Actor (アルバム)
『Actor』(アクター)は、日本のポップ・ロック・バンドである緑黄色社会の通算3枚目のフル・アルバム。2022年1月26日にEpic Records Japanから発売された[1]。前作『SINGALONG』から1年4か月ぶりとなるアルバム[2]で、前作『SINGALONG』以降に発売されたシングル表題曲「結証」「LITMUS」のほかに、シングル『LITMUS』に収録された「これからのこと、それからのこと」、配信限定でリリースされていた「たとえたとえ」「ずっとずっとずっと」の5曲に加え、WOWOW『アーバンスポーツ』テーマソングとして提供された「merry-go-round」、スズキ「ソリオ バンディット」のCMソングとして書き下ろされた「Landscape」などの未音源化曲を含めた全14曲が収録された[1]。前作以降に発売されたシングル曲のうち、「アーユーレディー」は未収録となった。 アルバム『Actor』は、2022年2月1日に発表されたオリコン週間アルバムランキングと2月2日に公開されたBillboard Japan Hot Albumsでは、それぞれ初登場4位を記録。 背景・リリース2021年12月3日、2021年1月26日にフル・アルバム『Actor』を発売することを発表[3]。同日にYouTubeの公式チャンネルを通してティーザー映像が公開された[4]。Tシャツ付きの完全生産限定盤、Blu-ray付きの初回限定盤、CDのみの通常盤の3形態での発売で、Blu-rayには今年に行われた全国ホールツアー「リョクシャ化計画2021」より7月4日に行われた東京公演の模様を収録[1]。 2022年1月1日に本作の収録内容とジャケットビジュアルが解禁された。ジャケットに登場している動物たちは、それぞれ楽曲のモチーフになっている[5]。同日には本作から「Landscape」の先行配信が開始され[5]、1月21日に「キャラクター」の先行配信が開始された[6]。 1月24日、全曲トレーラーが公開された[7]。 アルバムタイトルアルバムタイトル『Actor』は、長屋が発案したもの。本作にはタイアップ曲が多く収録されており、長屋は また、長屋は本作のタイトルが「今の世の中的にもマッチするタイトル」という考えを示し、「「何者にでもなれるよ」という意味合いで伝わってほしいなと思ったんです」「自分のことを「しょうもない人間だ」と思っていたとしても、何者でもない人はいないから」と付け加えている[8]。 評価音楽ライターの秦理恵は、『Skream!』に寄稿したレビューで、2021年を通じてテレビドラマやCMソングとして書き下ろされた楽曲がアルバムの半分以上を占めていることを挙げた上で、 『bounce』(2022年2月号)で、大原かおりは本作を 音楽ライターの高橋智樹は、『ROCKIN'ON JAPAN』3月号に寄稿したレビューで、 ライブツアー3月20日から6月19日にかけて本作を引っさげた全国ホールツアー『Actor tour 2022』を開催[12][13]。ツアーは全国19会場・20公演で行われ、3万5000人を動員した[13]。ツアー中の4月17日の埼玉・三郷市文化会館公演では『クレヨンしんちゃん』の主人公である野原しんのすけがサプライズ登場し、同月22日に公開の映画『クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝』の主題歌「陽はまた昇るから」と「オラはにんきもの」などで共演した[14]。2022年11月9日に発売された6thシングル『ミチヲユケ』の初回生産限定盤に付属のBlu-rayに、6月18日の仙台サンプラザホール公演のライブ映像が収録された[15]。 収録曲
曲の解説Actor「Actor」は、アルバムのオープニングトラック用の楽曲[8]。当初から「前作『SINGALONG』で制作されたオーバーチュアを入れたい」という話が存在していて、小林は「タイトルを『Actor』にしようということから、舞台が始まる感じにしたいと思った」と語っている[16]。 長屋の「フィンガースナップを入れたい」というアイデアをヒントに、穴見の作業部屋に小林とpeppeが集まって楽曲制作が行なわれた[16]。peppeは、初めは全然アイデアが湧かなかったが、穴見の作業部屋の暗い雰囲気で爪弾いていたらフレーズが出てきたと回想している[16]。曲のイメージは、小林 キャラクター→詳細は「キャラクター (曲)」を参照
「キャラクター」は、本作のリード曲[17]。 merry-go-round「merry-go-round」は、WOWOW『アーバンスポーツ』番組テーマソングで、 歌詞は、かねてから長屋のスマートフォンのメモに残っていた最初の4小節分をベースに、アレンジに合わせて手が加えられたもの[16]。歌詞を書いた長屋は、「自分の書いた歌詞の中でお気に入りのランキング」があることを明かした上で、「ベスト5に入るくらいのお気に入り」としている[16]。 ドラムのパートは、キックドラム、スネアドラム、ハイハットを個別に録音したものを後で加工してつなぎ合わせて、電子ドラムの要素を追加して作り上げられた[19]。穴見は、アレンジャーの川口圭太と「ポップだけど少し変態チックなサウンドアレンジ」を目指したと語っている[19]。 これからのこと、それからのこと→詳細は「LITMUS (曲) § これからのこと、それからのこと」を参照
「これからのこと、それからのこと」は、2021年8月25日に発売された4thシングル『LITMUS』のカップリング曲[20]。 安心してね「安心してね」が最初に作られたのは2016年6月で、名古屋で初のワンマンライブを開催するにあたり、曲が足りないということから急遽作られた[16][21]。長屋は「スピッツの『リコリス』みたいな、あまり音が動かないメロディーにしたいと思って作った」とし、歌詞について「そのときのワンマンライブのお客さんに向けてのメッセージの意味合いもあって、今でもその根本は変わらない」と語っている[16]。メンバー全員でスタジオに入ってからアレンジが加えられたが、長屋 元々のデモ音源は長屋の弾き語りだったが、穴見が当時ドラムンベースをよく聴いていて、その影響から疾走感のある楽曲に仕上げられた[21]。なお、イントロのエレクトリックピアノのフレーズは、デモ音源にも入っていた[21]。 LITMUS→詳細は「LITMUS (曲)」を参照
「LITMUS」は、2021年8月25日に4thシングルとして発売された楽曲[20]。 ずっとずっとずっと→詳細は「ずっとずっとずっと」を参照
「ずっとずっとずっと」は、2021年6月4日に配信限定シングルとして発売された楽曲[22]。 揺れる「揺れる」は、上京して間もない時期にできた楽曲。長屋は 小林は、ギターにトレモロを使っているほか、ミキシング時にピンポン効果を入れている[16]。peppeは、ウーリッツァーを使用しており、 曲中には、長屋が「スタジオに行く途中で思いついた」というしゃべり声が入っている。ミキシング時に、穴見は「せっかく入れたならもっと大きく聴かせたい」と意見したが、長屋によって止められた[16]。 たとえたとえ→詳細は「たとえたとえ」を参照
「たとえたとえ」は、2021年3月19日に配信限定シングルとして発売された楽曲[23]。 アラモードにワルツ「アラモードにワルツ」は、peppeがあるタイアップ[注釈 2]用に新曲の制作を行なった後、「何も考えずにもう1曲作ろう」と思ったことから書いた楽曲で、「最近三拍子の曲をやっていないから作ってみるかっていうくらいのノリでやってみた」と語っている[16]。peppeによると中世のヨーロッパで、お屋敷でフリフリのドレスを着た女の子がクマのぬいぐるみを持っている」イメージが湧いたとのことで、仮タイトルは「ワルツとクマ」[16][24]。 歌詞を書いた長屋は、「イメージはすごく湧いてくる」としたうえで、メロディーの構成が少し変わっていることもあり、難しかったと語っている[16]。3か月かけて歌詞が練られ、レコーディング直前に完成となり、長屋は「結果、入れたい言葉をうまく散りばめられてよかった」と語っている[16]。レコーディングは2テイクで完成。Tomi Yoのアレンジでフルート、クラリネット、オーボエが加えられている[16]。 結証→詳細は「結証」を参照
「結証」は、2021年2月3日に3rdシングルとして発売された楽曲[25]。 S.T.U.D「S.T.U.D」は、穴見が「バンドが太くかっこよく見せられる曲を作りたい」と思って書いた楽曲[16]。LASTorderによりエレクトロの要素が取り入れられ、Naoki Itaiによるブラスアレンジが取り入れられている[16]。Bメロでは小林もボーカルを担当しており、穴見は タイトルの「STUD」は、スパイクシューズの靴底の突起のことであり、歌詞中ではこの頭文字を取って母親からの言葉にして歌われている[16]。歌詞にある「位置につけ“Re”スタート」というフレーズは、1stアルバム『緑黄色社会』に収録の「Re」にかかっている[24]。 アルバム発売後、東海ラジオ『ガッツナイター』2022年度テーマソングとして使用されることが発表された[26]。 Landscape「Landscape」は、スズキ「ソリオ バンディット」CMソングとして書き下ろされた楽曲[27]。小林は 穴見によると、「K-POPとthe band apartの間みたいな曲を作ったらどんな感じかな?と思って自分なりに進めていた曲」。peppeは、ピアノのパートを「ペダルの長さとか、曲に合うようにパキッとしたい」ということから打ち込みで作った[16]。 2021年12月31日から1月1日にかけて放送されたTBS系『CDTVライブ!ライブ! 年越しスペシャル 2021→2022』で披露された[28]。Billboard Japan Download Songsでは2022年1月5日に公開されたチャートで初登場67位を記録し[29]、翌週のチャートで第17位を記録した[30]。Billboard Japan Hot 100では2022年1月12日に公開されたチャートで初登場58位を記録[31]。オリコン週間デジタルシングル(単曲)ランキングでは最高位26位を記録[32]。 スクリーンと横顔「スクリーンと横顔」は、本作において「安心してね」に次いで古くから存在する楽曲。歌詞先行で作られた楽曲で、仮タイトルは「長屋歌詞4」[16][注釈 3]。2017年にワンコーラス分の歌詞が書かれ、この時点で長屋は映画をモチーフにすることだけを決めていた[16]。その後、4年越しに続きが書き加えられた[16]。 メロディーはpeppeがつけたもので、長屋は アルバムを引っさげたホールツアーでは、オープニング・ナンバーとして演奏された[33]。 クレジット※出典[34](特記を除く)
チャート成績週間チャート
年間チャート
脚注注釈出典
参考文献
外部リンク
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