課長島耕作
『課長島耕作』(かちょうしまこうさく)は、弘兼憲史による日本の漫画作品。『モーニング』(講談社)にて、1983年6号から1992年1・2合併号まで掲載され、2018年3月1日から2018年8月22日までコミックDAYSにて毎日再掲。 シリーズ作品に『部長――』『取締役――』『常務――』『専務――』『社長――』『会長――』『相談役――』『社外取締役――』『ヤング――』『係長――』『学生――』(『ヤング』『係長』『学生』の掲載誌は『イブニング』)があり、これらも全て本項で取り上げる。2021年1月時点で「島耕作」シリーズのコミックス累計発行部数は4600万部を突破している[2]。 現在「社外取締役島耕作」として、モーニングにて連載中である。 1982年、当初は読み切りの『カラーに口紅』というタイトルで始まったが、編集部の意向で、連載の『係長島耕作』のちに『課長島耕作』へと変遷。それが今日まで続く『島耕作シリーズ』の長期連載となる[3]。連載創成期はオフィスラブや不倫など、男女の混沌とした描写がテーマであったが、徐々に会社に貢献するサラリーマンとしての姿をテーマとした描写へと変わって行く。そのため後年、回顧作として連載された『係長島耕作』で課長へと昇進する姿を描いた巻末と『課長島耕作』の巻頭の繋がりには違和感がある。 作品概要
主な登場人物→詳細は「課長島耕作の登場人物」を参照
シリーズ作品部長島耕作『部長島耕作』は、1992年35・36号から2002年11号まで『週刊モーニング』誌上で掲載された漫画作品。当初は半年から1年に1回の頻度で掲載されていた。1999年、人気が低迷していた『週刊モーニング』はかつて人気を誇った作品の続編・外伝などを掲載することで販売数の回復をはかり、本作品も毎週の連載が再開した。 島が敬愛する、派閥に属さない一匹狼として会社を生き残り、『課長島耕作』の最終巻で社長に大抜擢された中沢が社長を退任する。その際、反対派が社長になった場合に島の処遇が悪化しないように、という中沢の配慮により、島は関連会社・初芝電産貿易へ代表取締役専務としての出向を命じられる。しかし、島は持ち前の前向きさと柔軟さと信じられないような運の良さで、出向先のワイン事業を大きく成長させる。更に次の出向先のサンライトレコードにおいても、課長時代にニューヨークに赴任した際の白人の不倫相手との子供を、歌手として大ヒットさせるという成果を実現させ、経営立て直しにも成功。その後、九州の販売センターへの左遷を経験。折り合いの悪かった元部下の下で働くという辛酸を舐めるも、業績をアップさせ、それまでの功績を認められて初芝本社の取締役へ就任する。 取締役島耕作『取締役島耕作』は、2002年13号から2005年9号まで『週刊モーニング』誌上で連載された漫画作品。初芝電器産業の取締役となった島は上海初芝電産董事長(会長)と本社上海担当役員の兼務で東京と上海を往来、それを通して急成長する中国経済が描かれることとなる。島の恋愛・性交の絶倫ぶりも相変わらずである。 常務島耕作『常務島耕作』は、2005年11号から2006年47号まで『週刊モーニング』誌上で連載された漫画作品。取締役時代に続いて、中国担当としての活躍が描かれているが、担当エリアが上海のみから中国全土となり、東京・北京・上海の3極勤務となり多忙を極める。2006年、中国担当常務の前任である郡山利郎専務が社長に昇格したことにより、島も専務に昇格することとなり連載が終了した。 専務島耕作『専務島耕作』は、2006年49号から『週刊モーニング』誌上で不定期連載された漫画作品。常務時代に続いて中国を担当するほか、インド担当、アメリカ担当も兼任することになった。 2008年4月、現社長である郡山利郎が辞意を表明し、その後任として五洋電機との経営統合で誕生する「初芝・五洋ホールディングス」の初代社長に就任。これに伴い同年5月下旬よりタイトルが“社長・島耕作”と改められ、新シリーズがスタートすることになった。2008年23号(5月15日号)にて連載終了。 社長島耕作『社長島耕作』は、2008年26号(6月12日号)から2013年33号(7月18日号)まで『週刊モーニング』誌上で連載された漫画作品。当初の作者いわく、この作品が島耕作シリーズの最終章となるとのことだったが、後に会長編がスタートする。 初回掲載号の発売日にあたる2008年5月29日には「島耕作社長就任会見&乾杯式」と銘打ったイベントが開かれ、アニメーションの島耕作がメッセージを述べた(声は井上和彦が担当)。また、同日付の朝日新聞朝刊には同誌の土曜版別冊「beビジネス」に見立てた一面広告が掲載された。 連載第1回での社長就任スピーチにおいて「これから先、わが社はHGホールディングスと初芝電産の松橋社長、五洋電機の勝浦社長とのペレストロイカ体制[注 1]で合議を図りながら経営を進めていく」という所信表明を行い万亀会長からも「名演説だった」と評される。 2008年10月2日発売号にて、次年度に初芝五洋グループの社名を変更すること、並びに初芝ブランドと五洋ブランドを統合し新ブランドを立ち上げそれに要する費用の試算が総額400億円であることが正式に明らかになった。この背景には本作のモデルとなっている松下電器産業が2008年10月1日よりパナソニック株式会社と社名変更したこと、さらにグループ会社全ての製品をパナソニックブランドに統一したことがあり、島の社長就任時に掲げたスローガン「シンク・グローバル」、並びに「世界に通用するブランドを立ち上げる」という経営方針に則ったものである。最終的に、社名、ブランド名は詳細を後述するように一般公募の後「TECOT」と改められた。 2008年11月7日にパナソニック株式会社と三洋電機株式会社が三洋の子会社化を前提とした資本・業務提携の協議を始めることで合意したと正式に発表した。結果的に作中での出来事が現実の形となったわけだが、作者の弘兼はこの件について「私がパナの社長なら、歴史的関係が深く電池技術がある三洋を他企業に奪われるのは嫌だし、一緒になると予想していた。追いつかれないよう焦って書いた」とのコメントを出している。また、2012年に作中でライバル企業であるソラーとのテレビ事業における業務提携のエピソードが描かれているが、これも同年6月末にパナソニックとソニーがテレビ・大型ディスプレイ向けの次世代有機ELパネルおよびモジュールを共同で開発する契約を締結したことが背景となっている。 2011年04月7日発売号掲載分の104話のラストでは東日本大震災が発生、105話からは社長・企業としての震災対応が描かれた。 会長島耕作『会長島耕作』は、2013年39号(2013年8月29日号)から[4]2019年35号(8月1日号)まで『週刊モーニング』誌上で連載された漫画作品。社長を退任し会長となった島が、経営者としての一線を画して環境問題、食糧問題など財界人としての視点で日本経済を俯瞰するという内容で描かれている。前作までと異なり政治家や財界人との関わりに重きが置かれており、テコットの社長となった国分を後方支援するという立ち位置に変わっている。 日本中央競馬会の創立70周年を記念し、本作とコラボレートした『会長島耕作 競馬探訪編』が『コミックDAYS』にて2024年9月16日より掲載されている[5][6]。オリジナルストーリーが描かれている[5]。 相談役島耕作『相談役島耕作』は、2019年38号(2019年8月22日号)から2022年13号(2022年2月24日号)まで『週刊モーニング』誌上で連載された漫画作品。 2021年2月25日には、新型コロナウイルスに島耕作が罹患して宿泊施設で療養生活を送るという展開が話題となり、弘兼が知人の体験談を基として読者への知識共有や注意喚起の思いと共に描いたことが、ニュースサイトで報じられた[7]。 相談役を最後に、1970年にTECOTの前身である初芝電産に入社以来、半世紀以上在籍した会社を去り、数社からオファーのある社外取締役に転職すると語った。 社外取締役島耕作『社外取締役島耕作』は、『週刊モーニング』誌上に2022年17号(2022年3月24日号)から連載中の漫画作品。UEMATSU塗装工業からのオファーを受諾、今日までの豊富な経験を活かし社外取締役として辣腕を振るう。 ヤング島耕作『ヤング島耕作』は、2001年創刊号から2010年4号(2月9日号)まで『イブニング』誌上で連載された漫画作品。『イブニング』創刊時の目玉作品として掲載された。島耕作が初芝電器産業へ入社した当時(1970年頃)の社会情勢、世間の気風、大企業の雰囲気などを描いている。島の出身地が作者と同じく山口県岩国市で誕生日9月9日であることが明らかにされた。連載中途より『ヤング島耕作 主任編』として、主任に昇進した島耕作が描かれた。 係長島耕作『係長島耕作』は、2010年7号(3月21日号)から2013年21号(10月22日号)まで『イブニング』誌上で連載された。島耕作の若き日を描くコンセプトからスタートした『ヤング島耕作』同様、ステップアップの道を辿り、主任から係長となり、最終話で課長へと昇進する。 なお、『課長島耕作』は連載当初『カラーに口紅』のちに『係長島耕作』(上記を参照)などのタイトルを経て発表されたなどの経緯があることから、巻末で課長へと昇進する島の仕事に対する姿勢など、『課長島耕作』の巻頭の島とは大きな相違があり、繋がりに違和感がある。 学生島耕作『学生島耕作』は、2014年1号(2013年12月10日発売)から2017年9号まで『イブニング』誌上で連載。初芝電器産業時代からさらに遡り、島の早稲田大学での大学生時代を描く。 学生島耕作〜就活編〜『学生島耕作〜就活編〜』として2017年12号(2017年5月23日発売)から2018年16号まで『イブニング』誌上で連載。島の就職活動を描く。 スピンオフ作品JK 大町久美子『JK 大町久美子』は、『モーニング』2017年27号(2017年6月15日発売)、28号(2017年6月22日発売)に前後編で掲載されたスピンオフ。2022年現在では電子書籍のみで単行本化されている[8]。 島耕作の事件簿『島耕作の事件簿』は、創刊35周年企画として、原作樹林伸、漫画弘兼憲史で『モーニング』に2017年38号(2017年8月17日発売)から2018年2・3号(2017年12月14日発売)まで短期集中連載されたスピンオフ。全10話。2018年1月23日に単行本が発売された[9]。 島耕作が課長だった1990年11月のバブル期を舞台とする。見知らぬ部屋で目覚め、自分のネクタイで首を絞められた全裸女性の死体を発見した島が、3日後に出頭すると置手紙を残して現場から逃走し、友人の私立探偵・木暮久作と協力して真犯人を捜す物語である。 会長 島耕作 特別編 部長 風花凜子の恋『会長 島耕作 特別編 部長 風花凜子の恋』は、連載35周年企画として、『モーニング』に2018年25号(2018年5月24日発売)から短期集中連載されたスピンオフ。全6話[10][11]。島耕作が会長を務める大手電機メーカー・テコットの女性部長である凜子の物語[12]。『会長 島耕作』第13巻に収録。 転生したら島耕作だった件『転生したら島耕作だった件』は『イブニング』7号(2019年3月12日発売)、9号(同4月9日発売)に掲載のスピンオフ作品。伏瀬が監修、弘兼憲史と川上泰樹が執筆を担当。小説『転生したらスライムだった件』の漫画版とのコラボ企画で、同作品の主人公・三上悟がスライムではなく島耕作に転生したら、というパラレルワールドを描くストーリーになっている[13]。 2019年7月9日には、本作に『課長島耕作』第5話・第6話と『転生したらスライムだった件』第1話を合わせて収録した単行本が発売された[14]。 騎士団長 島耕作『騎士団長 島耕作』は、『コミックZERO-SUM』2019年5月号より開始されたスピンオフ[15]で、2021年3月号まで連載された。単行本は全3巻。シリーズ初の女性向け作品。原案は弘兼憲史、作画は宮本福助。主人公はファーストターフ王国の騎士シマで、前世が島耕作であった記憶を思い出し、サラリーマン時代の記憶を頼りに異世界を生き抜く。なお、島以外の登場人物のうち数人も同世界に転生した者であり、中には前世で島が辿るはずだった本来の歴史を知っている者や、最初から前世の記憶を持っている者もいる[16]。 マスク島耕作『マスク島耕作』は、2020年6月16日にtwitter『MANGA Day to Day』(@mangadaytoday)上で配信された短編Web漫画。100人以上の漫画家が2020年4月1日以降の日本を舞台にコロナ禍の日常をリレー連載する企画の第2回掲載[17]。 逢いたくて、島耕作『逢いたくて、島耕作』は、本シリーズの連載開始40周年を記念して、『モーニング』2023年15号(2023年3月9日発売)より開始された公認スピンオフ作品[1]。協力は弘兼憲史、作は諏訪符馬が担当[1]。Z世代の就活生が島耕作の世界に「異世界転生」したギャグ漫画[1]。 登場する企業や用語初芝電器産業株式会社主人公島が在籍し、作中のメインとなる企業。モデルは松下電器産業(現:パナソニック)。 松下幸之助をモデルにした「経営の神様」と呼ばれる吉原初太郎によって創始され、作中でも日本のトップ電機メーカーとして描かれている。世界各地に企業展開し、電気製品事業以外にも音楽(サンライトレコード)やワインなどの輸入貿易事業(初芝貿易)などのグループ会社があり、島も作中に出向をしている。後述する五洋電機と経営統合し、持株会社である初芝五洋ホールディングスの傘下企業に入る。 五洋電機株式会社初芝と同じく電気製品メーカーでありライバル企業として登場。モデルは三洋電機(現在はパナソニックの子会社)。 液晶技術に優れており、作中では韓国の電気製品メーカーであるソムサンに企業買収を持ちかけられる。専務時代の島の提言により、「日本技術の海外流出を防ぐ」という名目の基、友好的買収(ホワイトナイト)を持ちかけソムサンへの買収を防いだ。その後、正式な経営統合に至り、初芝五洋ホールディングスの誕生に繋がった。経営統合時の社長は島と同世代で、恋敵としても描かれる勝浦が務めていた。 初芝五洋ホールディングス(HGホールディングス)初芝電産や五洋電機を束ねる純粋持株会社。初代社長には両企業の経営統合に活躍した島が就任した。当初は両ブランドを維持しながらも、将来的に統一ブランドで世界市場を勝ち抜くべく社長就任時に島が打ち出した「Think Global(シンク・グローバル)」構想のもと、新企業名が社内で公募され『TECOT(テコット)』に決定した。 TECOT(テコット)初芝五洋ホールディングスの初代社長である島がブランド力の強化のために着手したプロジェクトで、社名の変更を公募して決定した社名。実際には読者から一般公募し、弘兼の選択で決定された。 社名のTECOT(テコット)は「TEC=TEChnology(テクノロジー)」と「ECO=ECOlogy(エコロジー)」から取っており、さらに「TECO=テコ」の意もかけられている。 しかし、TECOTは新社名と銘打ちながら、その決定のプロセスに問題があるため、2009年7月16日時点では「ブランドの統合」とのみ発表されている。 ロゴは”TECO⊥”(最後のTの字が上下逆さになる)と表記される。 その他の同業他社及び登場企業
パロディ
反響抗議2024年10月21日、同月17日発売の『モーニング』に掲載された『社外取締役島耕作』での名護市辺野古の新基地建設(普天間基地移設問題)への抗議参加者がアルバイトで日当を貰っているという表現について、モーニング編集部と作者の弘兼は連名で声明を発表し、「確認の取れていない伝聞」で掲載したとして謝罪し、単行本掲載時に内容を修正するとした[19][20]。この表現に対して、SNS上では漫画がデマを広げているとの指摘が上がっていた[19][21]。講談社は琉球新報の取材に対し、作者と担当編集者が取材で沖縄県を訪れた際に複数の県民から「新基地建設反対派のアルバイトがある」という話を聞き、作品に反映させたと説明した[20]。一方、「当事者からは確認の取れていない伝聞でした」として、作中で断定的な描写をしたことに「フィクション作品とはいえ軽率な判断だった」と謝罪した[20]。 書誌情報「島耕作」シリーズ特記のない限り作者は弘兼憲史、出版社は講談社(レーベル:モーニングKC / イブニングKC[注 2])。
スピンオフ作品
映画
1992年に田原俊彦主演で映画化された。 キャスト
スタッフテレビドラマ(フジテレビ版)
1993年から1998年にかけてフジテレビによりテレビドラマ化され放映された。 キャスト(フジテレビ版)
スタッフ(フジテレビ版)サブタイトル
テレビドラマ(日本テレビ版)主演の高橋克典は同局でのドラマ主演は、連続ドラマも含めて「FACE〜見知らぬ恋人〜」以来となる。副音声では解説放送を行い、アイパートナーは石丸博也が務めた。
キャスト(日本テレビ版)
ほか
ほか 主題歌(日本テレビ版)
スタッフ(日本テレビ版)
テレビドラマ(部長 風花凜子の恋)『島耕作シリーズ35周年企画「『部長 風花凜子の恋』会長 島耕作 特別編」』が放送された。同作は島耕作シリーズのスピンオフ『会長 島耕作 特別編 部長 風花凜子の恋』のドラマ化である。読売テレビ・日本テレビ系「プラチナイト枠」にて前後編で2週連続放送。
キャスト(部長 風花凜子の恋)
主題歌(部長 風花凜子の恋)
スタッフ(部長 風花凜子の恋)
テレビアニメ『週刊シマコー』のタイトルで、2011年4月よりオムニバスFLASHアニメ『ユルアニ?』(日本テレビ)の1作として放送。「島耕作」というキャラクターを用い、本作とは直接的には関連性の無い物語が展開される。島耕作の声は本作の監督であるFROGMAN(蛙男商会)が担当。第12話より『その時、シマコーが動いた!』に改題されている。 →詳細は「ユルアニ? § 週刊シマコー / その時、シマコーが動いた!」を参照
Webアニメ『タイムスリップ島耕作』は、2023年7月21日よりYouTubeで配信されているWebアニメ。監督は『週刊シマコー』と同様、FROGMANが担当。制作はディー・エル・イー[144]。連載開始40周年を記念して公開された。意思を持ち始めた巨大冷蔵庫の暴走により現代まで冷凍されていた島耕作が令和の生活に悪戦苦闘する姿が描かれる。 ゲーム
客演作品
コラボレーション以下は過去にコラボレーションを行った主な事例を記す。
脚注注釈出典
外部リンク
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