笹田 和子(ささだ かずこ、1921年(大正10年)6月30日[1] - 2007年(平成19年)11月30日[1])は、日本の声楽家(ソプラノ)、オペラ歌手、音楽教育者。
略歴
大阪府大阪市出身。小学生の時に美声をかわれて教会の日曜学校で歌う[1]。1939年(昭和14年)、東京音楽学校(現: 東京藝術大学)予科入学。木下保と原信子に師事。本科の同期には同じ声楽部の内田るり子[3]、石井好子[4]、畑中更予(米田更子)、前田幸市郎、器楽部の森正(指揮者)などがいた[5]。1942年(昭和17年)に卒業と同時に藤原歌劇団に入り、同年11月にワーグナーのオペラ『ローエングリン』ヒロインのエルザでデビューを果たす。以来、同歌劇団で1000回余りの舞台を踏み、ワーグナー『タンホイザー』日本初演のエリーザベトなども務めた。二期会などでも活躍。
1945年(昭和20年)笹田と恋に落ちた織田作之助が、1946年(昭和21年)笹田の実家の笹田歯科医院に転がり込み正式に結婚。しかし、クリスチャンの家庭では無頼な執筆活動が果たせず、3月に飛び出してしまう。織田は1947年(昭和22年)1月 東京で喀血死する[6]。
1957年(昭和32年)大阪に帰り、フリーで活躍。
音楽教育者としては、1965年(昭和40年)京都市立音楽短期大学教授、1969年(昭和44年)京都市立美術大学との合併により京都市立芸術大学教授(1970年(昭和45年)まで)。仁愛女子短期大学の音楽科主任教授[7]や宝塚歌劇団などで講師を務めた。門下生に池田美也子[8]、後久義昭[9]、小坂井直美[10]、小村亮三[11]、鈴木操[12]、まやはるこ[13]などがいる。
1965年(昭和40年)子宮筋腫手術、1972年(昭和47年)子宮癌手術、1973年(昭和48年)左乳癌手術、1987年(昭和62年)右乳癌手術[14]。これらの手術を乗り越え、1989年(平成元年)フェスティバルホールで復活リサイタルを開いた。
元・日本演奏連盟会員[1]、二期会会員。
2007年(平成19年)11月30日、虚血性心疾患のため大阪府吹田市の病院で死去、86歳没。
主な舞台
受賞歴
著書
ディスコグラフィー
- 独唱: 印度の歌 堀内敬三[作詞] R.コルザコフ[作曲] 奥山貞吉[編曲] 笹田和子(コロムビア(戦前)商品番号 100791 1943-11)[49]
- 独唱: 夜の調べ 内藤水濯[作詞] グノー[作曲] 奥山貞吉[編曲] 笹田和子(コロムビア(戦前)商品番号 100791 1943-11)[49]
- 斉唱: 技能讃歌 尾崎喜八[作詞] 弘田龍太郎[作曲] 伊藤武雄 笹田和子[声楽](コロムビア(戦前) 商品番号 32078 1944-02)[49]
- 勝利の生産 国民徴用援護会制定 信時潔[作曲] 伊藤武雄 笹田和子[声楽](ニッチク 商品番号 100837)
- CD8枚組 甦る! NHKラジオ歌謡(オムニバス)
- CD ベートーヴェン交響曲第9番『合唱』フランツ・コンヴィチュニー(指揮) ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 笹田和子(Sp) 川崎静子(Alt) 布施隆治(Tn) 中山悌一(Bn) アサヒコーラス 【録音】1961年5月1日 日比谷公会堂 NHK収録(ステレオ・ライヴ)
脚注
- ^ a b c d e f 明治~平成, 新撰 芸能人物事典. “笹田 和子とは”. コトバンク. 2021年7月19日閲覧。
- ^ 明治~平成, 新撰 芸能人物事典. “石井 好子とは”. コトバンク. 2021年7月23日閲覧。
- ^ “155 ゆかりの人が語るプリマ 笹田和子 ② | くらこれ !”. 2021年7月23日閲覧。
- ^ 大蔵省印刷局 編「入学許可」『官報』日本マイクロ写真、1939年4月24日、1034頁。NDLJP:2960182。https://dl.ndl.go.jp/pid/2960182/1/16。
- ^ “大阪文学振興会|関西文学散歩 カルチャーウォーキング”. 2021年7月20日閲覧。
- ^ a b c “なにわ塾第65巻 ああ、わが歌、わが人生 笹田 和子(著/文) - ブレーンセンター”. 版元ドットコム. 2021年7月20日閲覧。
- ^ “歌曲を楽しむ | 大阪シティアカデミー | 大阪 JR吹田駅直結のカルチャーセンター”. oc-academy.com. 2021年7月20日閲覧。
- ^ “公演: ドイツの薫風に寄せて〜Ⅲ”. ムジークフェストなら2016公式サイト. 2021年7月20日閲覧。
- ^ “一般社団法人 中川法人会”. www.nakagawa-ho.or.jp. 2021年7月23日閲覧。
- ^ “神戸大学交響楽団 第22回定期演奏会”. 2021年7月23日閲覧。
- ^ erato-music (1538665200). “公演名: 鈴木 操ソプラノリサイタル”. コンサート情報. 2021年7月23日閲覧。
- ^ “4/16 19時から稲荷祭り。歌手まやはるこさんの歌の奉納もあります。”. 御幸森天神宮. 2021年7月24日閲覧。
- ^ a b “154 戦後日本のプリマドンナ 笹田和子① | くらこれ !”. 2021年7月19日閲覧。
- ^ リヒャルト・ワーグナー, 堀内敬三. “《ローエングリン》” (Japanese). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2021年7月24日閲覧。
- ^ “年譜 | 高柳二葉コレクション”. 高柳二葉コレクション | 君の名は (2016年3月31日). 2021年7月20日閲覧。
- ^ ルッジェーロ・レオンカヴァッロ, ピエトロ・マスカーニ. “《パリアッチ(道化師)》《カヴァレリア・ルスチカナ》”. opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2021年7月24日閲覧。
- ^ a b “■AOF 大阪フィル公演記録データベース”. aof.moo.jp. 2021年7月23日閲覧。
- ^ リヒャルト・ワーグナー, 日比野秀吉. “《タンホイザー》” (Japanese). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2021年7月24日閲覧。
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- ^ ピエトロ・マスカーニ, ジョヴァンニ・ヴェルガ. “《カヴァレリァ・ルスチカナ》” (Japanese). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2021年7月24日閲覧。
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- ^ ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト, ロレンツォ・ダ・ポンテ. “《ドン・ジョヴァンニ》” (Japanese). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2021年7月24日閲覧。
- ^ ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト, ピエール=オーギュスタン・ボーマルシェ. “《フィガロの結婚》” (Japanese). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2021年7月24日閲覧。
- ^ ジュゼッペ・ヴェルディ, ウィリアム・シェイクスピア. “《オテロ》” (Japanese). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2021年7月24日閲覧。
- ^ ジャコモ・プッチーニ, アンリ・ミュルジェール. “《ラ・ボエーム》”. opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2021年7月24日閲覧。
- ^ 清水脩, 岡本綺堂. “《修禅寺物語》” (Japanese). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2021年7月24日閲覧。
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- ^ ベドジフ・スメタナ, カレル・サビナ. “《売られた花嫁》” (Japanese). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2021年7月24日閲覧。
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- ^ ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト, クリストフ・フリードリヒ・ブレッツナー. “《後宮よりの逃走》” (Japanese). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2021年7月24日閲覧。
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- ^ “#大阪テレビ放送 『開局記念コンサート中継』|デーブ川崎(川崎隆章)|note”. note(ノート). 2021年7月23日閲覧。
- ^ カール・マリア・フォン・ウェーバー, ヨハン・フリードリヒ・アーペル. “《魔弾の射手》” (Japanese). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2021年7月24日閲覧。
- ^ “第九交響曲“歓喜の夕べ””. 富山県合唱連盟. 2021年7月20日閲覧。
- ^ ヨハン・シュトラウスII世, アンリ・メイヤック. “《こうもり》” (Japanese). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2021年7月24日閲覧。
- ^ 黛敏郎, 三島由紀夫. “《金閣寺》” (German). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2021年7月24日閲覧。
- ^ a b c “歴史的音源 - 検索結果”. rekion.dl.ndl.go.jp. 2021年7月24日閲覧。
参考文献
関連文献