上村 忠男(うえむら ただお、1941年12月7日[1]- )は、日本の歴史学者。東京外国語大学名誉教授。ルネサンス、近世哲学期から20世紀イタリア現代思想までのイタリア思想史の原典訳・研究を多く刊行している。
略歴
1941年、兵庫県尼崎市生まれ。東京大学教養学部国際関係論分科を卒業し、同大学院社会学研究科修士課程を修了。
東京外国語大学外国語学部助教授となり、後に教授昇進。大学では、イタリア語学科、総合文化講座を担当した。2003年より大学院地域文化研究科教授。2005年に東京外国語大学を定年退職し、名誉教授となった。
2018年に第三回須賀敦子翻訳賞[2]を受賞した。
著書
単著
- 『ヴィーコの懐疑』(みすず書房) 1988
- 『クリオの手鏡 - 20世紀イタリアの思想家たち』(平凡社選書) 1989
- 『歴史家と母たち - カルロ・ギンズブルグ論』(未來社) 1994
- 『ヘテロトピアの思考』(未來社) 1996
- 『バロック人ヴィーコ』(みすず書房) 1998
- 『超越と横断 - 言説のヘテロトピアへ』(未來社) 2002
- 『歴史的理性の批判のために』(岩波書店) 2002
- 『グラムシ 獄舎の思想』(青土社) 2005
- 『韓国の若い友への手紙 - 歴史を開くために』(岩波書店) 2006
- 『無調のアンサンブル』(未來社) 2007
- 『ヴィーコ - 学問の起源へ』(中公新書) 2009
- 『知の棘 - 歴史が書きかえられる時』(岩波書店) 2010
- 『カルロ・レーヴィ 「キリストはエボリで止まってしまった」を読む ファシズム期イタリア南部農村の生活』(平凡社ライブラリー) 2010
- 『ヘテロトピア通信』(みすず書房) 2012
- 『回想の1960年代』(ぷねうま舎) 2015
- 『ヴィーコ論集成』(みすず書房) 2017
- 『ヘテロトピアからのまなざし』(未來社、ポイエーシス叢書) 2018
- 『アガンベン《ホモ・サケル》の思想』(講談社選書メチエ) 2020
- 『独学の思想』(未來社) 2023。学問的自伝
- 『歴史をどう書くか カルロ・ギンズブルグの実験』(みすず書房) 2023
編著・共編
- 川田順造 共編『文化の未来 - 開発と地球化のなかで考える』(未來社) 1997
- 『国民革命幻想 - デ・サンクティスからグラムシへ』(未來社) 2000
- 『歴史を問う』全6巻(岩波書店) 2001 - 大貫隆, 月本昭男, 二宮宏之, 山本ひろ子と編集委員
- 『沖縄の記憶 / 日本の歴史』(未來社) 2002
翻訳
ベネデット・クローチェ
- 『クローチェ政治哲学論集』(ベネデット・クローチェ、法政大学出版局、叢書・ウニベルシタス) 1986
- 『ヴィーコの哲学』編訳(ベネデット・クローチェ、未來社、転換期を読む) 2011
- 『ヘーゲル弁証法とイタリア哲学』(スパヴェンタ, クローチェ, ジェンティーレの編訳注解、月曜社、シリーズ古典転生) 2012
ガヤトリ・C・スピヴァク
- 『サバルタンは語ることができるか』(G・C・スピヴァク、みすず書房) 1998
- 『ポストコロニアル理性批判 - 消え去りゆく現在の歴史のために』(スピヴァク、本橋哲也共訳、月曜社) 2003
- 『ある学問の死 - 惑星思考の比較文学へ』(スピヴァク、鈴木聡共訳、みすず書房) 2004
アントニオ・グラムシ
ジャンバッティスタ・ヴィーコ
- 『学問の方法』(ジャンバッティスタ・ヴィーコ、佐々木力共訳、岩波文庫) 1987
- 『イタリア人の太古の知恵』(ヴィーコ、法政大学出版局、叢書・ウニベルシタス) 1988
- 『新しい学』(ヴィーコ、全3巻:法政大学出版局、叢書・ウニベルシタス) 2007 - 2008/新編・全2巻(中公文庫) 2018
- 『ヴィーコ自伝』(ヴィーコ、平凡社ライブラリー) 2012
- 『新しい学の諸原理 一七二五年版』(ヴィーコ、京都大学学術出版会) 2018
- 『普遍法』編訳・註解(ヴィーコ、ぷねうま舎) 2022 - 「新しい学」実質上の第一稿
カルロ・ギンズブルグ
- 『夜の合戦 16-17世紀の魔術と農耕信仰』(カルロ・ギンズブルグ、みすず書房) 1986
- 『裁判官と歴史家』(カルロ・ギンズブルグ、堤康徳共訳、平凡社) 1992/ちくま学芸文庫 2012
- 『歴史・レトリック・立証』(カルロ・ギンズブルグ、みすず書房) 2001
- 『歴史を逆なでに読む』(カルロ・ギンズブルグ、みすず書房) 2003
- 『ミクロストリアと世界史 歴史家の仕事について』編訳(カルロ・ギンズブルグ、みすず書房) 2016
- 『政治的イコノグラフィーについて』(カルロ・ギンズブルグ、みすず書房) 2019
- 『それでも。マキァヴェッリ、パスカル』(カルロ・ギンズブルグ、みすず書房) 2020
- 『恥のきずな 新しい文献学のために』編訳(カルロ・ギンズブルグ、みすず書房) 2022
- 『どの島も孤島ではない イギリス文学瞥見』(カルロ・ギンズブルグ、みすず書房) 2023
- 『自由は脆い』(カルロ・ギンズブルグ、みすず書房) 2024
ジョルジョ・アガンベン
- 『アウシュヴィッツの残りのもの - アルシーヴと証人』(ジョルジョ・アガンベン、廣石正和共訳、月曜社) 2001、新装版 2022
- 『残りの時 - パウロ講義』(ジョルジョ・アガンベン、岩波書店) 2005
- 『瀆神』(アガンベン、堤康徳共訳、月曜社) 2005、新装版 2014
- 『幼児期と歴史 - 経験の破壊と歴史の起源』(アガンベン、岩波書店) 2007
- 『例外状態』(アガンベン、中村勝己共訳、未來社) 2007
- 『いと高き貧しさ - 修道院規則と生の形式』(アガンベン、太田綾子共訳、みすず書房) 2014、新装版 2022
- 『到来する共同体』(ジョルジョ・アガンベン、月曜社、叢書エクリチュールの冒険) 2012、新装版 2015
- 『身体の使用 脱構成的可能態の理論のために』(ジョルジョ・アガンベン、みすず書房) 2016
- 『哲学とはなにか』(ジョルジョ・アガンベン、みすず書房) 2017
- 『実在とは何か マヨラナの失踪』(アガンベン、講談社選書メチエ) 2018
- 『カルマン 行為と罪過と身振りについて』(アガンベン、みすず書房) 2022
論文
脚注