ワルラス級潜水艦
ワルラス級潜水艦(ワルラスきゅうせんすいかん、英語: Walrus class submarine)は、オランダ海軍の通常動力型潜水艦。 設計ワルラス級潜水艦は、十字型に組み合わされた潜横舵と縦舵のかわりに、X字型に組み合わされた潜横舵と縦舵を装備する潜水艦である。この艦尾の配置は、最初1960年にアメリカ海軍の「アルバコア」で試験された。その後、実用化されたものはワルラス級のほか、シェーオルメン級以降のスウェーデン海軍のすべての潜水艦、オーストラリア海軍のコリンズ級、ドイツ連邦海軍の212A型、海上自衛隊のそうりゅう型、たいげい型が存在する。 ワルラス級は冷戦期のNATOにおいて高い需要があったが、それというのもワルラス級に高度な技量をもつ乗員ときわめて静粛な潜水艦が組み合わされていたからである。当時、NATOの潜水艦の大半は原子力潜水艦か、または沿岸型の潜水艦であり、ワルラス級は希少な現役の外洋型のディーゼル・エレクトリック潜水艦であった。 運用史冷戦後、ワルラス級は、ユーゴスラビア、イラク、およびカリブ海において多くの機密情報収集作戦に従事した。2002年9月から12月まで、1番艦のワルラスは不朽の自由作戦に参加し、アラビア海およびペルシャ湾において通信情報収集の役目を果たした。 2010年6月、オランダはソマリア沖の海賊対策の支援のため潜水艦1隻を展開させることに同意した。ありうる任務には信号情報収集、すなわち沿岸に接近し、海賊の無線通信を傍受し、海賊の船舶を追尾することが含まれている。 性能向上改修2007年、オランダ内閣は、ワルラス級4隻の性能向上と全体的な運用可用性の向上のために乗員を追加することを承認した。1億ユーロを投じて性能向上を図るプログラムは2008年に発表された[1]。性能向上は沿岸域作戦と新しい兵装に焦点を当てている。これらには、現状のMk48 mod-4 魚雷から、アメリカから導入した同魚雷のmod-7 版に置き換えることや、1本の潜望鏡をL-3 KEO社製の船殻非貫通型光学マストに置き換えることが含まれており、光学マストにより、潜水艦には昼夜をとわずHD画像を撮影する能力が備わることになる。さらに、耐圧船殻への耐腐食処置、ソナー・スイートのアップグレード、および新しい戦闘管理システムが加わることといった改良により、ワルラス級は少なくとも2025年まで作戦行動に従事することになる[1]。 後継艦2019年12月に、オランダ海軍はワルラス級の後継艦4隻の整備計画を発表し、候補をバラクーダ型潜水艦(ナバル・グループ、フランス)とA26NL型潜水艦(コックムス、スウェーデン)、212CDE型潜水艦(ティッセンクルップ、ドイツ)に絞った。2022年11月には3社に対して最終提案を求める文書が送られた[2]。2024年3月にはオランダ国防省からフランスのバラクーダ型潜水艦が選定されたことが発表された[3]。 同型艦4隻ともen:Rotterdamsche Droogdok Maatschappijで建造された。
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脚注出典
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