TANSTAAFL (タンスターフル) とは、「何も失わずに何かを得られることはない」という考えを伝える有名な格言を指すアクロニム。元のフレーズは "There ain't no such things as a free lunch" (無料のランチなんて在るわけない) である。これには「ain't」を「is」に変えるなど複数のバリエーションがあり、アクロニムでもTINSTAAFLやTNSTAAFLが使われる。
ロバート・カロ(英語版)によれば、1933年にニューヨーク市長になったフィオレロ・ラガーディアが発言した「È finita la cuccagna!」は、意味は「コケインは終わりだ[注 1]」であり、意訳すれば「もう無料のランチはない」である。ここでの「無料のランチ」は、収賄や汚職を指すとしている[1]。
完全なフレーズ "There ain't no such thing as free lunch" ("a free" と "free" の違い) の、現在確認されている最初の出現は、1938年6月27日のエルパソ・ヘラルド・ポスト(英語版)に「8語の経済学」と題した記事に関連した、ジョークのオチとしての表現である。また、スクリップス・ハワード・ニュースペーパーズでもほぼ同時期に使われている[12][13]。
1945年、コロンビア・ロー・レビュー(英語版)に "There ain't no such thing as a free lunch" が現れた。また、"there is no free lunch" は1942年のエルウィン・デイリー・レジスターに経済学者ハーレー・L・ルッツの発言の引用として出現し、1947年には経済学者メリール・ルーカイザー(英語版)のコラムで使われた[4][14]。
1949年、このフレーズは、6月1日発行のサンフランシスコ・ニュースのウォルター・モロウによって書かれた記事に出現した。そして、ピエール・ドス・ウットのモノグラフ "TANSTAAFL: A Plan for a New Economic World Order" (新経済秩序の計画) の中で、"no free lunch" の原理に基づいた理論により、寡頭制の政治制度について述べている[15]。
1938年と1949年には、ドス・ウットの改作したネブカドネザル2世の寓話の中で、経済顧問に助言を求める王に関連付けて使用された。また、古い社説より派生したと主張しているモロウの改作では[注 2]、エルパソ・ヘラルド・ポストの以前の記事での関連する話と、かなり類似したものとなっている。ドス・ウットの改作との違いは、君主が「あらゆる主要な改善策」に、同意しないという単純な反対を行う、オリジナルの「600ページ87巻」の話に沿って、同意しないだけでなく、もっとシンプルな (短い) 助言を求める点である。最後に生き残った経済学者は "There ain't no such thing as free lunch." と助言している[16]。
1946年、それは将軍が亡くなる少し前だったようだ…記者のグループは、彼が長年の経済学の研究により得たいくつかの不変の経済の真理を、その中の1つでも教えてもらえないかと将軍を訪ねた…将軍は「これは不変の経済の真理である」、それに続けて「それは "there is no such thing as a free lunch." だ」と言った。
—Fetridge, Robert H、Along the Highways and Byways of Finance、The New York Times (Nov 12, 1950)
ベースボール・プロスペクタス(英語版)は、多くの若い投手がメジャーリーグでの活躍前に腕を痛めてしまうことを "There Is No Such Thing As A Pitching Prospect" (有望なピッチャーはいない) と表現し、"TINSTAAPP" という略語を作った[25][26]。
^McConnell, Campbell R.; Stanley L. Brue (2005). Economics: principles, problems, and policies. Boston: McGraw-Hill Irwin. p. 3. ISBN978-0-07-281935-9. OCLC314959936
^Dolan, Edwin G. (1971). TANSTAAFL (There Ain't No Such Thing As A Free Lunch) – A Libertarian Perspective on Environmental Policy updated and reissued in 2011
^Simon, N.; Tibshirani, R. (2014). "Comment on "Detecting Novel Associations In Large Data Sets" by Reshef Et Al, Science Dec 16, 2011". arXiv:1401.7645 [stat.ME]。