内視鏡的粘膜下層剥離術
内視鏡的粘膜下層剥離術(ないしきょうてきねんまくかそうはくりじゅつ、英endoscopic submucosal dissection:ESD)とは内視鏡治療の一つ。 歴史日本が世界に先んじて発展させてきた治療技術である。 「EMR」より広範囲の病変切除の方法が模索され、1982年に平尾雅紀(北海道勤労者医療協会勤医協中央病院)らが「ERHSE」法を報告[1] して以降、様々な方法[2] が提案されていった。 現型のESDのモデルとなったのは、1996年に国立がんセンター内視鏡部、細川浩一・小野裕之よりITナイフを用いた手法[3] が報告され、その後、小野裕之(国立がんセンター→静岡がんセンター)・後藤田卓志(国立がんセンター→東京医科大学准教授)、小山恒男[4](佐久総合病院)、矢作直久(虎の門病院→慶應義塾大学教授)、豊永高史[5](岸和田徳洲会病院)、山本博徳(自治医科大学)ら全国の有志によって発展し、確立してきた。 2007年に早期胃癌に対するESDが保険医療の適応を受け、その後、2008年に早期食道癌が続いて保険適応認定され、日本全国の医療機関で行われるようになってきた。2012年4月からは大腸のESDも保険適応となっている。 適応基本的に原発病変切除のみであるため「リンパ節転移の無い、進達度の浅い早期の病変」が治療適応対象。現在保険適応となっているのは、早期食道癌、早期胃癌、早期大腸癌である。早期大腸癌は2009年より2010年まで先進医療に指定されていた。また武藤学(京都大学)らによって早期咽頭癌に対しても行われている[6]。食道癌・胃癌・大腸癌のみならず咽頭癌でも術後機能が温存され、良好な経過が多くみられている。[7] 手技現在、病変の臓器・形態によって、様々な手段・方法が存在し一概に記述は困難であるが、一般的に多く行われる手技について以下に紹介する。
器具現在、様々な器具が開発されてきているが、主に広く用いられる器具は以下の通り。ほぼメーカーの独占商品名でもある。 切除器具
高周波器具局注液
合併症偶発合併症には以下が存在する。 穿孔ESDは粘膜表層の広範囲の切除を行う手術処置であるが、より下層を切除してしまう可能性があり、粘膜を穿き切れば穴が空いてしまう。 多くの場合、内視鏡的穿孔部縫合術が施行され、保存的経過観察とされる。ごく稀に縦郭・腹腔に炎症が生じてしまったような場合で手術的加療がなされることもある。 出血人工的に潰瘍を作るような治療のため出血が生じることがある。主に内視鏡的止血術施行にて対処される。 脚注
参考書籍
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