ローカルアイドル
ローカルアイドルとは、地元[† 1]を本拠地として活動するアイドルのことである。「ご当地アイドル」「地方アイドル」「ロコドル」などとも呼ばれる[2]。 概要ローカルアイドルは、特定地域に拠点を置き、その地域に根ざした活動を行うアイドルやアイドルグループの総称をいう[3]。全国各地のまちおこしは特産品が主流であったが、それがメディア文化に変わり、一つの方策としてアイドル路線が浮上した[4]。2000年代半ば頃からブームとなり、日本全国で誕生した[3]。運営主体は芸能事務所のほか、芸能に関連しない民間企業、商工会議所青年部などの公共的団体や公共団体、NPOやボランティアの団体などの場合がある[5]。 その結成・活動の目的は主に「地域の活性化」が挙げられる[6]。地域を活性化させ、多くの人をその地域に呼び、魅力を訴えることがローカルアイドルの基本である[6]。地域を拠点に活動していくため、地元のイベントなどに積極的に出演し、地域色を押し出すことでメジャーアイドルに対抗する[6]。中央のアイドルにはないフットワークの軽さで、地域と密な関係を構築し、全国へと人気を拡大していくというのがローカルアイドルのスタイルである[7]。 地方を拠点にしているため、ファンが拡大していくには限界があるが、実際には拠点都市の規模を超えた人気を得ているグループは多い[8]。その背景には動画共有サイトやX(旧・Twitter)、Facebook、Instagram、およびアメーバブログなどによる情報配信がある[8]。中には全国区レベルの認知度を誇るグループも存在する[9]。グループのメンバーが、大手事務所に移籍して活躍するというパターンも多くなっている[10]。 日本ご当地アイドル活性協会が2024年2月1日に発表した数によると東京都を除く男女のアイドルは2,913組。2024年3月6日放送のテレビ朝日「くりぃむクイズ ミラクル9」のクイズ問題に出題された[11]。 日本ご当地アイドル活性協会の金子正男代表によると「イベント集客に欠かせないコンテンツBIG4」として、①ご当地アイドル ②B-1グランプリ ③ご当地ヒーロー ④ゆるキャラ を定義している[12]。 名称
定義ご当地アイドル(ソロやグループ内ユニットも含む)の条件は主に3つ[16]。
傾向と数の推移ローカルアイドルの主な収入源は、ライブのチケット代、CDの売り上げ、イベント出演料などである[18]。中には、ギャラ無しで活動するグループもある[19]。 ジャーナリストの竹内一晴によるとファン層は概ね男性が9割を占め、30-40歳代といった団塊ジュニア世代付近が8割をしめる。一方で20歳代未満は少ないとされる[20]。 経済学者の田中秀臣は、物語消費の世界ではアイドルの成長していく姿がファンの喜びであり、これは日本人男性の伝統的な傾向で、紫式部の『源氏物語』にもその典型が見られ、『源氏物語』では主人公の中年男性が若い少女を理想の女性に育てていく喜びが記述されているとしている[21]。田中は、日本のアイドルはもともとヨーロッパのアイドルの模倣で始まったものであり、独自に進化してきたものであるとしている[22]。田中は、ヨーロッパにも未成熟な少女たちの「成長物語」を楽しむ風土があり、その点が日本と共通しているとしている[22]。ちなみに原宿系アイドル、「kawaii」ファッションのファンの中心は十代の若い女性であり、「成長物語」はないとしている[23]。 ライターの村山義典は、東京のアイドル業界はCDの売り上げやライブの動員数などの数字を目標にしていたため、次第にファンは疲弊してきた[24]。ローカルアイドルは地域振興という軸があるので、数字競争ではなく挑戦的な独自路線を進めると述べている[24]。
ご当地アイドル殿堂入り2012年に設立された日本ご当地アイドル活性協会では、結成10年もしくはオリコンウィークリー1万枚セールスの基準を満たしたご当地アイドルを「ご当地アイドル殿堂入り」として表彰している[40][41]。殿堂入りしたご当地アイドルは、2023年4月29日時点で101組になる[42]。 ご当地アイドル神8(ご当地アイドル四天王)日本ご当地アイドル活性協会では、2023年から毎年1回、『ご当地アイドル』殿堂入りの中で活動実績が豊富・メジャーどころに引けを取らない人気・知名度を有する4団体を認定し、全国各団体の目標となることを願い発表している[43]。 2025年から新たに『準ご当地アイドル四天王』を設立。2つの四天王8アイドルを合わせて『ご当地アイドル神8』と呼称することとなった[44]。 ご当地アイドルセレクト10日本ご当地アイドル活性協会では、上半期(6月末)、下半期(12月末)に分けて、今後活躍が期待される『ご当地アイドル』10組を独自の基準で選出している。メンバーの入れ替えなどの理由で、後述する「りんご娘」のように既に殿堂入りしたグループが選ばれることがある[45]。 ご当地アイドル肩書きランキング日本ご当地アイドル活性協会では、肩書き数を発表している。「観光大使」「親善大使」「広報大使」「ふるさと大使」「イメージガール」「1日警察署長」「1日店長」など肩書きは様々である。2020年12月21日現在、2,088組のご当地アイドルのうち145組のご当地アイドルが445の肩書きを所有する(東京都を除く)。当時の第1位は肩書き数48個の神奈川県川崎市ご当地アイドル「川崎純情小町☆」、第2位は肩書き数33個の愛知県大須商店街ご当地アイドル「OS☆U」であった[46]。 経済との関係田中秀臣は、若者の地方回帰による地方アイドルの出現は「デフレカルチャーの構造化」を背景にしたものだとしている[47]。 市場規模田中秀臣は、人口規模とそれが創出する市場という視点で見れば、30万人では足りない印象であり、福岡や仙台など100万人クラスの都市にならないと、ローカルアイドルが十分な活動をその地域の需要だけで行うのは難しい状況であるとしている[48]。 ローカルアイドルの場合、活動の基盤となるファン数が少ないため、一人ひとりのファンの需要動向に市場全体が大きく左右されることになり、ファンの少数が離れるだけで市場全体がなくなる危険性を孕んでいる[49]。 アイドル1人に集中投資するのではなく、多人数に分散投資して事業リスクを下げている[50]。 田中秀臣は、アイドル同士の攻防は必ずしもゼロサムゲームではなく、ファン層によって棲み分けたり、相乗効果で市場を大きく拡大していったりすることもありえるとしている[51]。 逆ストロー効果田中秀臣は、地域経済学では、地方の中核都市が新幹線・高速道路で東京・大阪など大都市と結ばれると、便利になるのと裏腹に人が首都圏に移動してしまうというマイナスの経済効果が生まれることが知られているが(ストロー効果)、アイドル市場においては、首都圏からファンを吸い寄せる「逆ストロー効果」という逆の現象が起きる可能性があるとしているが[52]、一方でご当地アイドルは、それほどの雇用を生み出せないし、日本全体で考えたらゼロサムでしかないとしている[53]。 社会学者の仲川秀樹は、地方発というのことは、中央に目を向ける地元民に認知される機会が少なく、マイナーという見地から批判の対象にされやすいが、逆にポピュラーカルチャーの動きが加速されているのも事実であるとしている[54]。仲川は、中央の人々が周辺としての地方に目を向け、そのアイドルを選択することも多いとして、中央から地方を目指している人も増えているとしている[55]。 各地域のグループ北海道→詳細は「Category:北海道のローカルアイドル」を参照
東北地方→詳細は「Category:東北地方のローカルアイドル」を参照
関東地方→詳細は「Category:関東地方のローカルアイドル」を参照
中部地方→詳細は「Category:中部地方のローカルアイドル」を参照
近畿地方→詳細は「Category:近畿地方のローカルアイドル」を参照
中国地方→詳細は「Category:中国地方のローカルアイドル」を参照
四国地方→詳細は「Category:四国地方のローカルアイドル」を参照
九州地方→詳細は「Category:九州地方のローカルアイドル」を参照
関連作品ローカルアイドルを描いた作品には以下のものがある。
脚注注釈出典
参考文献
関連項目
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