正規化正規化(せいきか、英語: normalization)とは、データなどを一定の規則に基づいて変形し、利用しやすくすること。言い換えると、正規形でないものを正規形(比較・演算などの操作のために望ましい性質を持った一定の形)に変形することをいう。多くの場合、規格化と訳しても同義である。 用語「正規化」は、非常に多くの分野で使われていて、分野によって意味も大きく異なるので、頻度が高い分野についてそれぞれ個別に説明する。 ベクトルノルムが定義されたベクトル空間のベクトル v に対し、それにノルムの逆数 ‖ v ‖−1 を掛けてノルムが 1 であるベクトルにすることを、正規化という。 なお、数学的なベクトルでなく、情報科学分野で数列を意味するベクトルの正規化は、この意味での正規化ではなく、後で述べる数量の正規化になる。多変量データをベクトル空間に表した場合などはどちらの意味にもとれ、結果が定数倍異なるので、注意が必要である。 波動関数→詳細は「規格化」を参照
量子力学で現れる波動関数 Ψ は二乗可積分関数の空間のベクトルとみなすことができる。この意味でベクトル Ψ は正規化されることが多い。物理的には、この操作は全空間での存在確率の合計を 1 にすることと解釈される。 代数多様体の正規化→「代数多様体の正規化」を参照
ネーターの正規化定理→「ネーターの正規化定理」を参照
数量数量を代表値で割るなどして無次元量化し、互いに比較できるようにすることを、正規化という。 正規化した結果は単位系によらない。したがって、正規化することによって、たとえば身長と体重など、次元が異なりそのままでは比較できない数量が比較できる。次元が同じでも、夏と冬の1日の気温変化のように、条件が異なるデータも正規化によって比較しやすくなる。 正規化は特に多変量解析の前処理として行われ、この用途の正規化を特徴軸の正規化という。 正規化の方法には様々なものがあり、次の2つが基本的である。 どちらが適しているかは、どのようなデータをどのような解析のために正規化するかによる。多変量解析には2.が用いられる。 用途によっては、同じように比例変換やアフィン変換をするのでも、最大値が 1、最小値が 0(または −1)となるように正規化をすることもある。また、べき乗して歪度を 0 にする、あらかじめ与えられた分布に一致させるなど、もっと強い正規化が用いられることもある。 パターン認識パターン認識の前処理として、対象の特徴をあらかじめ定められた基準に沿うように加工することを、正規化という。 文字など2次元情報の場合、平行移動して位置をそろえる位置の正規化と、伸縮で大きさをそろえる大きさの正規化(縦の伸縮と横の伸縮とは個別に調整する)が、最も基本的な正規化である。これは、各標本点のX座標とY座標をデータ列とみなし、それぞれに「特徴軸の正規化」を施したことに相当する。 確率分布確率密度関数については、横軸をアフィン変換して平均を 0、分散を 1 にすることを正規化という。正規化することによって、標準正規分布関数との、または確率密度関数どうしの比較が容易になる。 確率密度関数の正規化定数関数を台で定積分した逆数を正規化定数 (normalizing constant) という。確率密度関数は台で定積分した値が 1 でなければならない。関数に正規化定数を掛けることによって、(確率密度関数の他の要件も満たせば)確率密度関数が作れる。 例えば、次の関数と台があったときに、 台の範囲で定積分すると次式の値になる。 この値の逆数 が正規化定数である。 Unicode→「Unicode正規化」を参照
関係データベース→「関係の正規化」を参照
指数表記→「指数表記 § 正規化」を参照
浮動小数点数→「非正規化数」も参照
浮動小数点数には、「正規化数」と「非正規化数」という概念がある。浮動小数点数において(ゼロを除く)正規化数は、仮数部が必ず1以上基数(通常は2)未満である。 信号処理→「音量正規化」を参照
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