五十鈴川駅

五十鈴川駅
駅舎(2010年8月)
いすずがわ
Isuzugawa
(内宮前)
M74 宇治山田 (1.9 km)
(3.0 km) 朝熊 M76
地図
所在地 三重県伊勢市中村町325
北緯34度28分36.13秒 東経136度43分38.13秒 / 北緯34.4767028度 東経136.7272583度 / 34.4767028; 136.7272583座標: 北緯34度28分36.13秒 東経136度43分38.13秒 / 北緯34.4767028度 東経136.7272583度 / 34.4767028; 136.7272583
駅番号  M75 
所属事業者 近畿日本鉄道(近鉄)
所属路線 M 鳥羽線
キロ程 1.9 km(宇治山田起点)
伊勢中川から30.2 km
電報略号 イス
駅構造 高架駅(盛土上)
ホーム 2面4線
乗車人員
-統計年度-
2,026人/日(降車客含まず)
-2019年-
開業年月日 1969年昭和44年)12月15日
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五十鈴川駅(いすずがわえき)は、三重県伊勢市中村町にある、近畿日本鉄道(近鉄)鳥羽線である。副駅名は「内宮」(ないくうまえ)。駅番号はM75

歴史

駅名問題

近鉄側は、当駅の近くの地名「古市」から古市口駅の駅名を予定していた。その後開業直前の1969年(昭和44年)11月となって、駅名を内宮前駅(ないくうまええき)にしようとした[6]。近鉄には古市駅大阪府羽曳野市)があり、混同を避けるという意味合いもあった。

しかし、駅名を内宮前とすることにより伊勢神宮へ参拝する客のほとんどが伊勢神宮の外宮前(げくうまえ)の駅(伊勢市駅および宇治山田駅)を素通りして直接内宮に行ってしまうことを懸念した伊勢市長が同年11月10日に近鉄側に反対を申し入れ[7]、伊勢市議会も同年11月11日に行われた近鉄対策特別委員会で反対することを決めた[8]

また、伊勢神宮側(神宮司庁)も駅から内宮まで約2kmも離れており、内宮の近くと思って降車した参拝客に迷惑をかけることを理由に反対した[9]

試運転の開始直前まで、近鉄側は駅名変更の調整を続け[10]、同年11月21日に近鉄の副社長が伊勢市長と会談し駅名を「五十鈴川(内宮前)」[注 2]とすることを伝え、市長の了承を得たため運輸省に届け出ることとなり、駅名問題は決着した[11]

駅構造

ホーム(2019年1月)

盛土上に待避設備を備えた島式ホーム2面4線を持つ高架駅。ホーム有効長は特急の発着を考慮して10両編成分を確保されている。駅舎は下り線(東北)側にある。改札口は1ヶ所のみである。

のりば

のりば 路線 方向 行先
1・2 M 鳥羽線 下り 賢島方面[12]
3・4 上り 伊勢中川白塚近鉄名古屋大阪難波京都方面[12]
特記事項
  • 内側2線(2番線と3番線)が主本線、外側2線(1番線と4番線)が待避線である。
  • 宇治山田寄りに片渡り線が設置されているため、当駅始発上り列車の一部は、本来下りホームである1番・2番のりばから発車する。また、鳥羽寄りにも片渡り線が設置されているため4番のりばからは鳥羽方面への発車も可能であり、1番線が使えない場合は宇治山田方面からの回送列車を中心に渡り線を用いて折り返しを行っている。

特徴

ダイヤ面

  • 阪伊甲特急名伊甲特急および観光特急「しまかぜ」を除いた定期旅客列車が停車する[13][14]
    • 2012年3月20日のダイヤ改正までは宇治山田発名古屋行き特急も存在したが、2012年3月20日より宇治山田を着駅に五十鈴川を発駅に変更したため廃止となった。しかし、臨時列車として名古屋発宇治山田行き特急の折り返しまたは名古屋発宇治山田行き特急を運転するために宇治山田発名古屋行き特急が運転されるケースは存在する。
    • 停車する特急列車の詳細:阪伊・名伊乙特急の全列車および京伊特急が停車しており、日中の名伊乙特急はおよそ半数が宇治山田駅終着・当駅始発で設定されている[13]
      • 通常ダイヤでは阪伊甲特急、名伊甲特急は通過するが、臨時で運行される甲特急は停車し、一部は当駅終着、始発列車として運行する。
      • 2012年3月20日のダイヤ変更までは京伊特急の中でも大阪難波駅発着の阪伊乙特急に併結しない列車は通過していたが、同変更で単独運転の列車に統一の上で停車駅に追加されることになった。
      • 従来は当駅発着の定期特急列車は設定されていなかったが、2014年9月21日のダイヤ変更で日中の宇治山田駅始発・終着だった乙特急のうち、名古屋方面からの列車が当駅始発になった。なお、大晦日の越年終夜運転時には大阪・名古屋・京都方面の大多数の列車が宇治山田駅終着・当駅始発で設定される。
    • 大阪上本町駅近鉄名古屋駅から運転される快速急行・急行の折り返し拠点であり、当駅始発・終着列車が終日設定されている[13]。早朝には当駅始発の名張行き急行が1本設定されている[13]
      • 2011年まで快速急行の当駅終着は臨時列車のみであったが、2012年3月20日変更で休日の下り最終のみ新設され、定期旅客列車として運転されるようになった。2018年3月17日変更時点で快速急行の当駅発着本数は、休日20時台の当駅到着が1本のみ設定されている[13]
    • 当駅に発着する毎時2本 - 3本の普通列車はほとんどが通し運転の列車であるが、早朝と夜間の1往復のみ当駅発着の普通列車が運転されている[13]
    • 当駅始発列車のうち、平日ダイヤの特急2本、急行17本および土休日ダイヤの特急3本、急行16本は1番線始発であり、2番線始発の上り定期列車は、平日6:13発近鉄名古屋行き特急が設定されている(2022年12月17日ダイヤ変更時点)[15]
  • 列車待避や接続も多く行われており、朝と夕方の鳥羽駅発着の急行が当駅にて乙特急と緩急接続する列車や、時間帯によっては当駅折り返しの急行と賢島方面発着の普通列車との接続も行われている[13]

駅設備・営業面

  • 宇治山田駅管理の有人駅で、PiTaPaICOCA対応の自動改札機および自動精算機回数券カードに対応)が設置されている。自動精算機ではICカードへのチャージが可能。
  • 特急券は専用の有人窓口にて購入可能であるが、定期券の取り扱いは実施されていない[16]
  • 行先案内表示は液晶ディスプレイ式。

当駅乗降人員

近年における当駅の1日乗降人員の調査結果は以下の通り[17]

  • 2023年11月7日:3,406人
  • 2022年11月8日:2,840人
  • 2021年11月9日:2,215人
  • 2018年11月13日:2,603人
  • 2015年11月10日:2,323人
  • 2012年11月13日:2,122人
  • 2010年11月9日:2,251人
  • 2008年11月18日:2,091人
  • 2005年11月8日:2,229人

利用状況

「三重県統計書」によると、1日の平均乗車人員は以下の通りである[18]

年度 一日平均
乗車人員
1997年 1,793
1998年 1,622
1999年 1,291
2000年 1,290
2001年 1,278
2002年 1,242
2003年 1,226
2004年 1,195
2005年 1,188
2006年 1,229
2007年 1,217
2008年 1,247
2009年 1,248
2010年 1,266
2011年 1,280
2012年 1,314
2013年 1,681
2014年 1,379
2015年 1,492
2016年 1,551
2017年 1,943
2018年 1,842
2019年 2,026
2020年 1,208

五十鈴川駅の利用状況の変遷を下表に示す。

  • 輸送実績(乗車人員)の単位は人であり、年度での総計値を示す。年度間の比較に適したデータである。
  • 乗降人員調査結果は任意の1日における値(単位:人)である。調査日の天候・行事等の要因によって変動が大きいので年度間の比較には注意を要する。
  • 表中、最高値を赤色で、最高値を記録した年度以降の最低値を青色で、最高値を記録した年度以前の最低値を緑色で表記している。
年度別利用状況(五十鈴川駅)
年 度 当駅分輸送実績(乗車人員):人/年度 乗降人員調査結果:人/日 特記事項
通勤定期 通学定期 定期外 合 計 調査日 調査結果
1969年(昭和44年) 17,520 ←←←← 249,710 267,230     開業
1970年(昭和45年) 110,280 ←←←← 319,316 429,596      
1971年(昭和46年) 101,580 ←←←← 294,044 395,624      
1972年(昭和47年) 111,120 ←←←← 287,406 398,526      
1973年(昭和48年) 133,500 ←←←← 367,212 500,712      
1974年(昭和49年) 157,200 ←←←← 312,684 469,884      
1975年(昭和50年) 155,490 ←←←← 381,546 537,036      
1976年(昭和51年) 161,190 ←←←← 354,488 515,678      
1977年(昭和52年) 172,770 ←←←← 388,570 561,340      
1978年(昭和53年) 188,880 ←←←← 400,854 589,734      
1979年(昭和54年) 195,600 ←←←← 408,808 604,408      
1980年(昭和55年) 204,540 ←←←← 433,336 637,876      
1981年(昭和56年) 221,490 ←←←← 437,382 658,872      
1982年(昭和57年) 219,510 ←←←← 428,473 647,983 11月16日 2,055  
1983年(昭和58年) 229,470 ←←←← 409,085 638,555 11月8日 3,385  
1984年(昭和59年) 234,780 ←←←← 425,018 659,798 11月6日 1,993  
1985年(昭和60年) 248,640 ←←←← 436,442 685,082 11月12日 2,055  
1986年(昭和61年) 255,240 ←←←← 445,228 700,468 11月11日 2,337  
1987年(昭和62年) 251,190 ←←←← 451,618 702,808 11月10日 2,191  
1988年(昭和63年) 254,610 ←←←← 432,238 686,848 11月8日 2,290  
1989年(平成元年) 258,960 ←←←← 470,344 729,304 11月14日 2,343  
1990年(平成2年) 255,120 ←←←← 439,650 694,770 11月6日 2,643  
1991年(平成3年) 249,570 ←←←← 426,147 675,717      
1992年(平成4年) 251,310 ←←←← 419,363 670,673 11月10日 2,860  
1993年(平成5年) 243,360 ←←←← 431,570 674,930      
1994年(平成6年) 335,370 ←←←← 600,213 935,583      
1995年(平成7年) 263,520 ←←←← 345,613 609,133 12月5日 2,018  
1996年(平成8年) 251,160 ←←←← 354,152 605,312      
1997年(平成9年) 264,960 ←←←← 389,542 654,502      
1998年(平成10年) 252,360 ←←←← 339,701 592,061      
1999年(平成11年) 244,560 ←←←← 227,996 472,556      
2000年(平成12年) 240,240 ←←←← 230,757 470,997      
2001年(平成13年) 235,650 ←←←← 230,692 466,342      
2002年(平成14年) 228,450 ←←←← 224,853 453,303      
2003年(平成15年) 226,140 ←←←← 222,615 448,755      
2004年(平成16年) 224,370 ←←←← 211,924 436,294      
2005年(平成17年) 216,510 ←←←← 217,253 433,763 11月8日 2,229  
2006年(平成18年) 214,350 ←←←← 234,076 448,426      
2007年(平成19年) 210,060 ←←←← 235,357 445,417      
2008年(平成20年) 210,270 ←←←← 245,032 455,302 11月18日 2,091  
2009年(平成21年) 218,610 ←←←← 237,075 455,685      
2010年(平成22年) 228,120 ←←←← 233,990 462,110 11月9日 2,251  
2011年(平成23年) 235,140 ←←←← 233,157 468,297      
2012年(平成24年) 233,400 ←←←← 246,093 479,493 11月13日 2,122  
2013年(平成25年) 236,970 ←←←← 376,451 613,421      
2014年(平成26年) 219,300 ←←←← 283,966 503,266      
2015年(平成27年) 225,420 ←←←← 320,524 545,944 11月10日 2,323  
2016年(平成28年) 226,890 ←←←← 339,174 566,064      
2017年(平成29年) 241,950 ←←←← 467,158 709,108      
2018年(平成30年) 261,690 ←←←← 410,581 672,271 11月13日 2,603  
2019年(令和元年) 291,000 ←←←← 450,451 741,451      
2020年(令和2年) 277,710 ←←←← 163,289 440,999      
2021年(令和3年)   ←←←←          
2022年(令和4年)   ←←←←          
2023年(令和5年)   ←←←←          
2024年(令和6年)   ←←←←          

駅周辺

駅前(2010年8月)

バス路線

三重交通
  • 2番乗り場
    • 51系統 内宮前
    • 参宮バス(スカイラインルート、土休日のみ) 山上広苑
伊勢市コミュニティバス「おかげバス」
  • 鹿海・朝熊ルート
  • 二見ルート
  • 小木・田尻ルート
    • いせトピア・伊勢赤十字病院(デマンド制・1日3往復の運行)

隣の駅

近畿日本鉄道
M 鳥羽線
快速急行(下りのみ運転)・急行・普通
宇治山田駅 (M74) - 五十鈴川駅 (M75) - 朝熊駅 (M76)

脚注

注釈

  1. ^ 明星駅にあった明星列車区が移転し改称したもので、開業後の2022年5月22日に四日市駅で開かれた鉄道・バスグッズマルシェで「五十鈴川列車区開業記念看板キーホルダー」が販売されたが、開業日を2021.2.21と誤記したため、後に返品交換が行われた[5]
  2. ^ 12600系までの特急車の側面方向幕には、副駅名を併記した「五十鈴川(内宮前)ゆき」の表示があった。

出典

  1. ^ a b 曽根悟(監修)『週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 大手私鉄』 2号 近畿日本鉄道 1、朝日新聞出版〈週刊朝日百科〉、2010年8月22日、22-23頁。ISBN 978-4-02-340132-7 
  2. ^ a b 近畿日本鉄道株式会社『近畿日本鉄道 100年のあゆみ』近畿日本鉄道、2010年12月、676-677頁。全国書誌番号:21906373 
  3. ^ 平成19年4月1日から、近鉄主要路線でICカードの利用が可能になります』(pdf)(プレスリリース)近畿日本鉄道、2007年1月30日http://www.kintetsu.jp/news/files/iccard20070130.pdf2016年3月13日閲覧 
  4. ^ 主要駅でAIを活用したお客さま案内デジタルサイネージの実証実験を実施~お客さまとともにAIを育てていきます~』(pdf)(プレスリリース)近畿日本鉄道、2020年2月18日https://www.kintetsu.co.jp/all_news/news_info/dejisai.pdf2020年2月18日閲覧 
  5. ^ 「五十鈴川列車区開業記念看板キーホルダーの交換について」”. 近畿日本鉄道 (2022年6月29日). 2023年2月12日閲覧。
  6. ^ 「試運転は15日ごろ 近鉄鳥羽新線 宇治山田-古市口間」伊勢新聞 1969年(昭和44年)11月7日付 1面
  7. ^ 「古市口の名 変更には反対 伊勢市が近鉄に申し入れ」伊勢新聞 1969年(昭和44年)11月11日付 1面
  8. ^ 「内宮前駅名に絶対反対 伊勢市議会も決める」伊勢新聞 1969年(昭和44年)11月12日付 1面
  9. ^ 「神宮側も反対 近鉄「内宮前」駅名」伊勢新聞 1969年(昭和44年)11月13日付 1面
  10. ^ 「24日から試運転 近鉄鳥羽新線 宇治山田-古市口間」伊勢新聞 1969年(昭和44年)11月20日付 1面
  11. ^ 「駅名は五十鈴川(内宮前) 近鉄安藤副社長ら 慶谷市長と会談」伊勢新聞 1969年(昭和44年)11月22日付 1面
  12. ^ a b 駅の情報|五十鈴川”. 近畿日本鉄道. 2021年4月23日閲覧。
  13. ^ a b c d e f g 近鉄時刻表2018年3月17日ダイヤ変更号、p.150 - p.157・p.162 - p.184・p.308 - p.315・p.320 - p.342
  14. ^ 次世代新型観光特急「しまかぜ」、平成25年3月21日デビュー! (PDF) - 近畿日本鉄道株式会社、2012年9月28日付ニュースリリース
  15. ^ 駅掲出時刻表 - 五十鈴川駅 近畿日本鉄道
  16. ^ 近鉄時刻表2018年3月17日ダイヤ変更号、p.70 - p.87
  17. ^ 駅別乗降人員 鳥羽線 - 近畿日本鉄道
  18. ^ 三重県統計書 - 三重県

関連項目

外部リンク