核小体形成域核小体形成領域(かくしょうたいけいせいいき、英語:Nucleolus organizer region, 略称NOR)は、 核小体の形成に重要な染色体領域である。 ヒトでは、NORはアクロセントリック染色体である13、14、15、21、22番染色体の短腕、それぞれRNR1、RNR2、RNR3、RNR4、RNR5遺伝子の部位に位置する[1]。 これらの領域は、5.8S、18S、28SリボソームRNAをコードする[1]。NORは、セントロメアとテロメアの反復するヘテロクロマチンDNA配列の間に挟まれている[1]。これらの領域の正確な配列は、2016年現在のヒト参照ゲノム[1]や、2017年1月6日に発表されたGRCh38.p10には含まれていない[2]。しかし、NORがリボソームDNA(rDNA)遺伝子のタンデムコピーを含むことが知られている[1]。NORの染色体上の近位側および遠位側に隣接する配列として、いくつかの配列が報告されている[3]。ロリスのNORは非常に多様性が高いことが報告されている[4]。他の染色体上にもrDNAに関連するDNA配列があり、核小体形成に関与している可能性がある[5]。 可視化バーバラ・マクリントックは、1934年にトウモロコシで「核小体形成体」(nucleolar-organizing body)について初めて記述した[6]。核型分析では、銀染色を用いてNORを同定することができる[7][8]。銀染色によって核小体中にNORを観察することも可能であり、癌性変化を調査するために使用されている[9][10][11]。NORはNORのDNAに結合するタンパク質UBFに対する抗体を用いても観察することができる[1]。 分子生物学UBFに加えて、NORはATRXタンパク質、Treacleタンパク質、 サーチュイン7および他のタンパク質にも結合する[1]。UBFは、発現していたrDNAに対する有糸分裂中の「しおり」として見なされており、有糸分裂後すぐに転写を再開することを可能にする[1]。NORの遠位近接接合部(distal flanking junction、DJ)は、核小体の周縁部と会合することが示されている[3]。大腸菌のrDNAオペロンも、真核生物の核小体と同様に、互いに近接して集合することがわかっている[12]。 脚注
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