水素化カリウム(すいそかカリウム、potassium hydride)とは、カリウムと水素から成る無機化合物で、化学式は KH と表される。カリウムの水素化物。
水とは以下のように反応して水素ガスを発生させる。
この反応は非常に激しく、反応熱によって水素ガスに引火する。その時、カリウムの炎色反応により水素炎は紫色を呈する。水素化カリウムの固体は空気中でも自然発火性を持つため、鉱油やパラフィン中にディスパージョンとして反応性を下げた状態のものが取り扱われる。パラフィン中にディスパージョンとしたほうが分散は良い[1]。
水素化カリウムは金属カリウムと水素ガスから製造される。この反応はハンフリー・デービーにより1807年のカリウムの発見からまもなく見出された。彼は、水素化カリウムの沸点を少し下回る温度下で、金属カリウムが水素ガスの気流中で気化したことを記している[2]。
水素化カリウムは非常に強い塩基で、その塩基性は水素化ナトリウムよりも強い。有機化合物から酸性プロトンを除去する際に用いられる。
脚注
- ^ Taber, D. F.; Nelson, C. G. "Potassium Hydride in Paraffin: A Useful Base for Organic Synthesis" J. Org. Chem. 2006, 71, 8973-8974. doi:10.1021/jo061420v
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Humphry Davy, The Bakerian Lecture on some new phenomena of chemical changes produced by electricity, particularly the decomposition of fixed alkalies, and the exhibition of the new substances which constitute their bases; and on the general nature of alkaline bodies. Philosophical Transactions of the Royal Society, 1808, 88, 1–44. In The Development of Chemistry, 1789-1914: Selected essays, edited by D. Knight, pp. 17–47.