はた迷惑な人たち![]() 『はた迷惑な人たち』(仏語原題: Les Fâcheux)は、モリエールの戯曲。1661年発表。同年8月17日、ヴォー=ル=ヴィコント城にて初演。舞踊と音楽を融合させた、新たなジャンル「コメディ・バレ」の第1作目。 登場人物
あらすじエラストは宮廷の若い貴族で、オルフィーズと結婚しようとしているが、伯父であるデミスに結婚を反対されている。デミスはオルフィーズの後見人で、なお状況が悪い。エラストはオルフィーズとの逢瀬を楽しむために急いで彼女に会いに行こうとするが、自作の曲と踊りを批評してほしいとか、ピケに負けたので慰めてほしいとか、愛人にもつならどのような女性がいいかの論争に決着をつけてほしいとか、自分の学問的成果を国王に推薦してほしいなどの「はた迷惑な人たち」に邪魔をされてしまうのであった。ようやくオルフィーズの家の前に到着すると、そこにはダミスがいて、暴漢に絡まれていた。エラストはダミスを助け出す。危ないところをエラストに救われたダミスは考えを改めて、エラストとオルフィーズとの結婚を許すのだった。幕切れ。 成立過程1661年8月17日、財務卿ニコラ・フーケは莫大な私財を投じて作らせた居城、ヴォー=ル=ヴィコント城にて、フランスの歴史でも一二を争うほど豪勢なパーティーを催した。本作はその余興のために、フーケの命で制作、上演されたものである。制作の命を受けてから上演まで2週間しかなかったため、様々な作家からアイデアを借用したなどと陰口を叩かれたが、宮廷での公演、ならびにその後のパリ市民向けの公演では大成功を収めた。音楽や舞踊と喜劇を合わせたこの作品は、演劇的な要素をすべて盛り込んだ、総合的なスペクタクルであった。それはこれまでの演劇にはない新しさがあったのである。このようなスタイルの戯曲はコメディ・バレと呼ばれ、モリエールはこれ以後も複数制作している。本作はその第1作目である[1]。 エピソード![]()
評価
ラ・フォンテーヌはプラウトゥスをあまり評価せず、テレンティウスの静かで品のいい芝居を高く評価していた。フランス演劇界では遥かにプラウトゥスの方が人気が高かったが、今日古典派と呼ばれる人たちの間ではプラウトゥスの方が人気が高かった。15行目の「その当時」とはプラウトゥスの時代を指しており、彼にとってはプラウトゥスの賑やかな作品よりも、本作のような、テレンティウスを想起させる静かで落ち着いた作品を見る方がずっと楽しいのであった。なぜなら「やり方を変えたから」である。18行目に現れるジョドレは、当時有名で、人気のあった喜劇役者のことである。極めて特徴的な姿をして舞台に立っており、その姿見たさに観客は増えたが、結局劇の内容に関係なく、単に姿やしぐさなどで笑いをとっているに過ぎなかった。このような個性を生かしたスタンドプレイに走るしかない役者は「過去の人」であり、当時の風俗を題材にとって攻撃対象とし、それを笑いに転化する手法こそ、新たなやり方であると、評価しているのである[5]。 日本語訳脚注・出典参考文献
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