『LUNAR ザ・シルバースター』(ルナ ザ・シルバースター)は、1992年6月26日に日本のゲームアーツから発売されたメガCD用ロールプレイングゲーム。
同社の『LUNARシリーズ』(1992年 - 2015年)の第1作目。主人公のアレス・ノアを操作し、魔法皇帝を倒して魔法世界ルナを救出する事を目的としている。人と会話をして情報を集め、戦闘で経験値とお金を増やし、冒険をしていくオーソドックスなRPGである。戦闘システムは距離や移動距離など、「長さ」の概念を搭載し、戦略的な戦闘が出来るようになっている。
開発はゲームアーツが行い、プロデューサーはパソコン用ソフト『シルフィード』(1986年)や『VEIGUES』(1988年)を手掛けた宮路洋一、シナリオは小説家の重馬敬、音楽はメガドライブ用ソフト『鋼鉄帝国』(1992年)を手掛けた溝口功、岩垂徳行、窪寺義明やメガドライブ用ソフト『ラングリッサー』(1991年)を手掛けた藤岡央、キャラクター・デザインはアニメーターの窪岡俊之が担当している。
後にリメイク作として1996年にセガサターン版、1998年にPlayStation版、1999年にWindows版が発売された他、機種によってはゲームボーイアドバンス用ソフト『LUNAR 〜レジェンド〜』(2002年)、PlayStation Portable用ソフト『LUNAR ハーモニーオブシルバースター』(2009年)としてタイトルを変更して発売された。ゲームボーイアドバンス版はゲーム誌『ファミ通』の「クロスレビュー」にてシルバー殿堂を獲得した。
後に続編としてメガCD用ソフト『LUNAR エターナルブルー』(1994年)が発売され、以後シリーズ化された。
リメイク版である『シルバースターストーリー』、『LUNAR 〜レジェンド〜』、『ハーモニーオブシルバースター』についても本項で述べる。
1992年6月26日にメガCD用(以下MCD版)初のRPGソフトとして発売。その後リメイクとしてセガサターン版(以下SS版)が1996年7月4日に発売された。その際、サブタイトルが『ザ・シルバースター』から『シルバースターストーリー』に変更になった。それからちょうど一年後、ムービーをMPEGとして収納したMPEG版が1997年7月4日に発売された。この二つに内容の違いはほとんど無い(細かい違いについては後述)。
PlayStation版(以下PS版)が1998年5月28日に発売。PS版はSS版にはなかった追加要素が存在する。また、Windows版として、1999年12月8日にESPからCD2枚組で発売された。こちらはPS版とほぼ同じ内容である。
また、ゲームボーイアドバンス版(以下GBA版)として、『LUNAR 〜レジェンド〜』が2002年4月12日にメディアリングより発売された。こちらはシステムからシナリオに至るまで全てが見直されている。
2009年11月12日にはPlayStation Portable版(以下PSP版)として、『LUNAR ハーモニーオブシルバースター』がガンホー・ワークスより発売。
リメイク版で大幅に変わっている部分もあるため、システムの変更点については後述。
女神アルテナと彼女を支える4体のドラゴン、そしてその庇護を受ける伝説の勇者ドラゴンマスターらによって治められてきた、空に青き星を見上げる“魔法世界ルナ”。彼らの力によって、世界は悠久とも思える平和が続いていた。
しかし、いつの頃からか女神アルテナはその姿を現さなくなり、先代のドラゴンマスターは行方不明となり、彼を最後に勇者も生まれなくなっていた。そのルナの世界を、魔法皇帝を名乗る男が手中に収めようとしていた。
15年前の戦争で活躍した「四英雄」の活躍がまだ記憶に新しい頃、魔法皇帝の噂もろくに届かないほどの世界の片隅にあるブルク村に住む少年・アレスは、憧れである「ドラゴンマスター」となることを夢見て、自分もいつか冒険の旅に出ることを考えていた。
ある時、友人のラムスから「白竜の洞窟」への冒険へと誘われたアレスは、村の歌姫であり彼の幼馴染でもある少女ルーナ、そして小さな謎の生物、ナルと共に小さな冒険に旅立っていった。そこで手に入れた「白竜のダイヤ」を売るために出かけた道中、謎の男・レイクに助けられ、メリビア行きの船が往来する港町サイスに到着する。
魔法使いの森でキザな魔法使い・ナッシュが仲間となり、四英雄の一人メル提督が治める自由都市メリビアに到着した一同は、ナッシュが所属している魔法ギルドのある魔法都市ヴェーンを目指し、そこで四英雄のガレオンと対面する。
魔法ギルド当主の娘・ミアを仲間にした一行は、新たなドラゴンマスターの噂のあるランの村へと向かうが、その近辺を根城とする若き山賊の頭・キリーと、勝気な少女ジェシカを仲間にする。
魔法都市ヴェーンに戻った一行は、魔法ギルドの当主であり四英雄の一人レミリアによって、地下牢へと投獄されてしまう。だが、ミアによって助けられ「最近様子がおかしい母親のレミリアを救ってほしい」と助けを求められる。クリスタルの塔で、歌うルーナを取り囲んでいる四英雄による謎の儀式を目撃する。
魔族と魔法皇帝の暗躍を知った一行は、魔法皇帝の真意を探るため、魔法ギルドの宰相・ガレオンとともに、アレスの旅立ちの切っ掛けとなった白竜・ファイディに会うため、アレスたちの生まれ故郷であるブルグ村を目指す。しかし、魔法皇帝が現れて強力な魔法によって白竜ファイディは消滅させられ、アレスたちを一撃のもとに倒してルーナをさらってしまう。
その後、様々な冒険を続けていく中で、これまで自分たちを助けてくれたレイクこそが、かつての四英雄ドラゴンマスター・ダインだったことを知る。15年前、ダインと心を通わせた女神アルテナは、自ら「人間」へと転生する決断をし、その儀式によってダインはドラゴンマスターとしての力を失ってしまう。そしてアルテナの転生した赤子こそが、ルーナだったのだ。
さらに、世界を危機に陥れている魔法皇帝の正体が、四英雄の一人であるガレオンであることが判明する。圧倒的な魔法力を持って魔法世界ルナを統べていた女神アルテナを信奉していたガレオンは、「女神アルテナの人間への転生」を受け入れることができず、ルーナを操ってその力を我が物にして、自身が神となることを目論んでいたのだ。
ブルグ村の墓石に刺さっていた剣を引き抜いて『ドラゴンマスター』となったアレスは、白竜の姿になったナルの背に乗って、最終決戦の地である魔導都市アルテナへと向かう。
アレス達は、ガレオンの側近の魔女ロウイスとゼノビアたちを倒し、魔法皇帝ガレオンを打ち倒す。だが、魔導都市アルテナに集まり続ける魔法力は止まらず、ルナ世界の滅亡を避けるため、そしてルーナを助けるため、アレスは先代ドラゴンマスターと同様に「自らの魔法力を失う覚悟」をして、洗脳された女神アルテナに近づいていく。
「自分さえ消えれば、魔導都市アルテナの力を暴発させて世界の滅亡を食い止められる。だから、みんなを巻き込みたくなかった」というルーナに、アレスは「自分たちの力を信じよう」とルーナに語りかけ、二人は抱きしめあう。
他のメンバー達が脱出した後、魔導都市アルテナは大爆発してしまうが、魔法力によって転移してきた二人は皆の前に現れる。ブルク村に帰ってきた二人は、ドラゴンマスターの剣の丘の前で手を繋いで「青き星」を眺めたところで、物語は終わりを告げる。
リメイク版はMCD版と比べてアニメーションのデジタル化や追加変更、シナリオの修正などが大幅に行われているが、ストーリーの大筋は変わっていない。
大まかな変更点は以下の通り。
※各人物の役割はスタッフロールでは明確にされていない。
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