細谷暖地性シダ群落細谷暖地性シダ群落(ほそだにだんちせいシダぐんらく[† 1])は、三重県度会郡南伊勢町押淵にある国の天然記念物に指定された暖地性シダ植物の群生地である[1][2][3][4]。 隣接する鬼ヶ城暖地性シダ群落と類似した国の天然記念物であり、よく似た植物相であるが別物件として指定されている。ただし細谷のみに生育する希少な植物もあり、中でも暖地性シダ植物の代表格ともいえる[2]大型シダのリュウビンタイ(竜鱗、学名:Angiopteris lygodiifolia[5])をはじめ、マツザカシダ(松坂羊歯、学名:Pteris nipponica[6])と、シダ植物ではないがケイビラン(鶏尾蘭、学名:Comospermum yedoense (Maxim. ex Franch. et Sav.) Rausch.[7])など、鬼ヶ城では見られない希少種が含まれる。 鬼ヶ城暖地性シダ群落と同じく、当時の指定要目15「欄類、羊歯類、石松類、蔓植物、地衣、蘚苔等盛ニ発生したる土地又ハ是等ノ植物ノ多ク着生シタル林樹[8][9]」として、1928年(昭和3年)1月18日に「細谷暖地性羊歯群落」の名称で国の天然記念物に指定された[1][2][4][10][11]。 鬼ヶ城暖地性シダ群落とは解説内容が一部重複するため、本記事では細谷の群落に関する内容を主に解説する。おおまかな地勢および発見調査の経緯などについては鬼ヶ城暖地性シダ群落も参照のこと。 解説細谷暖地性シダ群落は鬼ヶ城暖地性シダ群落から約1.5キロメートル西方の位置にあり[12]、押渕地区から押渕川沿いを遡り、鬼ヶ城暖地性シダ群落への入口を左手に見て、さらに川沿いを上流方向へ向かうと、北側からと西側からの小さな流れの合流する地点へ達する[13][14]。この付近が押渕川源流部の字細谷と呼ばれる場所で、山腹斜面は植林されたスギの木々で覆われている[3]。 この山腹斜面に岩が剥き出しになった植林に適さない個所が数カ所点在しているが[15]、この岩場を中心に暖地性のシダが生育しており、周囲の林床とともに[16]、細谷暖地性シダ群落として国の天然記念物に指定されている[3]。かつて指定地の周囲は柵と針金で囲まれていたが、今日ではコンクリートの支柱のみが残っている[12][17]。 周辺一帯の暖地性シダ群落の価値に最初に着目したのは、地元押淵地区出身の植物学者広出泰助で[18]、広出は鬼ヶ城暖地性シダ群落と同様、当地の現地調査に訪れた植物学者らの案内人を務め、四日市市の川崎光次郎によって種名の目録が作成され三重県に報告されたが[19]、調査報告に挙げられた内容は、長期間にわたり鬼ヶ城と細谷を隅々まで調べ上げた広出の功績によるところが大きい[20]。 隣接して所在する鬼ヶ城と細谷の暖地性シダ群落は、国の天然記念物として別物件として個別に指定されることとなり、1928年(昭和3年)1月18日に内務省告示第10号「細谷暖地性羊歯群落」の名称で国の天然記念物に指定された[21]。指定地の地番と面積は押淵字細谷1562番の1山林内の実測2畝13歩、および同1563番の1山林内の実測1反6畝23歩右接続1か所、および同1561番山林内の実測9歩、および同1563番の1山林内の実測1反3畝27歩右接続1か所で、いずれも民有地である[13]。 スギの植林のないところはウバメガシを主体とする雑木林になっており、タイミンタチバナ、アラカシ、アセビ、シキミ、シャシャンボなどが混生し、林床に様々な暖地性シダ(鬼ヶ城暖地性シダ群落参照)が群生しており、部分的にコシダが繁茂している[2]。 細谷の植物の多くは鬼ヶ城の暖地性シダ群落で見られるものと同じであるが、ここでは三重県天然記念物調査委員の服部哲太郎により指摘された細谷特有とされる3種の暖地性植物を挙げる。
交通アクセス
(ここでは鬼ヶ城暖地性シダ群落への交通手段を記す)
脚注注釈出典
参考文献・資料
関連項目
外部リンク
座標: 北緯34度19分6.7秒 東経136度36分2.3秒 / 北緯34.318528度 東経136.600639度 |