客いじり客いじり(きゃくいじり)とは、演者単体で完結する芸とは異なり、観客や観衆に対して何らかのアプローチを行うことで芸を成立させる芸能の手法、またはそのアプローチ。 概要テレビ番組や屋外ロケーション撮影・ライブなどで観客と演者との距離が近い場合に、演者側から素人と交流をはかることで笑いや感動を誘うこと。 古くは旅役者の地方巡業(ドサ回り)、近年ではストリップ劇場の幕間やキャバレー営業等、寄席以外の(時に酔客相手の)場に於ける常套手段であった。客いじりのこういった歴史的観点から芸能として「邪道」であると批判する視聴者や芸人も少なくない[1]。 客を楽しませるべき芸人が素人の手を借りることで「笑わせているのは芸人や演者ではなく客である」や「そこには芸人や演者自体の『芸』がない」とされる見方をされる場合もある。 しかし経験の無い素人から相応のリアクションを引き出すにはそれなりの技術が必要なのも事実であり、単調ないじり方ではすぐに飽きられてしまうことなどから、バラエティ番組などで客いじりを行うことはひとつの芸の技法であると認知され始めたという意見もある。 その一方で客いじりという技術を用いた見世物的価値ができたとされる見方を逆手に取り、素人に見せかけたサクラや関係者を動員して客いじりの「やらせ」を行う事がある。しかし、それでは客いじりの本来の技術とされる部分でさえ持たずに見世物をするために当初の客いじりという技術を使用した見世物的価値さえ併せ持たないと批判の的になる場合もある。 客いじりを得意とする芸人
演劇における客いじり通常、演劇では舞台と客席との間に主体と客体としての境界、すなわち舞台上をひとつの「異空間」として扱う暗黙の了解(第四の壁)が存在する。しかし演目によってはその「お約束」を打ち破り、舞台と切り離されているはずの観客に対してアプローチを行うメタフィクション的な手法が取られる場合がある。観客が舞台と一体化することで、舞台が演劇としての枠を踏み越えるかのような印象を与えるこの手法は効果的な反面、演劇の前提を破壊するため演目を選ぶ非常に限定的な技法といえる。 脚注
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