野外炊具野外炊具(やがいすいぐ)は、陸上自衛隊が装備する野戦用調理器具の総称であり、欧米の軍隊が所有するフィールドキッチンに相当する。屋外で大量の調理を行うことができ、野外演習だけでなく、災害派遣にもその能力を発揮する。なお、航空自衛隊は本車と同じく調理機能を有する炊事車(自走式)を装備しており、また、1930年代には日本陸軍が同じく調理機能を有する九七式炊事自動車(自走式)を開発・正式採用し、実戦投入している。 概要1軸の小車両に炊具を搭載し、炊事車、炊事トレーラとも呼ばれる。野外で調理するための装備で、車両に牽引されて移動する。牽引走行中であっても炊飯が可能。灯油バーナーを使った炊飯器6基で、600人分の米飯を炊き上げることが可能であり、併載する万能調理器具と、車両後部のかまどの使用で惣菜の調理も可能(煮物程度に限る。焦げやすいので推奨されない)その場合約200名分の食事(主食と副菜)が調理可能。味噌汁のみを6釜全てで調理すると、1,500名分調理ができる(参考値、1釜あたり最大250名分のみそ汁の調理が可能) 野外炊具1号には小型のガソリンエンジンを搭載しており、主に圧縮空気を生成するコンプレッサー、およびカッターのために利用される。エンジンが不調になり圧縮空気を生成できない場合、大型トラックのエアタンクからエアホースによる供給が可能であるほか、市販の自転車の空気入れによる充填も可能。前者は接続部に加工を施す事でホースを接続し、後者の場合は常に要員の一人が乗車して、空気入れポンプの操作を行う必要がある。 2004年(平成16年)に発生した新潟県中越地震の際には、新潟スタジアム横の駐車場に、全国各地から100台以上の野外炊具1号が集結し、炊き出しを行った[1]。 86式灯油燃焼バーナー及び付属品として、お玉・木べら等があり、それぞれ部隊管理品として組み込まれている。 86式バーナーの内部構成は、バーナー本体の他に消耗品としてノズルがあり、このノズルは一定期間後に交換する必要があるため、予備部品として車両1台につき1本の予備が指定されている。当該ノズルは経年劣化及び衝撃で簡単に内部が破断する傾向にあり、取り扱いと管理は熟練した隊員による調整を必要としている[2]。 点火・消火には定められた方法で行わなければならず、誤った方法で行うと正しく着火はおろか安定した火力は維持出来ない他に、消火に関しても消火確認後に再度エアコックを解放してノズル内部に残留した燃料及び真空状態になった事による吸い込んだ煤を排除しなければ再着火に時間を要する例がある他、目詰まりを除去[3]するために分解が必要になるなどの手間が発生する場合がある。 自衛隊発足時から存在する部隊では、野外炊具1号が登場する前に使用されていた野戦釜を使用し、副食などを調理する部隊もある。その際、野外炊具1号の付属品である予備燃料タンクを同時携行しバーナーに直接接続して使用する。 マスメディアなどに公表されている「200名分の食事をおおむね45分で調理可能」は、あくまで副食をレトルトパックで補った場合の目安であり、炊事車での副食調理は基本的に推奨されておらず(新旧問わず火力調整が難しく、可能としても外釜がそれに対応しておらず、弱火でも食材が焦げやすいため)、副食調理は直径1.5メートルほどの野戦釜を活用して調理を行う。 芸能事務所の石原プロモーションが、炊き出し用にこれらと同等の炊事機を所有している。 最大炊飯能力
装備カッター野外炊具1号には裁断調理を容易にするエンジンに直結する交換式の低中速回転の回転式カッターを搭載しており、野菜類の輪切り、乱切り、小口切り、ぶつ切り、千切り、及びおろしの作成を得意とする。 皮むき器カッター横の円筒内部が野菜の皮むき器となっており、エンジンからの動力により回転しジャガイモなどの皮むきが容易にできるようになっている。皮むき実施時及び整備時に多量の水を必要とする観点(皮むき時は剥けた皮の除去、整備時は付着した固形物などの除去など)から、水源が近くにある場合や水道が確保されているなどの管理野営時に用途が限定される。 野外炊具2号小部隊用の移動用調理器具。1号と違い車両の形態はとらない。灯油バーナーによるかまど3基で構成。主に、2基を炊飯用(50人分の米飯を炊き上げることが可能)、残り1基で惣菜の調理などを行う。 バリエーション
登場作品映画・テレビドラマ
アニメ・漫画
脚注
参考文献
関連項目外部リンク |
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