HD 28185 b は、地球 から約129光年 の距離に存在する太陽に似た恒星 HD 28185 を周回する太陽系外惑星 (巨大ガス惑星 )である。天球 上ではエリダヌス座 の方角に位置する。この惑星は2001年 4月、CORALIE (英語版 ) による南天の太陽系外惑星の調査で発見された。2008年 に行われたMagellan Planet Search Program (英語版 ) による調査でも改めてその存在が確認されている[ 3] 。HD 28185 bの軌道 は恒星 のハビタブルゾーン の内側の境界付近内に位置している[ 4] 。
発見
HD 28185 bの発見は、それまでに見つかっていた他の多くの太陽系外惑星と同様、惑星の重力 による恒星のふらつきを検出するドップラー分光法 により行われた。この方法では、ドップラー効果 による恒星のスペクトル の変化から惑星の存在を導き出す。2001年 、HD 28185のスペクトルが383日の周期 で変化しており、かつその振幅 から、下限質量 が木星 の5.72倍の惑星が存在しているとの発表がなされた[ 2] 。
軌道と質量
HD 28185 bは恒星を1.04年で周回する軌道 をとる。それまでに見つかっていた長い公転周期 を持つ他の多くの太陽系外惑星と異なり、HD 28185 bは太陽系 の火星 に匹敵する低い軌道離心率 の軌道を持つ[ 5] 。その軌道は恒星 のハビタブルゾーン 内に位置している[ 4] 。
視線速度法の振幅から、HD 28185 bは最低でも太陽系の木星 の5.7倍の質量を持つ惑星であることが判っている。しかし、視線速度法で判るのは最低質量だけであり、惑星の軌道傾斜角 によっては真の質量 はこれより大きな値である可能性もある。
性質
HD 28185 bはその大きな質量から固体の表面を持たない巨大ガス惑星 だろうと考えられている。しかし、惑星の観測データが視線速度法による間接的なものに限られているため、その半径 や組成、温度 といった情報は不明である。
HD 28185 bの軌道がハビタブルゾーン 内に位置することから、この恒星系 には生命が存在するのではないかとの推測がなされている[ 6] 。ガス惑星に生命が存在できるかは不明だが、シミュレーション によればHD 28185 bはその周囲に地球質量の衛星 を数十億年に渡り保持することが可能であるとの報告がなされている[ 7] 。もしこのような衛星が存在するのであれば、そこには生命が存在可能な環境 が広がっていると考えられる。ただし、HD 28185 bの周囲にそのような衛星が形成されうるのかについては、はっきりしていない[ 8] 。その他のシナリオとしては、小さな惑星がHD 28185 bのトロヤ点 に長期間安定して存在する可能性が提示されている[ 9] 。木星の5.7倍という巨大質量を持つHD 28185 bでは、木星の衛星やトロヤ群 のようにこうした天体が成立する可能性がある。
脚注
^ a b c d e “HD 28185 b ”. NASA Exoplanet Archive . NASA Exoplanet Science Institute. 2020年11月3日 閲覧。
^ a b c d e f g h i j k l Santos, N. C. et al. (2001). “The CORALIE survey for southern extra-solar planets”. Astronomy & Astrophysics 379 (3): 999–1004. Bibcode : 2001A&A...379..999S . doi :10.1051/0004-6361:20011366 . ISSN 0004-6361 .
^ Minniti, Dante et al. (2009). “Low-Mass Companions for Five Solar-Type Stars From the Magellan Planet Search Program”. The Astrophysical Journal 693 (2): 1424–1430. arXiv :0810.5348 . Bibcode : 2009ApJ...693.1424M . doi :10.1088/0004-637X/693/2/1424 . ISSN 0004-637X .
^ a b Jones, Barrie W. et al. (2006). “Habitability of Known Exoplanetary Systems Based on Measured Stellar Properties”. The Astrophysical Journal 649 (2): 1010–1019. arXiv :astro-ph/0603200 . Bibcode : 2006ApJ...649.1010J . doi :10.1086/506557 . ISSN 0004-637X .
^ Butler, R. P. et al. (2006). “Catalog of Nearby Exoplanets”. The Astrophysical Journal 646 (1): 505–522. arXiv :astro-ph/0607493 . Bibcode : 2006ApJ...646..505B . doi :10.1086/504701 . ISSN 0004-637X .
^ Mullen, L. (2001年8月8日). “Extrasolar Planets with Earth-like Orbits ”. 2011年10月18日時点のオリジナル よりアーカイブ。2020年11月3日 閲覧。
^ Barnes, Jason W.; O’Brien, D. P. (2002). “Stability of Satellites around Close‐in Extrasolar Giant Planets”. The Astrophysical Journal 575 (2): 1087–1093. arXiv :astro-ph/0205035 . Bibcode : 2002ApJ...575.1087B . doi :10.1086/341477 . ISSN 0004-637X .
^ Canup, Robin M.; Ward, William R. (2006). “A common mass scaling for satellite systems of gaseous planets”. Nature 441 (7095): 834–839. Bibcode : 2006Natur.441..834C . doi :10.1038/nature04860 . ISSN 0028-0836 .
^ Schwarz, R. et al. (2007). “Survey of the stability region of hypothetical habitable Trojan planets”. Astronomy & Astrophysics 474 (3): 1023–1029. Bibcode : 2007A&A...474.1023S . doi :10.1051/0004-6361:20077994 . ISSN 0004-6361 .
関連項目
外部リンク
座標 : 04h 16m 27.32s , −10° 33′ 03.0″