自画像 (プッサン、1649年)
『自画像』(じがぞう、独: Selbsbildnis、英: Self-portrait)は、17世紀フランスの巨匠ニコラ・プッサンが1649年にキャンバス上に油彩で制作した絵画である。ポール・フレアール・ド・シャントルーの委嘱により描かれ[1]、プッサンの庇護者であり、パリ在住の富裕な絹業者であったジャン・ポワンテル (Jean Pointel) に捧げられた[2][3][4]。翌年、パリに送付され、1660年のポワンテルの財産目録に明記されている[2]。画面上部は、後に2、3センチほど切断されている[1]。作品は、1821年エドワード・ソリーのコレクションとともにフリードリヒ・ヴィルヘルム3世 (プロイセン王) がプロシア国家のために購入し[1]、現在は絵画館 (ベルリン) に所蔵されている[1][2]。 作品背景のだまし絵のレリーフには、月桂樹の花輪を担っているプット[4]たちが鑑賞者に背を向けて描きこまれている[1][2]。彼らは、「夜」、「死」 (タナトス)、「眠り」 (ヒュプノス) を表す寓意像として解釈でき、メランコリーな構図は墓碑銘を想起させる[1]。 プットたちの間には、薄い石板のような部分が認められる[2][4]。その上部には、ラテン語で「Nicolaus Poussinus Andelyensis Academicus Romanus Primus Pictor Ordinarius Ludovici Iusti Regis Galliæ. Anno Domini 1649. Roma. Ætatis Suæ. 55」 (ニコラ・プッサン、レザンドリ出身。ローマ・アカデミー会員。フランス王ルイ正義王付き主席画家。神の1659年に。55歳の年齢で」と記されているが、この銘文は後に本作がエングレービングに記録される前に (1660年までに) 記入されたものである[1][2]。 プッサンは左手で『光と色彩』 (De Lumine et Colore) [1][2][4] (1649-1660年の間に、プッサンの工房以外の手で書き加えられた題名[1]) と背表紙に描きこまれた1冊の書物を持ち、左には絵筆を握っている。おそらく鏡に映る自身の姿を見て描いたために、こうした結果が生じたものと思われる。長髪、鷲鼻、口髭に特徴があり、見開いた目と口元が印象的である。画家というより、学者風の相貌にプッサンの本質が垣間見える[2]。 古典主義の画家であったプッサンは肖像画に距離を置いていたが、この作品の制作は友人であったポワンテルのためであった。画家は本作に満足しておらず、翌年、別の『自画像』 (ルーヴル美術館、パリ) をシャントルーのために制作した[1]。 脚注
参考文献
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