ジョーズ (英 : Jaws )は、世界のユニバーサル・パークス&リゾーツ にある、映画『ジョーズ 』をテーマにしたボート ライド・アトラクションである。
存在するパーク
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン
2001年 3月31日 、パーク開園と同時にアミティ・ビレッジ にオープンした。ユニバーサル・スタジオ・フロリダの同アトラクションがクローズしたことにより、世界で唯一のアトラクションとなった。アミティ・スリーの声は、関時男 が務めている [要出典 ] 。
オープン当初はANA がスポンサーだったが、現在は三井住友カード がスポンサーとなり、プラチナカード 会員向けにラウンジの提供等も行っている[ 1] [ 2] 。
2017年 10月9日 18時頃、ゲスト49人が乗ったボート後部のエンジン付近から黒煙が上がった。ゲストは全員避難し、クルーが消火器で消し止めたため、けが人はなかった[ 3] [ 4] 。
過去に存在したパーク
ユニバーサル・スタジオ・フロリダ
1990年 6月7日 、パーク開園と同時にサンフランシスコ・エリア にオープンした。
オープン直後の故障
1990年 6月7日 、ユニバーサル・スタジオ・フロリダの開業と同時にジョーズがオープニングアトラクションとして披露された。アトラクションで使用されていたサメの重量は3トン、長さは24フィート、ボーイング747 のエンジンと同等の水力で水中を移動する[ 5] 。水中には2000マイルの電線と7500トンの鉄が含まれており、アニマトロニクス のサメはコンピューターで誘導する油圧システムで制御されていた。しかしオープン初日は、悪天候のためライドが正常に機能せず運休した。その日を筆頭に故障が相次ぎ、ゲストの避難誘導を連日行った。
原因としてサメがボートを咬み180度回転させるシーン、フィナーレのサメを爆破させるシーンが挙げられ、頻繁に故障が相次いだ[ 6] 。爆破シーンは映画『ジョーズ』のエンディングを再現したものである。サメがボートを咬むシーンでは本物のサメの歯を使用していたため、ボートが傷だらけになった。そして、サメ自体も水中にいるのが負担となり動作不能となることも多々あった[ 7] 。サメの爆破シーンも動かないことが多々あり、その際は船長がアドリブでフォローしていた[ 6] 。正常に動作した際にも、サメの肉片と血液がリアルなため、本物と勘違いするゲストが苦情を入れるケースも多々あった。爆破シーンには水中爆発効果シミュレーターが使用されており、これにはサメの肉片である小道具と赤い染色液の水を打って放つための水中シューティングが備え付けられていた。ユニバーサルは、これらの問題は修理のみで解決するのは不可能だと判断し、オープンから僅か2か月半後に一旦クローズさせた。
ガソリンタンクの爆発シーン
ユニバーサルは、適切な設計に失敗したとされるライド&ショーエンジニアリング (英語版 ) を訴えたが、試験期間の不足を理由に非難された[ 6] 。後に問題個所は、新たなシーンを製作することで決着した。同じ失敗を繰り返さぬようトータリー・ファン・カンパニー (英語版 ) 、ITECエンターテインメント、インタミン 、オーシャニアリング・インターナショナル (英語版 ) に製作依頼をし、各企業の得意分野を分担して製作を進めていくこととした。サメがボートを咬むシーン、フィナーレのサメを爆破させるシーンは、ガスタンクの爆発とサメが感電死するシーンに置き換えられた。サメの感電死は『ジョーズ2 』のエンディングを再現したもの。新しいサメははるかに信頼性が高く、500馬力のエンジンと同等の力で水中に突進し、水中を移動する12トンの油圧リフトに取り付けられていた。
ライドの重要な役割を担う船長は5日間のトレーニングを余儀なくされ、資格が十分にあるとみなされるまで指導された[ 6] 。アトラクションは、1993年春に正式に再開された[ 7] 。アトラクション成功の代償として膨大な費用が掛かり、製作費は4000万ドル、ボートとガスタンクに使用される石油は年間約200万ドルかかった。そして少なくとも年に1回500万ガロンの水からなるラグーンを排水しなければならなかった。後にそれが問題となり、1995年 6月環境保護局からこれらの排水中の汚染物質の不適切な処理を正すよう命じられた。
ガソリン価格の高騰
フロリダでは2004年 のハリケーン シーズンの後、ガソリン価格の高騰により2005年 の1月から12月にかけて一時的にクローズした[ 6] 。2005年12月から再開したが、2007年 4月まで繁忙期のみ限定でオープンした。ほぼ1年にわたる閉鎖の間に待ち列のリニューアル、ボートとサメの塗り替えが行われた。しかしこれには爆発などの炎の演出の軽減も含まれており、2011年 まで年々炎の演出を弱くリニューアルされてきた。
アトラクションのクローズ
2011年 12月2日 、ユニバーサルはジョーズを含むアミティ・ビレッジ 全体をクローズさせ、ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター のロンドン/ダイアゴン横丁 をオープンさせることを発表した[ 7] 。
ユニバーサル・オーランド・リゾート に存在するもう1つのパーク「アイランズ・オブ・アドベンチャー 」には、2010年 6月18日 にウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター ホグズミード村 がオープンした。それ以来入園者数が偏り、減少傾向にあった[ 7] 。両パークのバランスのを保つため、フロリダにもウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター の第2のエリアを作ることとなり、2012年 1月2日 にクローズした。
現在でもダイアゴン横丁に、映画の挿入歌である「Show Me the Way to Go Home (英語版 ) 」を歌っている装飾があり、別ショップのショーウィンドウにはサメの歯が飾ってある[ 7] 。アトラクションのエントランスに設置されていたサメの像は、サンフランシスコ・エリア のフィッシャーマンズワーフ に移動された。
ストーリー
1974年 、港町 アミティに「ジョーズ」という名前で知られていた巨大なホホジロザメ が現れ、多くの人々が襲われた。マーティン・ブロディとクイント、マット・フーパーによって駆除された後、ブロディはアミティの伝説 となった。この事件をもとに、スティーヴン・スピルバーグ の映画『ジョーズ 』が製作されることになった。しかし、事件後、ジョーズへの恐怖心からアミティの観光客は激減した。島に住む船乗りのジェイク・グランディは、サメの襲撃があった歴史的な場所にゲストを連れて行く新しいボートツアーを開催することを決め、アミティに観光客を呼び戻した。[ 8] 。
待ち列
ここでは様々な釣り 用品や海産物 が展示されており、アミティのローカルテレビ局『WJWS13: The Station That BITES』を放映する多数のモニターが設置されている。この局では、『Hey There, Amity!』」と題したローカル・トークショー、子供向け番組やニュース番組、地元企業の広告、ユニバーサル・ライブラリーからのクラシック映画やテレビ番組の広告などが放送されている。
ライド
ジェイクのツアーボートに乗り込んだ後、ジェイクに任せられた船長と共に1974年の夏に起きたジョーズの襲撃現場に向かう。ボートには40mmライフル(擲弾発射器 )を積んではいるものの、事件以来、アミティでは誰もサメを見たことがないため、使用する必要はないだろうと安心させられている。
ツアーボートがブロディ署長 やボーン市長 の家、そして港側の様々な建物の前を通り、ツアーが始まる。しかし桟橋の上にある灯台に近づくと、ツアーは突然、別のツアーボート「アミティ・スリー」の船長であるゴードンからの無線遭難信号によって中断される。彼の助けを求める声は、恐怖の悲鳴に変わり、沈黙が続く。船長がゴードンのボートで何が起こっているのかを知るために本部と連絡を取り、桟橋を横切ると、アミティ・スリーのツアーボートの残骸が浮かんでいるのを発見する。
すると突然、水中からジョーズと思われる背びれ が現れる。背びれはツアーボートの下に沈んで泳ぎ、ボートは前後に揺さぶられる。船長は右舷 に背びれが水面から浮かび上がるのを見計らい、ライフルを発砲するが、失敗する。2発目を発砲しようとしたが、ひれが水中に戻ったため、またもや失敗してしまう。
船長は、ツアーボートを近くのボートハウスに隠してブロディの到着を待つことを思いつく。船長がツアーボートを停止させ、どこか係留する場所を探していると、ボートハウスの後ろから物音が聞こえるようになる。するとボートハウスの壁が揺れ始め、ジョーズが侵入しようとしていることを知る。ボートハウスから逃げようと試みるが、ギアが入らず発進できなくなってしまう。何とか発進できたと思われたその時、ジョーズが壁を突き破ってボートハウス内に侵入し、ツアーボートのすぐそばまで襲い掛かる。
ツアーボートがボートハウスから脱出すると、無線でブロディから「10分後に到着する」と知らされる。船長は「10分も待っていたらサメの餌になってしまう」と答え、ジョーズを自ら駆除することを試みる。直後にジョーズが現れライフルを発砲するも、驚いた弾みで、間違えてガソリンタンクを撃ってしまい、辺り一面が火の海になった。船長はツアーボートを発進させ、炎がボートに到達する前に脱出することに成功した。
最後の手段として船長は、高電圧の艀 の近くにある古い釣り桟橋でゲストを降ろすことを試みる。しかし、桟橋に着いた途端、ジョーズのヒレが再びツアーボートに向かってくる。突然ジョーズがツアーボートのすぐ横に現れるが、誤って艀 から水没したケーブル に噛みついてしまい、感電死 してしまう。ジョーズがツアーボートを巻き込む蒸気の中に消えていき、蒸気が晴れると、ジョーズの焼死体が再浮上し、ツアーボートに最後の一撃を加えようとする。しかし、船長はすぐにライフルでジョーズに最後の一撃を与え、命中させる。
ゲストは「アミティー島に再び平和をもたらした」と称えられるが、船長は今回の出来事は秘密にしてほしいと言われる。その後、ゲストは再びアミティの港に戻るのだった。
日本版
大まかなストーリーはフロリダ版と同じだが、細かなところで設定が異なる。
名前は『アミティー・ハーバー・ツアー』
待ち列のモニターには、アミティへやってきた観光客へ向けた『Amity Tourism Bureau』が放映され、ミス・アミティとして観光の案内をしているマリリー・クロフォードとアミティの市長であるメジャー・ヴォーンが登場する[ 9] 。また、待ち列の展示物もフロリダのものと異なる[ 10] 。
製作
アニマトロニクス のホオジロザメ
1964年 に開業したユニバーサル・スタジオ・ハリウッド に存在するアトラクション「スタジオ・ツアー」の一部に『ジョーズ 』のシーンを映画公開から1年後の1976年 に追加した。アトラクションの構造として、アニマトロニクス のホオジロザメ がゲストを攻撃するものだった。後にそのサメは、ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドの象徴となる。
当時のウォルト・ディズニー・カンパニー 最高経営責任者 であるマイケル・アイズナー は、このアトラクションの成功を見て、ディズニーパークにも同様のアトラクションを作ろうと構想を練り、フロリダに建設予定のディズニー・ハリウッド・スタジオ に設置を決定した[ 5] 。しかし、ディズニー・ハリウッド・スタジオの建設が決定した際、ユニバーサル側もユニバーサル・オーランド・リゾート の建設を決めた。理由として、近くにパークを設置することで、ディズニーの集客力にあやかりたかったためだとしている。
1985年 、ディズニー・ハリウッド・スタジオの建設が始まった[ 5] 。ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドの類似アトラクション「スタジオ・バックロット・ツアー」の建設を知ったユニバーサル側は、本来ならユニバーサル・スタジオ・ハリウッドのスタジオ・ツアーをユニバーサル・オーランド・リゾート内のユニバーサル・スタジオ・フロリダ にも設置したかったため激怒した。ディズニー・ハリウッド・スタジオが類似アトラクションを建設したため、フロリダ内でコピーだと思われることを避ける必要があり、ユニバーサル・スタジオ・フロリダへのスタジオ・ツアーの建設を断念した。そのため、ユニバーサル・スタジオは、スタジオ・ツアーの各場面を分割、最も人気の高いシーンをピックアップし、それ自体をアトラクション化することを決定した。それがジョーズである。
デザイン担当のピーター・アレキサンダーは、アトラクションをウォーターライドにし、クライマックスシーンのみサメを登場させる構造を考えていた[ 5] 。しかし、映画のストーリー展開をより忠実に再現するため、アトラクション製作には映画シリーズで監督を務めたスティーヴン・スピルバーグ も参加した。彼らは、サメと周辺の特殊効果をより良く製作するため、以前にスタジオ・ツアーのジョーズのシーンの製作依頼をしたライド&ショーエンジニアリング (英語版 ) に再び依頼した。コストは当時で3000万ドル、現在で5300万ドルをかけて製作された。
脚注
外部リンク
ジョーズ
シリーズ 関連人物 ゲーム 関連項目
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