新疆旅遊号
新疆旅遊号(しんきょうりょゆうごう 中国語: 新疆旅游号)または、天山雪蓮号(中国語: 天山雪莲号)[2]、Z69/70次列車(中国語: Z69/70次列车)とは、中華人民共和国北京市と新疆ウイグル自治区(東トルキスタン)ウルムチ市を結ぶ、中国鉄路総公司ウルムチ鉄路局が運行する優等列車である。 概要1969年9月に運行を開始した、北京とウルムチを結ぶ最初の直通列車である。ウルムチ鉄路局ウルムチ客運段北京行き列車チームが担当し、使用車輛は25T系客車である。新疆旅遊号は途中、京広線、石太旅客専用線、太中銀線、包蘭線、干武線、蘭新線を経由し、その経路は北京市、河北省、山西省、陝西省、寧夏回族自治区、甘粛省和新疆ウイグル自治区と5つの省区に跨り、百里風区やゴビ砂漠などの景勝地を通過する。運行距離は3,105kmで、北京直通列車の中でも運行距離の長い列車のひとつである[3]。北京西駅発ウルムチ南駅行き列車の所要時間は32時間09分で、使用される列車番号はZ69次である。ウルムチ南駅発北京西駅行き列車の所要時間は31時間14分で、使用される列車番号はZ70次である。2006年、新疆旅遊号は中国鉄道部から18回目となる「紅旗列車」の称号を授与され、ならびに中国全土から北京、上海、広州へ直通する列車の中から選ばれる、「樹標塑形」(树标塑形)という特別な栄誉を獲得した[4]。 歴史1963年1月15日、蘭新線全線開通により、ウルムチ駅(現:ウルムチ南駅)と西安駅を結ぶ69/70次直快旅客列車の運行が開始された。1969年9月1日、中国鉄道部が行ったダイヤ改正により、69/70次列車の運行区間が北京まで延長され、北京~ウルムチ間直通旅客列車の運行が開始された。69/70次列車には22系客車が使用され、京広線、隴海線と蘭新線を経由して運行された。その運行距離は3,768kmに及び、片道3泊4日であった。22系客車には空調がない上、69/70次列車の運行距離は長く時間もかかったため、乗客は休息をとることができず、精神障碍を引き起こす者もいた[5]。1981年10月11日のダイヤ改正によって、69/70次列車は直通旅客快車に格上げされ、その後さらに69/70次列車は特別旅客快車に格上げされた。 1997年、中国鉄道部は第一次大提速(ダイヤ改正)を実施し、69/70次列車の運行時間は67.5時間に短縮されたため、北京~ウルムチ間は3日以内に到着できるようになった。1998年10月1日、第二次大提速が行われ、69/70次列車の車輛は空調完備の25G系客車に置き換えられた。この時のダイヤ改正で、69/70次列車の最高運行時速は120kmに達し、運行時間も60時間20分に短縮された[6]。 2000年、中国鉄道部は中国西北部に重点を置いた第三次大提速を実施し、69/70次列車の車輛を25K系客車に置き換え、列車番号をT69/70次に改めた。この時のダイヤ改正で、北京~ウルムチ間の運行時間は47時間56分に短縮された。 2011年1月11日、太中銀線の全線開通により、T69/70次列車の運行経路が石太客運專線、太中銀線、干武線経由に改められ、運行距離が663km短縮された。途中停車駅には新たに石家荘北駅、太原駅、呂梁駅、定辺駅、中衛駅の5つの駅が追加され、代わりに邯鄲駅、安陽駅、新郷駅、鄭州駅、洛陽駅、西安駅、宝鶏駅、天水駅、蘭州駅等の駅には経路変更によって停車しなくなった。太中銀線の全線開通により、北京西~ウルムチ間の運行時間は34時間以内に短縮され、運賃も値下げされた[7]。 2014年9月15日、T69/70次列車の車輛が25T系客車に置き換えられたが、運行時間に変化はなかった[2]。そして2014年12月10日より、T69/70次特快列車はZ69/70次直達特快列車に格上げされ、運行時間の短縮と停車駅変更が行われた。翌2015年2月1日、新疆ウイグル自治区観光局はZ69/70次列車に「新疆旅遊号」(新疆旅游号)の愛称をつけた。新疆ウイグル自治区観光局は今後、上海行きや広州行きの列車などにも愛称をつける予定である[8]。 列車編成牽引機新疆旅遊号は、北京西~中衛間では蘭州鉄路局蘭州機務段所属のHXD3D型電気機関車が牽引し、中衛~南漢ではウルムチ鐵路局ウルムチ機務段所属のHXD1D型電気機関車が牽引する。
客車新疆旅遊号は運行開始以来、22系客車、25G系客車、25K系客車、25T系客車と4回車輛が変わっており、(2015年)現在使用されているのは25T系客車である。新疆旅遊号は18輛編成で、硬臥車(2等寝台車)12輛、硬座車(2等座席車)3輛,軟臥車(1等寝台車)、食堂車及び荷物車各1輛で構成されている。 乗務員はウルムチ客運段北京行き列車チームが担当している。チームには10個の班が設けられており、ウイグル人、漢民族、カザフ人、オロス人、シベ人等多数の民族から成る510名で構成され、そのうち116名が中国共産党員である[9]。
事故2006年4月9日19時22分、ウルムチ発北京西行きT70次列車が東トルキスタン東部百里風区内の小草湖駅を通過中、猛烈な砂嵐が列車を襲った。現場の風速は秒速41.5mに達したため、車体は猛烈に震動し、21輛の客車のガラス窓が小石によって割れ始めた。そのため列車は緊急停車し、乗務員と乗客は床板を外して窓に打ち付け、硬座車の乗客を寝台車に移動させた。22時05分、列車は時速20kmに徐行しつつ小草湖駅を出発し、その後十三間房駅と紅層駅に臨時停車した。翌10日22時01分、列車はクムル駅に到着した。クムル駅では4時間かけて応急修理が行われ、列車は引き続き北京に向けて出発した。最終的に当該列車は33時間遅れの12日20時06分、北京西駅第3ホームに到着した。乗客下車後、車輛は北京西車輛段に入れられ、100名以上の整備士により4時間かけて、破損されたガラス窓を全て修理し、清掃も完了した。その後、13日午前1時にT69次列車は北京西からウルムチに戻った。なお、今回の事件でけが人は出なかった[10][11]。 時刻表
脚註
参考文献
関連項目外部リンク |