日本の高等教育日本の高等教育(にほんのこうとうきょういく)は、大きく一条校[注 1]と、その他の学校[注 2]に区分される。 日本は高等教育機関への進学率が高く、25~64歳人口の20%がISCEDレベルTypeB、26%がTypeAの第3期の教育を修了している[1]。 文部科学省が所管する教育機関については、以下の機関が高等教育機関として分類されている。 また、UNESCOの国際標準教育分類(ISCED)においても、それぞれ以下の通りに分類されている[2]。
これに加え、省庁大学校の独立行政法人大学改革支援・学位授与機構による認定課程(高専専攻科等)も該当する。 上記の高等教育機関のうち、一条校については、政令で定める期間ごとに文部科学大臣認定の評価機関による評価(アクレディテーション)を受ける必要があり[3]、評価結果を公開しなければならない[4]。 歴史→日本の大学の成立と変遷については「日本教育史」を参照
→「Category:日本の高等教育の歴史」も参照
現行の短期大学、高等専門学校、専門学校に加え、更に、目的を職業教育に絞った新たな高等教育機関を設置しようという動きがある。中央教育審議会は、2009年6月22日、職業教育に絞った「新しい高等教育機関」を創設する方針を打ち出した。新しい高等教育機関は、実験や実習など仕事に直結する授業に重点を置くことが想定し、名称の候補は「専門大学」、「職業大学」などが考えられている。[5]。2015年の文科省有識者会議においても「専門職業大学」「専門職大学」などの名称で2~4年制の職業大学を新設することが提言された[6]。 高等教育を行う学校大学院大学院に入学することのできる者は、大学(学部)を卒業した(学士取得)者、またはこれと同等以上の学力があると文部科学大臣の定める基準で認められた者である[7]。ただし、研究科の教育研究上必要がある場合においては、当該研究科に係る入学資格を学士、修士、博士と同等以上の学力があると認められた者とすることができる[7]。 大学
→「日本の大学一覧」も参照
日本において大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的および応用的能力を展開させることを目的としている[9]。換言すれば、大学教育の目的とは、広範にわたる知識の獲得と諸分野の専門的な教育研究を行うことで、拡大・深化した知見と柔軟な思考力を備えた知識人を育成することであるといえる。この目的に照らして、大学の内部は専門分野ごとに、学部や学科・課程などの教育研究組織に分かれている。教員と学生は、それら個々の教育研究組織に所属し、教育研究活動を行う。 日本における大学入学資格は、文部科学省の定める中等教育修了者、もしくは高等学校卒業程度認定試験に合格した者などである[10]。 大学院重点化大学では、教員は学部の専任教員ではなく、大学院の研究科の専任教員となる[注 7]。大学院の研究科に代えて、教員の所属[注 8]と学生の所属[注 9]を分けている大学もある[注 10]。また大学院のみの大学として、大学院大学も存在する。 通信課程
短期大学→「短期大学」も参照
短期大学は修業年限を2年または3年とする大学であり、その目的は、深く専門の学芸を教授研究し、職業又は実際生活に必要な能力を育成する[13]ことである。 高等専門学校→「高等専門学校」も参照
高等専門学校(高専)は、深く専門の学芸を教授し、職業に必要な能力を育成することを目的とする[14]。中学校卒業程度を入学資格とし後期中等教育段階を包含する5年制[注 11]の高等教育機関であり、修了した者は準学士の称号を授与され、大学へ編入学することができる[15][12]。 更に、高等専門学校の専攻科に進学して2年間の課程を修了し、大学改革支援・学位授与機構の審査に合格した者には学士の学位が授与され、大学院の修士課程[注 12]へ入学することができる。 高等学校等の専攻科高等学校等は後期中等教育を行う事を目的とするが、学校教育法第58条にて高等学校(第70条にて中等教育学校の後期課程、第82条にて特別支援学校に準用)を根拠とし「精深な程度において、特別の事項を教授し、その研究を指導することを目的として」専攻科を設置することができる。 学校(一条校)以外の高等教育機関専修学校専門課程(専門学校)→「専門学校」も参照
専門学校は、中等教育修了者に対して「職業若しくは実際生活に必要な能力を育成し、または教養の向上を図ることを目的として組織的な教育を行う[16]」1年以上の職業教育を施す教育施設であり、文部科学省の定める基準を満たし大学に編入学できる専門課程[注 14]は、文部科学省の学校基本調査などにおいて、高等教育機関に分類されることがある。 文部科学大臣の認定する専門課程を卒業した者には、専門士、高度専門士の称号が授与される。
各種学校→「各種学校」も参照
各種学校は、専修学校(専門学校)と同様、中等教育修了後、修業年限が2年以上の学科の場合は高等教育になるが、専門学校のような称号制度はない。 省庁大学校(文部科学省所管外)→「省庁大学校」も参照
学校教育法第1条で定められる教育機関(いわゆる一条校)とは別に、文部科学省以外の省庁が所管する教育機関として省庁大学校がある。 大学改革支援・学位授与機構が省庁大学校の課程を大学に相当するものと認めた場合、その課程を卒業・修了すると同機構より学位が与えられる[18]。
多数の私立大学の定員割れによる全入問題と進学価値問題→「大学全入時代」も参照
日本では私立大学が増加し、学費さえ払えるのなら、一部難関大を除き、全入出来る時代となっている。受験人口が減少しているのにもかかわらず、新しい大学・学部などの設置や、私立大におせる入学定員の増加は続いている[19]。東京学芸大学教育学部准教授の田中敬文は「私立大学・短大数は2017年時点932校あるが、定員割れが229校と約39%にも達する。また今後の本格的な18歳減少前に学校法人の17%が経営難に陥っているため、『名誉ある撤退』を日本政府が促すべき」と指摘している[20]。2021年時点で定員割れの大学は全体の半数を占めた[19]。 ある大学を卒業した場合の価値は金銭的な価値と非金銭的な価値に分けられる。金銭的な価値の代表が「生涯賃金の上昇」であり、大学進学しなかった場合よりも大学にかかった学費を上回る収入増があれば大学進学の価値があると判断出来る。非金銭的価値の代表は「学歴」であり、全入時代と呼ばれる以前の大学進学率が低かった時代は、大卒というだけで「いい会社に就職できる」「周囲から尊敬される」などのメリットがあったが、全入時代であるため、その大卒に金銭的価値があるかが全入時代以前より問われる時代となっている。高卒で従業員数1000人以上の大企業に就職した場合と、大学・大学院卒で従業員数10~99人の中小企業に就職した場合で見ると、大企業の高卒のほうが生涯年収は高くなっている。大企業に入社出来ないどころか、正社員になれず、奨学金の返済に苦しむレベルの大卒とならないように、大学進学以前の時点での選択が重要と指摘されている[21]。 脚注注釈
出典
参考文献
関連項目外部リンク |
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