近未來通信
株式会社近未來通信(きんみらいつうしん、英称:KINMIRAI TSUUSHIN INC.)は、東京都にあった電気通信事業者。2011年に経営破綻した。 事業内容国際電話用プリペイドカードの販売に加え、固定電話より通話料の安いIP電話を展開すると謳っていた。国内外に独自の中継局を設置し、他社の電話網とネットをつないで格安料金で通話サービスを提供。アパートの一室などに設ける中継局の通信用サーバーの設置費用を出資した「オーナー」には、電話利用者が払う利用料から配当を払い、2年で資金回収が可能としていた[1]。 多くの新聞に「オーナー」募集の全面広告が度々掲載されており、法人・個人、さらにはどこに住んでいるかに関係なく参加できる制度で、「オーナー」が支払う投資額は、加盟金などを含め1件あたり最低約1,100万円。更には同時期、“カラーキャンディ”というブランドでフランチャイズオーナーを募った。 事業実態2006年8月29日、読売新聞が「近未來通信が配当の大半を他の投資家の資金で賄っていた」と報じた。9月19日には同紙が続報で、「営業役員が還元金から配当せず、投資家から集めた資金から経費を差し引いた上で、適当な数字をでっちあげて配当金を支払っていた」と報じた。報道の影響で11月以降は配当金の支給がストップ。11月12日の朝日新聞によると、総務省が電気通信事業法による強制力に基づく報告を11月9日までに求めたが、期日までに十分な回答を行っていない。11月20日には読売新聞が「近未來通信本社閉鎖、2支店も電話通じず」と報じ、11月26日に総務省は立ち入り検査を行った[2]。 11月15日までに社長を除く全役員が辞任し、また営業社員全員を解雇したことも明らかになった。社会保険料や都税の滞納などでも滞納処分を受けた。 11月30日の朝日新聞により、「国内外の中継局2,466台のうち、実際に稼動しているのは僅かに7台[3]に過ぎず、2005年7月期売上高(151億円)の中で通信業務による収入は3億円、固定電話の契約者数は587人のみ」という状態であったことが明らかになった。オーナー募集以外の、サービス自体の宣伝は全く行われておらず、資金繰りも自転車操業という経営状態であり、消費税や源泉所得税、法人事業税や法人都民税、KDDIの回線使用料が滞納状態となっていることも判明。同日にKDDIの回線が契約解除により利用停止となり、サービス提供は不可能となった。 日本経済新聞によると12月2日被害者弁護団が東京都内で投資家に対する初の説明会を開催、同社について破産を申し立てる方針が明らかとなった。12月4日には警視庁が詐欺の疑いで本社や社長宅などを捜索[4]。12月20日、同社と社長の石井優に対して破産手続き開始が決定。東京地方裁判所より破産管財人には鈴木銀治郎弁護士(第一東京弁護士会、隼国際法律事務所)が選任された。 第1回債権者集会は2007年5月30日に開催され、財産は3,000万円程度しか確保できなかったことが明らかになった。報道の影響を受け、石井が海外に2億5千万円ほどの大金を持って渡航していたことが関係者により明らかとなった。それにより、12月4日に捜索した際に会社の預金残高が数百円しか無かった。石井は後に国際刑事警察機構を通じて警視庁捜査2課から国際手配された[5]。かつて金の現物まがい商法・ペーパー商法で被害を与えた豊田商事事件の再来という見方もある。 2010年7月24日、被害対策弁護団(紀藤正樹団長)が石井が中国に潜伏している可能性があるとして、10万元の懸賞金を出すことを発表した[6]。 沿革
主な商品
営業所広告戦略
関連子会社
など 脚注
関連項目外部リンク
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