新房昭之
新房 昭之(しんぼう あきゆき、1961年9月27日 - )は、日本のアニメ監督、アニメ演出家、元アニメーター、作画監督。福島県伊達郡桑折町出身。血液型O型。別名義として「帆村壮二」「椎谷太志」「Magica Quartet」などがある。 作風構成作家としては、原作のあるアニメを手掛ける際には「原作者の言いたい事柄は原作者にしか分からない」「原作者が考えていることをそのままアニメにするのではなくて、あくまでも原作のファンが見たいと思えるようなアニメを作る」「原作者がファンの為に直々に作った様な構成にする」という考えから原作者を脚本会議に同伴させることを心がけている[3][4]。映像作家としては、
を特徴とする。 また、『月詠 -MOON PHASE-』前後の作品からは、
を特徴とする。これはスケジュールの都合でレイアウトの修正に手を回すことができない作画監督への配慮であり、「他の人がもっと面白いことをやってくれるのではないか」という期待からなる方針である。意識的に上記の作風を利用し始めたのは「『月詠 -MOON PHASE-』を制作した時から」とのこと[3][5]。 演出手法は、「随所に細かいネタを仕込む独特なもの」であるとされる[6]。 シャフト作品においてはキャラクターが独特の角度で首を傾ける演出が多く見られる。この演出は、ファンから「シャフ度」と呼ばれている[7]。始めた理由として「男性が現実で『ジョジョの奇妙な冒険』『北斗の拳』等のアクション漫画にある様なポーズをしながら振り向くとあの角度になる。女性は意外と真っ直ぐに物を見ていなくて、頭が傾いていたり相手に目線を合わせていない事が多い。それをリアルに表現したい」「キャラクターが棒立ちになるのが嫌で、普通に立っている画から外したい」と話している[8]。 スタッフのアイデアを入れていったものでそんなに自分の手を入れていないとしつつも、『ぱにぽにだっしゅ!』をTVシリーズにおける自分の代表作としている[9]。 来歴東京デザイナー学院(現東京ネットウエイブ)卒業後、制作会社を経て、アニメーターとしてスタジオとめに入社。同期に山下将仁などがいた。友人であった漫画家の高橋和希と共にスタジオワンパターンへ遊びに来て、以後参加するようになる[10]。一時期カナメプロダクションにも在籍していた[3]。 1990年の『からくり剣豪伝ムサシロード』第4話「リョーマは一人風の中だス」で初の演出を手掛け、『幽☆遊☆白書』や『NINKU -忍空-』など、スタジオぴえろ(現・ぴえろ)作品で演出を担当。『幽☆遊☆白書』第58話「究極奥義!ほえろ黒龍波」と第74話「テリトリーを打ちやぶれ!!」は一部のアニメ関係者から一目置かれていたらしく[11]、日本ビクター(現・フライングドッグ)のプロデューサー尾留川宏之が偶然にも第74話を観て彼の演出に惚れ込み、1994年の『メタルファイター♥MIKU』で監督の依頼をされる[11]。これが彼の監督デビュー作である。その後、しばらくは地上波テレビアニメシリーズの監督業からは遠ざかり、『新・破裏拳ポリマー』・『てなもんやボイジャーズ』などのOVA作品を中心に手掛けていた。『それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ』はOVAシリーズ・テレビアニメシリーズ共に監督として手掛けている。 2004年に『コゼットの肖像』(童夢)、『魔法少女リリカルなのは』(セブン・アークス)、『月詠 -MOON PHASE-』(シャフト)の3作品を一挙に担当。2005年以降はシャフトを制作拠点としており、同社制作作品を中心とした活動を行っている。一時期は大変作品数が多く自身の監督した作品が1クールに2作品放送されることもあった。 2011年、『魔法少女まどか☆マギカ』で『文化庁メディア芸術祭アニメーション部門』大賞を受賞し、2015年の『SUGOI JAPAN Award』でもグランプリを受賞。『ニュータイプアニメアワード2011』では監督賞を受賞し、2012年『東京アニメアワード2012』でも監督賞を受賞した。 人物像映画監督である市川崑のファンであり[12]、『てなもんやボイジャーズ』のエンディングテーマに市川監修のTVドラマ『木枯し紋次郎』の主題歌「だれかが風の中で」のカバー曲(作詞は市川夫人の和田夏十)を使用したり、『俗・さよなら絶望先生』第11話「黒い十二人の絶望少女/今月今夜この月が僕の涙で曇りますように」では『犬神家の一族』や『黒い十人の女』といった市川作品のパロディが登場したりするなど、新房作品の随所に市川作品に対するオマージュが見られる。 『魔法少女まどか☆マギカ』での音楽はダリオ・アルジェントの『サスペリア』を意識していると発言。邦画では構図が特徴的な作品を好む傾向があるとしている[13]。 自身の根底には『デビルマン』があるとし「自分たちの世代は『デビルマン』の世界からなかなか離れられない。不動明と飛鳥了の関係に持っていきたくなるんです。」と語っている[14]。 小黒祐一郎によると、「のんびりした方で、作られる作品とは随分と印象が違う。それと、彼はちょっとシャイなところがあって、雑誌などに写真が載るのが嫌なのだそうだ。」とのこと[15]。『幽☆遊☆白書』の頃から新房を追っていた小黒ですら経歴を知らなかった[10][11]。そのためかシャフト時代からは文章以外で登場することが無い。イベントにも出ない[16][17]。代わりに大沼心らが出席して「新房監督の来ない新房監督作品特集」なるイベントが行われたこともある[18]。 主な参加作品テレビアニメ
劇場アニメ
OVA
ゲーム
その他
参考書籍
脚注
関連項目外部リンク |