『彼女が目覚めるその日まで』（かのじょがめざめるそのひまで、Brain on Fire）は2016年に公開されたアイルランド・アメリカ合衆国・カナダ合作のドラマ映画である。監督はジェラルド・バレット（英語版）、主演はクロエ・グレース・モレッツが務めた。本作はスザンナ・キャハラン（英語版）が2012年に上梓した自叙伝『脳に棲む魔物（英語版）』を原作としている。
ストーリー
スザンナ・キャハラン（英語版）は『ニューヨーク・ポスト』で働く新米の記者だった。彼女には恋人（スティーヴン）もおり、公私ともに順調な日々を送っていた。しかし、彼女は突然幻聴をはじめとする謎の症状に苦しめられるようになった。それが原因で常軌を逸した言動を取ることがしばしば見受けられるようになった。やがて彼女は何かの発作を起こしてしまい、直ちに病院へと搬送された。
病院にやって来たスザンナの父親（トム）は自分に真っ先に連絡しなかったスティーヴンを詰った。トムが冷静さを取り戻した後、スティーヴンは両親の元での療養をスザンナに勧めたが、彼女はそれを拒否した。しかし、最終的に、スザンナは母親（ローナ）の下で治療に専念することになったが、またしても発作が起きた。医者は過労と睡眠不足が原因だと診断したが、スザンナ自身は双極性障害の可能性を疑っていた。献身的に娘を看病していたローナだったが、度重なる発作に疲れ果て、トムに助力を仰いだ。それでもなお病状が好転しなかったので、両親はスザンナの入院治療を希望した。しかし、医者が検査を重ねても異常は見当たらなかった。
統合失調症患者向けの治療も試みられたが、症状は悪化する一方であった。病院はサウエル・ナジャール医師の協力の下、スザンナの病因の解明に努めた。ナジャールがスザンヌに時計の絵を描かせたところ、彼女は全ての数字を右半分に配列した。このことから、ナジャールは右脳に何らかの異常があるのではないかと判断した。病理検査の結果、スザンヌは抗NMDA受容体抗体脳炎であったことが判明した。説明を簡単にするべく、ナジャールは「脳に棲む魔物」という比喩を用いてスザンナの家族に説明した。
7ヶ月後、スザンナは無事に職場に復帰することができた。事の子細を知った上司のリチャードはスザンナに体験談をまとめてはどうかとアドバイスした。それを受けて、スザンナは『脳に棲む魔物』という自叙伝の執筆を始めるのだった。
キャスト
製作
2014年5月1日、シャーリーズ・セロンがスザンヌ・キャハランの自叙伝『Brain on Fire: My Month of Madness』の映画化権を購入していたという報道があった[4]。当初、主演にはダコタ・ファニングが起用される予定であった[5]。2015年1月22日、ジェラルド・バレットが本作の監督に起用されたと報じられた[6]。2月、第65回ベルリン国際映画祭で本作の配給権が販売された[7]。4日、ウィル・ポールターがキャスト入りしたと報じられた[8]。5月26日、降板したポールターの代役にトーマス・マンが起用され、ジェニー・スレイトに本作の出演オファーが出ているとの報道があった[9]。6月26日、スケジュールの都合でファニングが降板し、その代役としてクロエ・グレース・モレッツが起用されたと報じられた[10]。7月7日、ブロード・グリーン・ピクチャーズが本作の全米配給権を購入したと発表した[11]。16日、キャリー＝アン・モスとリチャード・アーミティッジの出演が決まった[12]。20日、タイラー・ペリーがキャスト入りしたと報じられた[13]。
撮影
本作の主要撮影は2015年7月13日にバンクーバーで始まり、同年8月10日に終了した[14]。院内でのシーンの撮影はバンクーバー総合病院（英語版）でロケが行われた[15]。
公開
2016年9月14日、本作は第41回トロント国際映画祭でプレミア上映された[16]。上映後の評判が芳しくなかったため、ブロード・グリーン・ピクチャーズは本作の全米配給権をNetflixに売却した[17]。
評価
本作は批評家から酷評されている。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには15件のレビューがあり、批評家支持率は13%、平均点は10点満点で4.5点となっている[18]。また、Metacriticには5件のレビューがあり、加重平均値は34/100となっている[19]。
出典
- ^ “彼女が目覚めるその日まで”. 映画.com. 2018年7月6日閲覧。
- ^ “Brain on Fire (2017)” (英語). The Numbers. 2018年7月6日閲覧。
- ^ 『キネマ旬報』2019年3月下旬特別号 p.53
- ^ Fleming, Mike, Jr. (2014年5月1日). “Charlize Theron Options ‘Brain On Fire’ As Star Vehicle For Dakota Fanning” (英語). Deadline.com. https://deadline.com/2014/05/charlize-theron-options-brain-on-fire-as-star-vehicle-for-dakota-fanning-722889/ 2018年7月6日閲覧。
- ^ Scarf, Maggie (2013年1月12日). “BRAIN ON FIRE My Month of Madness By Susannah Cahalan” (英語). The Washington Post. https://www.washingtonpost.com/opinions/brain-on-fire-my-month-of-madness-by-susannah-cahalan/2013/01/12/d5e5ffcc-43c3-11e2-9648-a2c323a991d6_story.html 2018年7月6日閲覧。
- ^ Fleming, Mike, Jr. (2015年1月22日). “‘Glassland’ Helmer Gerard Barrett Set To Helm Dakota Fanning In Denver & Delilah-Produced ‘Brain On Fire’ – Sundance” (英語). Deadline.com. https://deadline.com/2015/01/glassland-helmer-gerard-barrett-set-to-helm-dakota-fanning-in-denver-delilah-brain-on-fire-sundance-1201355563/ 2018年7月6日閲覧。
- ^ Hopewell, John; Barraclough, Leo (2015年1月29日). “Mister Smith Launches Dakota Fanning Starrer ‘Brain on Fire’” (英語). Variety. https://variety.com/2015/film/festivals/mister-smith-launches-dakota-fanning-starrer-brain-of-fire-1201418322/ 2018年7月6日閲覧。
- ^ Barraclough, Leo (2015年2月4日). “Berlin: Will Poulter to Star Alongside Dakota Fanning in ‘Brain on Fire’” (英語). Variety. https://variety.com/2015/film/global/berlin-will-poulter-to-star-alongside-dakota-fanning-in-brain-on-fire-1201423432/ 2018年7月6日閲覧。
- ^ Fleming, Mike, Jr. (2015年5月26日). “Thomas Mann, Jenny Slate Join ‘Brain On Fire’; Dakota Fanning Stars In Woman’s Descent Into Madness” (英語). Deadline.com. https://deadline.com/2015/05/thomas-mann-jenny-slate-brain-on-fire-dakota-fanning-susannah-cahalan-1201432909/ 2018年7月6日閲覧。
- ^ Kit, Borys (2015年6月26日). “Chloe Grace Moretz to Star in 'Brain on Fire' (Exclusive)” (英語). The Hollywood Reporter. https://www.hollywoodreporter.com/news/chloe-grace-moretz-star-brain-805285 2018年7月6日閲覧。
- ^ Kilday, Gregg (2015年7月7日). “Broad Green to Produce Chloe Grace Moretz Starrer 'Brain on Fire'” (英語). The Hollywood Reporter. https://www.hollywoodreporter.com/news/chloe-grace-moretz-brain-fire-807150 2018年7月6日閲覧。
- ^ Jaafar, Ali (2015年7月16日). “Carrie-Anne Moss And Richard Armitage Board ‘Brain On Fire’ Opposite Chloe Grace Moretz” (英語). Deadline.com. https://deadline.com/2015/07/carrie-anne-moss-chloe-grace-moretz-brain-on-fire-richard-armitage-1201477208/ 2018年7月6日閲覧。
- ^ Sneider, Jeff (2015年7月20日). “Tyler Perry Joins Chloe Moretz, Jenny Slate in ‘Brain on Fire’” (英語). The Wrap. https://www.thewrap.com/tyler-perry-joins-chloe-moretz-jenny-slate-in-brain-on-fire/ 2018年7月6日閲覧。
- ^ “On the Set for 7/13/15: Jennifer Garner Begins Shooting Miracles From Heaven, Michael Bay Wraps 13 Hours & Doug Liman Calls Cut on Mena” (英語). SSN Insider. (2015年7月13日). オリジナルの2016年4月3日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160403001444/www.ssninsider.com/on-the-set-for-71315-jennifer-garner-begins-shooting-miracles-from-heaven-michael-bay-wraps-13-hours-doug-liman-calls-cut-on-mena/ 2018年7月6日閲覧。
- ^ Brown, Scott (2015年7月16日). “Actress Chloe Grace Moretz researches for 'Brain on Fire' at VGH” (英語). Vancouver Sun. オリジナルの2020年8月15日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20200815192425/http://www.vancouversun.com/entertainment/movie-guide/Actress+Chloe+Grace+Moretz+researches+Brain+Fire/11220284/story.html 2018年7月6日閲覧。
- ^ Fleming, Mike, Jr. (2016年8月16日). “Toronto Fest Rounds Out Dance Card: Terry George’s ‘The Promise,’ Liev Schreiber In ‘The Bleeder,’ Terrence Malick Docu Among Pics” (英語). Deadline.com. https://deadline.com/2016/08/toronto-film-festival-completes-dance-card-terry-georges-the-promise-liev-schreiber-chuck-wepner-pic-the-bleeder-among-them-1201804129/ 2018年7月6日閲覧。
- ^ Thompson, Anne; Winfrey, Graham (2017年2月16日). “Broad Green Pictures Is Missing Release Dates and Angering Filmmakers. Here’s Why.” (英語). IndieWire. https://www.indiewire.com/2017/02/broad-green-lucy-walker-buena-vista-social-club-step-sister-documentary-1201780636/ 2018年7月6日閲覧。
- ^ “Brain on Fire (2018)” (英語). Rotten Tomatoes. 2018年7月6日閲覧。
- ^ “Brain on Fire Reviews” (英語). Metacritic. 2018年7月6日閲覧。
外部リンク
