棘ナシ
『棘ナシ』(とげナシ)はメディアミックスプロジェクト『ガールズバンドクライ』からデビューした5人組ガールズバンド・トゲナシトゲアリの2枚目のアルバム。2024年8月28日にUNIVERSAL SIGMAより発売された。 前作『棘アリ』から4か月ぶりのアルバム。テレビアニメ『ガールズバンドクライ』の主題歌・挿入歌として使用された6枚目のシングル『雑踏、僕らの街』から9枚目のシングル『空白とカタルシス』までの全楽曲に加え、新曲2曲が収録された。また、テレビアニメ劇中に登場するトゲナシトゲアリのライバルバンド・ダイヤモンドダストの楽曲も収録された。 概要本作はメンバーがメインキャストとしても出演したテレビアニメ『ガールズバンドクライ』の主題歌や挿入歌を中心に収録された[3]。トゲナシトゲアリ名義の楽曲のほかにも、劇中でトゲナシトゲアリの前身として登場する新川崎(仮)やbeni-shouga、ライバルバンドであるダイヤモンドダストの楽曲も収録されており、テレビアニメのサウンドトラック的な側面のある作品となっている[4][5]。 本作に収録された楽曲のレコーディングは、前作『棘アリ』から地続き、かつテレビアニメのアフレコと並行して行われたため、メンバーは多忙を極めたという[6]。本作が初出となる2曲の新曲「闇に溶けてく」「蝶に結いた赤い糸」はテレビアニメの放送終了間際にレコーディングが行われた[6]。 初回限定盤にはガールズバンドクライ劇中における収録曲のライブシーンと、2024年3月16日に行われたワンマンライブ『薄明の序奏』より「雑踏、僕らの街」「誰にもなれない私だから」のライブ映像が収録されたBlu-ray、および手島nariによるガールズバンドクライのキャラクター設定資料が付属した[7]。 評価チャート成績初週売り上げ2万5,571枚を記録した本作は、9月9日付オリコン週間ランキングで6位、9月4日付Billboard JAPAN Hot Albumsで5位を記録した[8]。 批評ライターの西廣智一はリアルサウンドに掲載した本作のレビュー記事にて、本作の魅力を「理名のボーカルを大切に聴かせることを主軸に置きつつ、ロックバンドとして要所要所で自己主張の激しいプレイを投入しながらも決して破綻することのないアンサンブル」と語っている。また、前作『棘アリ』と比較しテレビアニメと連動したことで企画色は感じられるものの、楽曲の幅は前作より広がっており、バンドの成り立ちや音楽面においてトゲナシトゲアリをより深く知るという意味で、前作と対となって語られるべきアルバムであるとしている[4]。 ライターの沖さやこはROCKIN'ON JAPAN2024年10月号にて、「VOCALOID楽曲の文脈から受け継いだ言葉数の多いボーカルや技巧的なサウンド、アニソンが放つインパクトとキャッチーさ、ロックバンドが持ち合わせる感傷性と躍動感が合わさることで、そのどれにも当てはまらない規格外の音像が実現している。それは《誰かに染まれない 誰にもなれない》という強烈な自我を持つキャラクターたちを体現するようだ。」と評している[9]。 ライターの宮崎大樹はSkream!に掲載した本作のレビュー記事にて「ボカロ楽曲を思わせる膨大な言葉数とメロディの乱高下に、楽器隊のテクニカルなフレーズと、シーン屈指の難度を誇りつつ聴き手の胸に刺す楽曲の数々は、極上のエモーショナル・ロック・ナンバーばかりなのだ」と語り、2024年の音楽シーンを代表する1作だと評している[10]。 収録曲
楽曲解説雑踏、僕らの街→詳細は「雑踏、僕らの街」を参照
「雑踏、僕らの街」は2024年5月22日に6thシングルとして発売された楽曲[13]。テレビアニメ『ガールズバンドクライ』のオープニングテーマとして使用された[13]。 誰にもなれない私だから→詳細は「誰にもなれない私だから」を参照
「誰にもなれない私だから」は2024年5月22日に7thシングルとして発売された楽曲[13]。テレビアニメ『ガールズバンドクライ』のエンディングテーマとして使用された[13]。 空の箱→詳細は「雑踏、僕らの街 § 空の箱」を参照
「空の箱」は2024年5月22日に6thシングル『雑踏、僕らの街』のカップリング曲として発売された楽曲[13]。テレビアニメ『ガールズバンドクライ』第1話の挿入歌として使用された[13]。 声なき魚→詳細は「誰にもなれない私だから § 声なき魚」を参照
「声なき魚」は2024年5月22日に7thシングル『誰にもなれない私だから』のカップリング曲として発売された、新川崎(仮)名義の楽曲[13]。テレビアニメ『ガールズバンドクライ』第3話の挿入歌として使用された[13]。 視界の隅 朽ちる音→詳細は「視界の隅 朽ちる音」を参照
「視界の隅 朽ちる音」は2024年6月19日に8thシングルとして発売された、新川崎(仮)名義の楽曲[14]。テレビアニメ『ガールズバンドクライ』第5話の挿入歌として使用された[14]。 心象的フラクタル→詳細は「視界の隅 朽ちる音 § 心象的フラクタル」を参照
「心象的フラクタル」は2024年6月19日に8thシングルのカップリング曲として発売された、beni-shouga名義の曲[15]。テレビアニメ『ガールズバンドクライ』第6話の挿入歌として使用された[15]。 空白とカタルシス→詳細は「空白とカタルシス」を参照
「空白とカタルシス」は2024年7月10日に9thシングルとして発売された楽曲[16]。テレビアニメ『ガールズバンドクライ』第11話の挿入歌として使用された[16]。 運命の華→詳細は「空白とカタルシス § 運命の華」を参照
「運命の華」は2024年7月10日に9thシングルのカップリング曲として発売された楽曲[17]。テレビアニメ『ガールズバンドクライ』第13話の挿入歌として使用された[17]。 Cycle Of Sorrow「Cycle Of Sorrow」は2024年7月10日に、テレビアニメ『ガールズバンドクライ』劇中に登場するアイドルバンド・ダイヤモンドダストのデビューシングルとして発売された楽曲[16]。劇中ではBAYCAMPにてダイヤモンドダストが歌唱する楽曲として登場する[16]。 ETERNAL FLAME ~空の箱~「ETERNAL FLAME ~空の箱~」は2024年7月10日にダイヤモンドダストのデビューシングル『Cycle Of Sorrow』のカップリング曲として発売された楽曲[16]。3曲目に収録された「空の箱」をダイヤモンドダストが歌唱したバージョン。テレビアニメ『ガールズバンドクライ』第5話・第8話の挿入歌として使用された[16]。 闇に溶けてく「闇に溶けてく」(英題:melt into the dark)は今作が初出となる新曲。作詞・作曲は2ndシングルの表題曲「気鬱、白濁す」を手掛けたMisty mintが担当しており、理名は夜明けの疾走感といったMisty特有の世界感から、「気鬱、白濁す」に通ずるアプローチでレコーディングを行ったという[18]。また、これまでのトゲナシトゲアリの楽曲と比較してギターのアルペジオが多用されており、夕莉はこの楽曲の聞き所であると語っている[18]。 蝶に結いた赤い糸「蝶に結いた赤い糸」(英題:Meant to be)は今作が初出となる新曲。トゲナシトゲアリの楽曲としては初めてのバラードとなっており、夕莉が奏するアコースティックギターが主体となった歌い始めから、徐々にほかの楽器が合流してゆく楽曲となっている[19]。理名はこれまでボカロ曲を中心に歌ってきたため、レコーディングの際には初めてのバラードの難しさを痛感したという[18]。この楽曲はテレビアニメには登場しない楽曲ではあるものの、歌詞は劇中の物語を想起させるものとなっており、理名は河原木桃香[注 1]が井芹仁菜[注 2]にあてたラブソングだと感じたと語っている[19]。 脚注注釈出典
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