大庄
株式会社大庄(だいしょう、英: DAISYO CORPORATION)は、外食産業の企業。本社所在地は東京都大田区。 概要『庄や』、『やるき茶屋』、『日本海庄や』、『うたうんだ村』、『大庄水産』などのブランド名で大衆割烹チェーンストアを全国に展開。直営店舗、フランチャイズ店舗があり、ブランドラインを総称して「庄やグループ」と呼んでいる。M&Aも積極的に行い業務を拡大。創業者は平辰。 「はい!よろこんで!」という受け答えで知られ、2010年12月よりスタートしたTwitter特設サイトの名称も、これをもじって「ハイ! よろこんでナウ!」としている。Twitterでは全国600人以上の店長が個々の店舗のサービス状況についてつぶやいている。 2014年、24歳の社員が過労死したことと当時1ヶ月80時間の時間外労働を給料に組み込んでいたこと(80時間の時間外労働を行わないと満額の給料が支払われない)などを理由としてブラック企業大賞にノミネートされる。訴訟では最高裁まで争われた結果、労働者側の言い分が認められ、会社と役員に対しても7860万円の支払いが命じられた[1]。2014年9月平了寿が社長に就任し、業務構造改革を発表し労働環境の改善を推進。その後、2015年には時間外労働による労働基準法違反の疑いで書類送検されるが、東京地検の調査の結果、労働環境の改革が進み「改善されている」との判断で不起訴となった。 沿革
会社の現況2020年8月31日現在 株式の状況
大株主(上位10名)
重要な親会社及び子会社の現況
主要な借入先の状況
企業集団の使用人の状況
展開業態一覧
過去に展開していた業態
東京都調理高等職業訓練校1978年に社内研修センターとして設立した日本料理専門学院を前身とする。1985年に東京都知事の認定を受けて認定職業訓練による職業訓練校(現・職業能力開発校)として開校した。調理技術のほか食品衛生学まで幅広く知識と能力をもつ人材育成を展開する。 労働問題2008年12月22日に、長時間の残業により24歳の従業員が過労死したとして、この従業員の両親が、約1億円の損害賠償を求め、京都地方裁判所に訴えを提起した。 原告の主張は、新入従業員を月額19万4,500円で募集していたが、その月額は80時間の残業を前提としており、それ以下の場合は減額され、最低月額は12万3,200円であった[6]。2008年度のリクナビ求人サイトには、月額19万6,400円+残業手当と書かれていたという。 2010年5月25日、京都地方裁判所は原告の請求を認容、同社と取締役4人に対し約7,860万円の支払いを命じた。判決理由は「長時間労働を前提としており、こうした勤務体制を維持したことは、役員にも重大な過失がある」、「生命、健康を損なわないよう配慮すべき義務を怠った」と指摘している。過労死を巡る訴訟は、会社側が責任を負うことが一般的で、取締役の賠償責任を認めた司法判断は珍しい[7][8]。原告代理人の弁護士は、「上場企業の役員個人の責任が認められたのは画期的」と述べた[6]。 この第一審判決に対して、被告大庄側は大阪高等裁判所に控訴する。 2011年5月25日、大阪高等裁判所は約7,860万円の賠償を命じた第一審京都地裁判決を支持、会社側の控訴を棄却した。従業員死亡までの約4カ月間の時間外労働は月平均100時間超で、厚生労働省が定めた過労死認定基準(月80時間超)を上回っていた。控訴審の審理において控訴人大庄側は、月100時間までの残業を認めた労使協定があり「外食産業では一般的」と主張したが、裁判所は「過大な残業が常態化し、協定でも補いきれなかったのが実情に近い」と認定し、三六協定や賃金体系の体制作りは「経営判断事項」とする大庄側の主張に対し、「責任感のある誠実な経営者であれば、自社の労働者の至高の法益である生命・健康を損なうことがないような体制を構築し、(中略)義務があることは自明」とその主張を退けた。 控訴人(会社側)らは2011年6月8日、控訴棄却を不服として上告し、引き続き最高裁で争われることになった。 2013年9月、最高裁第三小法廷は大庄側の上告を退ける決定を下した。これにより社長ら個人の賠償責任も認め、遺族へ計約7860万円を支払うよう命じた一、二審判決が確定した[9][10][11][12]。 『名ばかり管理職』訴訟名古屋市内の同社運営の居酒屋で2007年7月から2009年3月まで店長として勤務してきた24歳の元社員の男性が、実際には権限のない『名ばかり管理職』として扱われ、過労死ラインに当たる月80時間以上の労働をさせられた上、管理職扱いで月80時間分の固定残業代しか支払われなかったとして、2009年7月8日、未払い賃金と慰謝料を合わせて計約570万円の支払いを求め、名古屋地裁に提訴した。 時間外労働による労働基準法違反の疑い不起訴2015年5月27日、東京労働局は東京地検に時間外労働による労働基準法違反で株式会社大庄および店長2人を書類送検した[13]。2013年10月に「庄や」有楽町店で勤務する男性社員に93時間、「マ・メゾン」小平店で調理担当の男性アルバイトに90時間の時間外労働をさせた疑いによるものである[13]。東京地検による調べの結果、会社および店長2人ともに「不起訴」となった。 違法な長時間労働を課し、放置したとして同社に約1400万円を支払うよう命じる判決2021年10月25日、居酒屋チェーン店「庄や柏西口店」で調理担当者として働いていた男性(62)が、過重労働で脳出血を発症し左半身がまひする障害を負ったとして、運営会社「大庄」(東京)に約5600万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は25日、同社に約1400万円を支払うよう命じる判決を言い渡した。松田典浩裁判長は「違法な長時間労働を課し、放置した」と述べた。 判決は、男性は昼夜逆転の生活が恒常化し、睡眠も十分ではなかったと指摘。発症までの1ヶ月間の時間外労働は93時間を超え、忘年会シーズンで深夜の勤務が常態化するなど業務が過重だったとして、発症との因果関係を認めた。 大庄は「判決文が届いていないのでコメントは控えたい」としている。 関連項目
脚注
外部リンク |
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