福福荘の福ちゃん
『福福荘の福ちゃん』(ふくふくそうのふくちゃん)は、2014年11月8日に公開された日本映画。人情コメディ。主演は大島美幸(森三中)で、男性役を演じている。 ストーリー福ちゃんこと福田辰男は、32歳のふくよかな北関東弁の独身男。十数年前に上京して以来、ボロアパートの「福福荘」で暮らしながら、塗装職人として働いている。面倒見が良い男で、昼は職場の人間関係のトラブルを解決し、夜は福福荘の住人で隣部屋に住む野々下と大きな蛇を飼う馬渕との住人同士のトラブルを解決する。趣味は凧を作ることで休日は河原などで凧揚げをする日々を送っている。 誰にでも親切な福ちゃんだが、女性に対しては極めて晩生な性格で、それを心配した親友のシマッチこと島木拓郎がカジュアルなお見合いをセッティングしても、その性格が災いして上手くいかない。 ある日、福ちゃんのもとに、杉浦千穂という美女が訪ねてくる。千穂は中学校の同級生で福ちゃんの初恋の人だった。彼女は、福ちゃんが女性恐怖症になってしまった原因を作った当人で、千穂はそのことを謝りに福ちゃんを訪ねてきたのだった。 千穂は、米国系企業に勤めていたが、写真家になるため、大ファンだった写真家のコンクールに応募した。見事優勝したので、彼女は思いきって勤務先を辞め、写真家に弟子入りする。ところが、写真家は千穂の写真などはどうでも良く、ただ若い美人である千穂を愛人にしたいがために優勝させたのだと知り、千穂は絶望する。ある喫茶店のママが占いも出来る怪しい女で、荒んでいた千穂に「過去に何かひどい事をした呪いだ。顔も身体も丸い、詰襟を着た男の子が見える」と話す。千穂には思い当たる節があった。同級生らと罰ゲームと称して福ちゃんに告白し、付き合ったところで彼を落とし穴に落として、好きでもなんでもないことを周囲が告げて彼を笑い者にしたのだった。 再会した当初は福ちゃんは昔のことを思い出し、杉浦に冷たい態度を取っていたが、カメラ修行中の千穂と過ごすうちに再び想いを募らせていく。 しかしシマッチは、千穂がただの自己愛のために福ちゃんに近づいたことに気付き、「遊びのつもりなら福ちゃんに近づくな。これ以上福ちゃんを傷つけるな」と注意する。 千穂が福ちゃんの写真だけを集めた写真集を刊行することが決まった。居酒屋でその祝賀会が行われている最中、福福荘の隣人の野々下が現れる。迎え入れる福ちゃんだが、精神疾患により幻覚が見えた野々下は福ちゃんをナイフで刺してしまう。 福ちゃんの命に別状は無かった。彼は入院したが、野々下を訴えることはせず、逆に見舞いに来た野々下の父に「病気の深刻さに気付いてやれなくて申し訳なかった」と謝罪する。福ちゃんは野々下の父に彼のためにと小さな凧を手渡した。それから、野々下の父は福福荘の野々下の部屋を引き払っていった。 シマッチは千穂と会い、彼女に、「友達としてでいいから福ちゃんと一緒にいてくれ」と謝罪する。千穂は自分の自己愛に薄々気付いており、シマッチに反論出来なかったことを話し、写真を撮りながら世界中を回ってみるつもりだと話す。 1年後、馬淵は福ちゃんたちと一緒に働いていた。相変わらず彼らは福福荘に住んでおり、変わったことといえば、時々、福ちゃんの写真集を見た人に求められてサインをしてあげる程度だった。福ちゃんが馬淵と仕事を終えて福福荘に帰宅すると、野々下が出て行った部屋に新しい住人が引っ越して来ていた。福ちゃんは自分の部屋に入り、昔撮った千穂の顔写真を携帯電話から思い切って消去した。するとその時、新しく入った住人が挨拶にやって来たので福ちゃんがドアを開けると、そこにいた新しい住人は杉浦千穂だった。 キャスト
スタッフ
制作企画監督の藤田容介が、主演を務めた大島美幸がおっさんを演じるコントを見たことがきっかけで生まれたオリジナル作品[1]。大島がおっさん役を演じるにあたって、頭を丸刈りにする「断髪式」が執り行われ、共演者の水川あさみと荒川良々も参加した[1]。 映画作品にあたって、藤田は大島以外でのキャスティングは考えておらず、キャスティングの理由については、「30歳を過ぎても女性と付き合ったことがない役を男性が演じたら生々しくなってしまうし、不細工でありながら、千穂に『いい顔だ』と言ってもらえるような両面が必要で、大島以外に考えられなかった。」と、第22回レインダンス映画祭の質疑応答にて語っている[2]。 作品の評価第6回沖縄国際映画祭の正式出品を皮切りに、ウディネ・ファーイースト映画祭2014、レインダンス映画祭2014ほか、12の映画祭に正式招待され、イギリス、ドイツ、イタリア、台湾での公開が決定した[3]。 受賞歴
劇中歌・エンディング曲劇中歌
使用曲脚注
外部リンク
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