしま号」とほぼ同じ経路で結ぶ「おひさま号」として事実上復活したが、2016年9月30日の宮崎出発便(関西出発便は前日の29日)をもって運行休止となっていた。 京阪神と宮崎間を結ぶ公共交通機関は、宮崎空港が宮崎市の中心街から比較的近い場所にあり、かつ空港アクセス鉄道としてJR線が接続しているほか、関西~宮崎間にはフェリーもかつては複数航路が運航し、さらに夜行列車もあったことから歴史的に利用者の選択肢が比較的多様であったが、夜行高速バスについては「あおしま号」「ひえつき号」とも九州内は高速道路を経由することから九州島の西側(熊本県経由)を大回りしており、鹿児島方面系統と比べても距離が長くなるにも関わらず、運賃は鹿児島線よりも安いという営業上不利な点があった。同じ東九州の京阪神と大分県を結ぶ路線も、宮崎と同様にフェリーとの競合があり、近鉄は「エメラルド号」を運行していたが(競合して阪急バスなどの「ゆのくに号」もあった)、こちらも1997年に運行を終了している。 「あおしま号」の廃止後、寝台特急「彗星」も2005年に廃止となり、関西と宮崎を直結する夜行陸上交通は皆無となった(フェリーも航路が減少している)。しかし、宮崎発着は「おひさま号」として、大分発着は2011年12月21日より近鉄と大分側3事業者との共同運行による「SORIN号」として事実上復活したが、「おひさま号」は2016年9月30日をもって運行終了することとなった。なお近鉄の発表によると、「おひさま号」運行終了時点で既に2017年春頃を目処に、これまでの九州島の西側経由から東側の東九州自動車道(延岡・日向)経由に変更して運行再開することが計画されており、同年12月14日には愛称の「ひなたライナー」とともに正式に発表された[2]。 なお、「あおしま号」「ひえつき号」は共同運行会社が同じであるが、熊本以南の運行経路が大きく異なることから、近鉄バスが2006年に統合した「ツィンクル号」(大阪 - 新宿)と「トレンディ号」(大阪 - 八王子)のような路線統合(ともに大阪 - 八王子間の経路がほぼ同じのため、統合して大阪 - 八王子・新宿とした)が困難であったことも両系統が共倒れとなった遠因であった。しかし東九州自動車道の全通により両系統の事実上の統合が24年の歳月を経て実現した形となり、さらに大阪と延岡市を結ぶ夜行バスは24年ぶりに復活した形となった。 しかしながら運行再開後わずか2年で、近鉄バスは「ひなたライナー」の運行を2019年2月28日をもって終了すると発表。背景としてLCC(格安航空便)就航の影響による利用客離れや、近年の燃料費高騰、深刻な乗務員不足などの諸事情により、今後の運航継続が困難になったことが述べられている[1]。 沿革
ひなたライナー2017年2月1日に近鉄バスの単独運行で運行開始。かつての「おひさま号」・「あおしま号」・「ひえつき号」はいずれも熊本県を通るルートであったが、本路線は北九州JCTより東九州自動車道を通るルートとなり熊本県内を通過しない。 運行会社運行経路・停車箇所太字は停車停留所。双方向とも関西圏内ならびに宮崎県内のみの区間利用は不可。
車両日野・セレガハイデッカー車を使用。 おひさま号(廃止)2008年12月1日に近鉄バスの単独運行で「おひさま号」の愛称で運行開始した。かつての「あおしま号」は大阪市内のみからであったが、京都・神戸からも利用可能になった。 運行会社
運行経路・停車箇所運行休止時点。太字は停車していた停留所。双方向とも関西圏内ならびに宮崎県内のみの区間利用は不可。
車両日野・セレガハイデッカー車を使用。
あおしま号(廃止)あおしま号(あおしまごう)は、かつて大阪市と宮崎県宮崎市を結んで運行していた高速バスである。あおしまの名は宮崎県の観光地・青島から取ったもの。沿革にもある通り、当初は毎日運行であったが、末期は季節運行に変更されていた。 運行会社運行経路・停車箇所運行休止時点。太字は停車していた停留所。
所要時間・運賃運行休止時点のデータ。
車両両社とも日野RUグランデッカ(スーパーハイデッカー)で、乗客定員28名の3列独立シート車を使用し、車内はトイレ、自動車電話、車内オーディオ(テレビ・ビデオ・マルチステレオ)、飲み物サービスなどを備えていた。 塗装は、当初2社で共通塗装としていたが(上記宮交車の塗装)、愛称表記は近鉄はローマ字で「AOSHIMA」、宮交はひらがなで「あおしま」と異なっていた(なおかつては、熊本 - 宮崎線「なんぷう号」でも同様に宮崎交通と九州産交バスの共通塗装だが、愛称表記は両社で異なる例があった)。のちに塗装変更で各社別の塗装になった。 ひえつき号(廃止)ひえつき号は、かつて大阪府大阪市と宮崎県延岡市を結んでいた高速バス路線。大阪と宮崎県内を結ぶ路線としては2路線目となった。旭化成の企業城下町である延岡と同社の本社がある大阪の間の利用を見込んだものと考えられるが、利用の不振もあり運行期間は短かった。路線愛称の「ひえつき」は宮崎県の民謡「ひえつき節」に由来する。 なお、旭化成は工場のある延岡市から宮崎空港までヘリコプターをチャーターしていたが、1990年9月に社員が死亡するヘリ墜落事故があり、ひえつき号開設時にはヘリコプターの運行を中止していた。 運行会社
運行経路・停車箇所運行休止時点。太字は停車していた停留所。
所要時間・運賃運行休止時点のデータ。 車両近鉄が当時出たばかりの日野・セレガ、宮交が三菱ふそう・エアロクイーンMを使用し、車内はビデオ・マルチステレオや飲み物などの各種サービスをおこなっていた。宮交はあおしま号と同じデザインで愛称表記のみ「ひえつき」としたのに対し、近鉄は別デザインの車両であった。 運行終了後は、宮交は高速・観光色に変更して他路線へ転出、近鉄はしばらく塗装変更せず(愛称表記は削除)熊本線「サンライズ号」などに使用、のちに2度の塗装変更を経て甲府線「クリスタルライナー」にも運用された。 脚注
外部リンク
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