X-Seed 4000
X-Seed 4000(エクシード―4000)は、大成建設によって1989年に構想されたハイパービルディング計画である。 概要X-Seed 4000 は、800〜1,000階建て、高さ4,000メートルに達する超高層建造物として構想された。これは、世界で構想された建築物の中で東京バベルタワーに次いで2番目に高い建築物とされている。なお、建築物以外の人工構造物としては、軌道エレベータ[1]など、さらに地表から高くに到達する計画も存在している。 構造設計延床面積は約7,000ヘクタール(東京ドーム約1,500個分)に達し、最大で100万人が生活可能な設計となっていた。建物の1階部分の直径は6,000メートルと非常に広大であり、上階に行くほど細くなる形状を採用。全体としては、日本の象徴である富士山型の外観を持つ(富士山の高さは3,776メートルである)。 建物内部は、30階ごとに約100メートルごとに完結するゾーン構想を採用され、各ゾーンには住宅、オフィス、商業施設、公共施設、公園など、都市機能を包括的に配置する計画だった。ゾーン構造は、住民の生活圏を分散化しながら効率的にまとめる目的があった。 内部交通システムとしては、超高速エレベーターに加え、横移動を可能にするモノレール型の移動手段や、パーソナルモビリティの利用が検討されていた。また、緊急時の避難経路やセキュリティシステムも、現代技術を超える高度な設計が求められていた。 環境対策と技術的特徴建物全体においては、地球環境に配慮した設計が施される予定だった。もし建設が始まれば以下の設計が施される予定。
建設地と経済的要因建設地としては、広大な敷地と安定した地盤が必要であることから、東京湾の人工島が想定されていた。この選定は、日本の都市圏の人口集中を緩和しつつ、海洋エリアを有効活用する意図があった。推定工費は約200兆円、建設期間は約30年と見積もられ、これらは当時の技術水準や経済状況を大きく超える規模だった。これに加えて、建築中に発生する労働力不足や資材調達の課題、膨大な運用コストが懸念されていた。 技術的課題この計画を阻む主な技術的課題は以下の通りが課題だった。
歴史的背景と意義この構想は、1980年代の日本がバブル経済期に突入し、技術と経済力への自信が頂点に達した時代の産物である。X-Seed 4000は、単なる建築物という枠を超え、「未来都市」の象徴としての役割を果たし、地球上の人類の可能性を広げる壮大な挑戦でもあった。 しかし、1990年代のバブル崩壊とその後の経済停滞、技術的課題の多さ、プロジェクトの費用対効果に対する疑念などが重なり、具体的な施工計画が実現することはなかった。 未来へのインスピレーション現在では、X-Seed 4000 は建築史や未来都市計画の象徴的な構想として語り継がれ、人類が想像し得る究極の建築デザインの一つと見なされている。このプロジェクトが実現しなかったにもかかわらず、環境への配慮、都市の自給自足、超高層技術など、現代の建築や都市計画に多くの影響を与えている。 想定される建材の種類と必要な特性X-Seed 4000の規模から考えると、従来の建築資材だけでは重量や強度、耐久性の点で不足します。そのため、次世代型の特殊素材が必要とされます。
圧縮強度は通常のコンクリートの2〜10倍(150〜200 MPa以上)。 軽量化と高い耐久性を兼ね備えており、風圧や地震動に耐えるための基礎部分や柱に適用可能。
高い引張強度と軽量性を持つ。 主に外壁材や支柱部分に利用可能。 耐腐食性が高く、外部環境に対する耐久性も抜群。
比重が軽く、耐熱性や耐食性に優れる。 屋根部分や高層部の支柱に使用される可能性が高い。
ナノレベルでの保護膜として外壁に使用。 優れた防水性、断熱性、耐紫外線性を提供し、建材の寿命を延ばす。
電気刺激で透明度や遮熱性を調節可能。 太陽光を効率的に利用し、建物内の温度制御に貢献。 必要な資材の量高さ4,000メートル、延床面積7,000ヘクタールを持つ建物の場合、以下の資材量が試算されます。
単価:約2万円/立方メートル(UHPC使用の場合) 必要量:約50億立方メートル 計:100兆円
単価:約50万円/トン(高性能素材使用時) 必要量:約1億トン 計:50兆円
単価:約5万円/平方メートル 必要量:約2,000万平方メートル 計:1兆円
建設には数百万人の労働力が必要。平均労働単価を1人日あたり3万円とし、30年にわたる施工を仮定。 総人件費:30兆円
超高速エレベーター:約5兆円 モノレールやパーソナルモビリティ:約3兆円
太陽光発電、風力発電、水力発電:約10兆円 空調・気圧調整システム:約5兆円
耐震・免震技術の開発・導入:約10兆円
資材コスト、労働コスト、インフラコストを合計すると以下の通り: 資材コスト:約151兆円 労働コスト:約30兆円 インフラコスト:約33兆円 総計:約214兆円 持続可能性の観点からの試算太陽光発電:年間約100GWの発電能力が見込まれ、建物内のエネルギー需要をほぼ自給可能。 内部農場:建物内で年間100万トン以上の食料生産が可能(垂直農業の技術を活用)。
関連項目
脚注関連文献
外部リンク
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