国鉄DT18形台車国鉄DT18形台車(こくてつDT18がただいしゃ)は、日本国有鉄道が開発した鉄道車両用台車の一形式である。 概説キハ44000形試作電気式気動車用台車として1951年に設計され、1952年以降同系のキハ44000形の量産車とキハ44100・44200形まで採用された。 1952年にキハ44000形の量産車と同時に、同形状の車体で造られた液圧式(液体式気動車の試作時には、液圧式と云われた)気動車の試作車キハ44500形用として本形式(DT18)を改修したDT19・TR49が採用され、これはキハ55系・キハ20系でDT22・TR51へ移行するまで国鉄制式気動車用台車として量産された。 構造国鉄では唯一の直角カルダン駆動装置を搭載する。 バックゲージの狭い1067mm軌間用、継手の制約から軸距を長くとる必要のある直角カルダン駆動、しかも1台車2電動機装架、という厳しい制約条件から、2基の主電動機軸が中央のボルスタを貫通する特異なレイアウトとなった。このため、これと干渉するのを避けるために枕ばねのスペースを確保できず、やむなく金属ばねの代わりに分厚い防振ゴムブロックを上揺れ枕と下揺れ枕の間に挿入してある。 また、この枕ばねの性能が十分でないことから、軸ばねの高さ(長さ)を極力大きくとってばね定数を引き下げることで乗り心地の改善を図る必要があると判断された。そこで1951年に汽車製造が京阪電気鉄道1700系用KS-3で初採用した、下天秤ウィングばね式軸箱支持機構が採用された。 これは軸箱の上にヤジロベエ式に∩形をしたウィングボックスを乗せ、その両下端付近に設けたばね座で側枠から下ろされた長い軸ばねを支持する[1]ものである。この構造には軸箱守控を外せばそのまま台車枠をつり上げるだけで軸箱および車輪を抜き取れる、という保守上無視できないメリットがあり、また軸ばねの長さを他のウィングばね方式よりも長く取れる、というメリットもあった。 もっとも、本形式が設計された時点では未解明であったが、台車のばねの役割については、軸ばねが台車としての走行性能を支配し、枕ばねが乗り心地に大きく影響することが後日判明している。 これは、枕ばねとして特性的に本来不向きな防振ゴム[2]を使用したことによる振動特性の悪化を、軸ばねのばね定数を極力引き下げて乗り心地の改善を図ることで相殺する、という基本コンセプトに致命的な誤りがあったことを示すものであった。しかしながら本形式を設計した国鉄技術陣は、本形式の後継機種であるDT19で枕ばねをそのままに軸ばねを空気ばね化、あるいはコイルばねにオイルダンパーを付加することで問題の解決を図ろうとする[3]、軸ばねを改良すれば枕ばねを簡素化しても乗り心地を維持、あるいは改善できると考えていた形跡があり、劣悪な乗り心地の主因であった防振ゴムブロックによる枕ばね部に改良のメスが入れられることは最後まで無かった。この結果、本形式とその後継であるDT19・TR49については、戦前製のキハ42000形用台車であるTR29の方が良好な乗り心地であると判定され、更に後日、機会をとらえてDT22・TR51への交換が一部で実施されるなど、最後まで酷評がついて回る状況となった。 その一方で、本形式では側枠について、従来多用されていた一体鋳鋼製や帯板組み立て構造を止め、表裏2枚の鋼板プレス成形部品を最中状に貼り合わせて溶接することで箱形断面を形成する、全く新しいモノコック構造が採用された。この方式は軽量化に大きな効果があり、続くDT19・TR49に継承された後、DT20で電車用として採用され、DT21以降の国鉄台車における標準設計手法として定着した。 もっとも、本形式の段階では溶接の適用箇所は側枠の組み立てまでに留まり、側枠と鋳鋼製の横梁(トランサム)[4]、それに端梁はボルトで組み付けられており、そのため側枠中央部には鋳鋼製のTR40などで見られたような3本×2列×2組で12本分のトランサム締付孔が設けられていた[5]。 また、一体圧延車輪と複列円筒ころ軸受[6]を採用し、保守の簡略化を実現したのも本形式が国鉄初となっており、戦後初の電気式ディーゼル気動車向け試作台車として、防振ゴムブロックの採用を含め、当時考え得る限りの新機軸が盛り込まれた設計であったことが判る。 ブレーキは両抱き式とされたが、ブレーキ装置の各部品はDT16と共通として、保守に配慮してあった。 なお、本形式は後に装着形式であるキハ44000・44100・44200の各形式が液体式気動車へ改造された際に電装解除され、トランサム周辺を改造の上で逆転機を装架し、DT19相当に改造されている。 仕様
派生形式本形式は電気式気動車用として開発されたが、前述の通り初期の量産液体式気動車に同系台車が大量採用されている。 国鉄向け
採用された車両※ 流用品・他事業者からの中古品を使用する車両を含む。
脚注
関連項目 |
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