ワタセジネズミ
ワタセジネズミ(渡瀬地鼠、学名:Crocidura watasei)は、真無盲腸目トガリネズミ科ジネズミ属に属する哺乳類である。日本固有種であり、奄美群島と沖縄諸島に広く分布している。沖縄方言では、ビーチャーと呼ばれる(ただし、ジャコウネズミも含む)。 なお、和名および種小名watasei は、世界の生物地理区における旧北区と東洋区の境界線である「渡瀬線」を提唱した、渡瀬庄三郎への献名である。1924年(大正13年)当時、「日本哺乳動物學會」会員でもあった黒田長禮によって記載・命名された。 分布日本の奄美群島と沖縄諸島にのみ分布する「中琉球固有種」であり、生息が確認されている島は下記のとおりである。 形態頭胴長は55-75mm、尾長は37-60mm、体重は3.7-7.3gである。背面は暗灰褐色、腹面は淡灰褐色の体毛を持ち、腹面はまれに黄味を帯びる。尾が長く、頭胴長の約7割ほどの長さになる。尾の根本側半分ほどまでまばらに長毛が生え、残りの先端にかけて鱗状の皮膚が露出する。同所的に生息するジャコウネズミ Suncus murinus に比べ、体が一回り小さく、尾が細長い。 生態平地から丘陵地に生息する。サトウキビ畑や林縁の草地などで採集されることがある。主に昆虫やクモ類などを食べる。繁殖期は周年で、1回あたりに1-4匹の子を産む。移動の際には親子が尾をくわえ一列になる「キャラバン行動」を行う。 分類と近縁種黒田長禮によって独立種として記載されたが、のちにスリランカなどに分布するオナガジネズミC. horsfieldiiの亜種C. h. wataseiとされることもあった[4]。現在は頭骨の形状や染色体数の違いから、独立した種とされている。また、核型やミトコンドリアDNAの系統解析を基にした研究から、他のジネズミ属 Crociduraよりもジャコウネズミに近縁であることがわかっている[5]。 また、奄美群島には同属のオリイジネズミ C. oriiが生息しており、草原性の本種に対し、森林性であると考えられている。 保全状態評価
ジャワマングースやニホンイタチ、ノネコなどの移入種により捕食されていることがわかっている。 脚注
参考文献
関連項目外部リンク |
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