紫雲膏紫雲膏(しうんこう)は、熱傷や痔疾を適応とする漢方薬の軟膏剤。シコン(紫根、ムラサキの根[1])やトウキ(当帰、トウキまたはホッカイトウキの根[2])を成分とする。 油脂性軟膏剤。赤紫色で、特異なにおいを有する[3]。日本では医療用医薬品、および一般用医薬品(第二類医薬品)として製剤を各社が製造販売している。 小史中国の明代に陳実功が著した『外科正宗』にはシコン、トウキ、ゴマ油、ミツロウを成分とする潤肌膏が記載されている。紫雲膏は江戸時代の医師である華岡青洲が潤肌膏に豚脂を加えたものである[4][5]。潤肌膏は固く使いにくいため、豚脂を加えることで粘度を上げて使いやすくしたと思われる[6]。 適応医療用医薬品としては火傷、痔核による疼痛、肛門裂傷[3]、一般用医薬品としてはこれらに加えてしもやけ(ひび・あかぎれ)、魚の目、あせも、ただれ、外傷、湿疹・皮膚炎[7]。禁忌は重度(重症)の熱傷・外傷のある患者、化膿性の創傷で高熱のある患者、患部の湿潤やただれのひどい患者である[3][8] 薬理シコンエキスは痔疾用内服薬である内服ボラギノールEPにも配合されている[9]。シコンの主成分であるシコニンは抗炎症作用、肉芽形成促進作用、抗菌作用、抗腫瘍作用などが報告されているが、薬理作用や作用機序等の十分な検討は行われてこなかった。2005年から4年間にわたりペルーで実施された臨床試験では、紫雲膏のリーシュマニア症に対する有効性が報告された。これは肉芽形成促進作用と抗原虫作用によるものと考えられるが、作用機序は未解明である[10]。 処方日本国内で製剤として販売されている紫雲膏はシコン、トウキ、ゴマ油、豚脂、ミツロウ(黄蝋)またはサラシミツロウ(白蝋)を成分とする。一般用医薬品としての一般用漢方製剤承認基準における成分・分量は以下のとおりである[7]。
その他材料さえあれば製造出来るため、薬学部の実習などで実際に製造することがある[11]。 製薬会社
出典
関連項目外部リンク
|
Portal di Ensiklopedia Dunia