『雪崩』(原題:Avalanche)は、アメリカ合衆国のハードロック・バンド、マウンテンが1974年に発表した通算6作目のアルバムで、スタジオ・アルバムとしては4作目に相当する[注釈 1]。1973年8月から1974年末まで続いた第一回目の再結成期で発表された唯一のスタジオ・アルバムである。
解説
マウンテンは1972年2月に解散したが、1973年8月の日本公演のために、フェリックス・パパラルディ(ベース・ギター、ボーカル)とレスリー・ウェスト(リードギター、ボーカル)のオリジナル・メンバーにボブ・マン(リズムギター、キーボード)とアラン・シュワルツバーグ(ドラムス)が加わった4人で再結成された[注釈 2]。日本公演の後、二代目ドラマー[注釈 3]のコーキー・レイングが復帰。マンの後任にデヴィッド・ペリーを迎えて[2]、本作が制作された。
全10曲の収録曲のうち、ジェリー・リー・ルイスが1957年にヒットさせた「ホール・ロッタ・シェイキン・ゴーイン・オン」[注釈 4]とローリング・ストーンズの「サティスファクション」以外の8曲が彼等の新曲。これまでのアルバムと同様にパパラルディがプロデュース[注釈 5]、彼の夫人のゲイル・コリンズがジャケットのデザインを担当した。
彼等は1974年末のライヴを最後に解散。本作はパパラルディ[注釈 6]在籍時の最後のアルバムとなった[2]。
反響・評価
母国アメリカでは、Billboard 200で102位を記録した[1]。ジェイムズ・クリスペルはオールミュージックにおいて5点満点中2点を付け「ジェリー・リー・ルイスのカヴァー"Whole Lotta Shakin' Goin' On"[注釈 4]や"You Better Believe It"が聴き所で、後者は『勝利への登攀』の頃に回帰したかのようなサウンドだ。しかし、残りの曲は雪崩に埋もれてしまったかのように聴こえる」と評している[3]。
収録曲
- ホール・ロッタ・シェイキン・ゴーイン・オン "Whole Lotta Shakin' Goin' On" (Dave Williams, James Faye Hall) – 5:08
- シスター・ジャスティス "Sister Justice" (Felix Pappalardi, Gail Collins) – 3:59
- アリサン "Alisan" (Leslie West) – 4:42
- スワンプ・ボーイ "Swamp Boy" (F. Pappalardi, G. Collins) – 2:56
- サティスファクション "(I Can't Get No) Satisfaction" (Mick Jagger, Keith Richards) – 5:17
- サムサッカー "Thumbsucker" (F. Pappalardi, G. Collins) – 3:20
- ユー・ベター・ビリーヴ・イット "You Better Believe It" (L. West, Corky Laing) – 5:50
- アイ・ラヴ・トゥ・シー・ユー・フライ "I Love to See You Fly" (L. West, F. Pappalardi, G. Collins) – 3:46
- バック・ホエア・アイ・ビロング "Back Where I Belong" (L. West, C. Laing) – 3:00
- ラスト・オブ・ザ・サンシャイン・デイズ "Last of the Sunshine Days" (F. Pappalardi, G. Collins) – 3:48
参加ミュージシャン
脚注
注釈
- ^ 3作目のスタジオ・アルバム『悪の華』(1971年)の片面にはライヴ録音が収録された。
- ^ 8月30日の大阪公演を収録したライヴ・アルバム『異邦の薫り』が1974年2月に発表された。
- ^ 初代のドラマーは、1969年8月16日のウッドストック・フェスティバル二日目のマウンテンのステージにメンバーとして出演した後、デビュー・アルバム『勝利への登攀』の制作の前に脱退したN.D. スマートである。
- ^ a b オリジナルはR&B歌手のビッグ・メイベルが1955年に発表。
- ^ 「サティスファクション」のプロデュースはウェストが担当した。
- ^ 1983年4月、自宅でコリンズに射殺された。
出典