マリオ・プラーツ(Mario Praz、1896年9月6日-1982年3月23日)は、イタリア人の美術史家、文学研究者。
経歴
1896年、イタリア・ローマに生まれる。ローマ大学法学部と文学部を卒業し、1923年にイギリスへ留学滞在してリヴァプール大学とマンチェスター大学でイタリア文学を講義。1934年ローマに戻り、1966年までローマ大学の英語・英文学科教授をつとめた。若き日はアビ・ヴァールブルクと親交があった。
著書はイギリス文学研究を始め、ジェーン・オースティン『エマ』他多数のイタリア語訳、イタリア・ルネサンス関係等の美術評論など、数十冊を刊行している。
ルキノ・ヴィスコンティ監督『家族の肖像』(1974年公開)で、主人公たる老教授のモデルとされている。
受賞・栄典
没後の顕彰
- 1995年にローマの邸宅は「マリオ・プラーツ美術館」(MUSEO MARIO PRAZ)として開館[1]した。
ローマのマリオ・プラーツ博物館について、トルコ人作家のオルハン・パムクは、これまで見た中で最も美しい博物館[2]と称えている。
著書(日本語訳)
- 上村忠男、広石正和、尾形希和子、森泉文美訳 - ※下記・ありな書房版は別訳
- ※以下は全て「ありな書房」での刊行
- 『蛇との契約 ロマン主義の感性と美意識』 浦一章訳、2002年
- 『ペルセウスとメドゥーサ ロマン主義からアヴァンギャルドへ』 末吉雄二、伊藤博明訳、1995年
- 『ローマ百景 I 建築と美術と文学と』 伊藤博明、浦一章、白崎容子訳、2009年
- 『ローマ百景 II 建築と美術と文学と』 伊藤博明、上村清雄、白崎容子訳、2006年
- 旧版『ローマ百景 建築と美術と文学と』 1999年 - 選書判
- 『ムネモシュネ 文学と視覚芸術との間の平行現象』 高山宏訳、1999年 - 「記憶の女神~」は別訳[3]
- 『官能の庭 マニエリスム・エムブレム・バロック』 若桑みどり・森田義之・白崎容子・伊藤博明・上村清雄訳、1992年
- 『マニエーラ・イタリアーナ ルネサンス・二人の先駆者・マニエリスム 官能の庭Ⅰ』 2021年5月
- 『ピクタ・ポエシス ペトラルカからエンブレムへ 官能の庭Ⅱ』 2022年5月
- 『ベルニーニの天啓 一七世紀の芸術 官能の庭Ⅲ』 2022年3月
- 『バロックの宇宙 官能の庭Ⅳ』 2022年8月 - ※分冊での改訂新版(新保淳乃・改訂訳)
- 『フランチェスコ・ピアンタの奇矯な彫刻 エンブレムのバロック的表象』 伊藤博明訳、2008年
- 『綺想主義研究 バロックのエンブレム類典』 伊藤博明訳、1998年。2分冊
- 『パリの二つの相貌 建築と美術と音楽と 碩学の旅Ⅰ』 伊藤博明、金山弘昌、新保淳乃訳、2023年5月
- 『オリエントへの旅 建築と美術と文学と 碩学の旅II』 同上、2023年8月
- 『ギリシアへの序曲 建築と美術と文学と 碩学の旅III』 同上、2023年10月
- 『古都ウィーンの黄昏 建築と美術と文学と 碩学の旅IV』 同上、2024年4月
- 『ピクチャレスクなスペイン-五角形の半島Ⅰ 建築と美術と文学と 碩学の旅Ⅴ』 同上、2024年8月
- 〔論文〕- 数十年前の刊行につき絶版。
洋書
プラーツを編集主幹とするローマ発の英文学研究の定期刊行誌『English Miscellany イングリッシュ・ミセラニー』
1950年から約30年間の英語論文と、プラーツ自身によるイタリア語論文を収録した文献。別冊は監修者による和文解説。
脚注
- ^ 〈翻訳者によるマリオ・プラーツ美術館ガイド〉も参照。
- ^ Pamuk, Orhan (2010). The Museum of Innocence. New York: Vintage. pp. 513. ISBN 978-0-307-38624-3
訳書は『無垢の博物館』(上下)、宮下遼訳、早川書房、のちハヤカワepi文庫、2022年。
- ^ 美術出版社・前川訳を批判し、新訳版を刊行
- ^ 1960年9月、ベラージョでのヨーロッパ・アメリカ合同学会シンポジウム報告
関連人物
日本への影響・評価