レッド・カーペット・マサカー〜美しき深紅〜
『レッド・カーペット・マサカー〜美しき深紅〜』(原題:Red Carpet Massacre)は、イギリスのロック・バンド、デュラン・デュランが2007年に発表した、カヴァー・アルバムも含めれば通算12作目のスタジオ・アルバム。 背景バンドは当初、『アストロノート』(2004年)に続く新作として、よりダークで政治色の強いアルバム『Reportage』の制作を進めており、ニック・ローズによればイラク戦争やアフガニスタン紛争といった、世界の混乱に対する不満を反映した内容だったという[11]。それに対して、レーベル側はヒットを狙える曲がないことを危惧し、バンドは梃入れのため、一部の曲でティンバランドを共同プロデューサーとして招くことにした[11]。しかし、その方針に賛同できなかったギタリストのアンディ・テイラーが脱退を表明[12]。最終的には『Reportage』の制作は棚上げとなり、バンドはティンバランドの人脈を迎えて、一からアルバムを作り直した[11]。なお、ローズは本作リリース後の2008年、『Reportage』に関して「いつか発表したいと思っている。とても面白いアルバムで、鋭角的かつインディー・ロック色が強くて、明らかに俺達の初期のルーツに立ち返っているからね」と語っている[13]。また、ジョン・テイラーは2011年、ティンバランドの起用はレーベル主導だったと主張しており、「とんでもない悪夢だった」「同時期にアンディが出て行ったこともあって、ティンバランドの音作りは、以前の俺達と全然違う物になった」とコメントしている[14]。 収録曲「ナイト・ランナー」と「フォーリング・ダウン」の制作には、ティンバランドのプロデュースでデビューしたミュージシャン、ジャスティン・ティンバーレイクが貢献した[15]。サイモン・ル・ボンによれば、本作からのリード・シングルとなった「フォーリング・ダウン」に関しては、ティンバーレイクはデュラン・デュランが1993年に発表した曲「オーディナリー・ワールド」のテンポや感触を意識していたが、バンド側はティンバーレイクのヒット曲「ワット・ゴーズ・アラウンド.../... カムズ・アラウンド」的な要素を取り入れることにしたという[15]。 2006年10月26日に開始されたアメリカ・ツアーでは、ドム(ドミニク)・ブラウンがサポート・ギタリストに起用されており、その時点では本作のタイトルは未定だった[16]。 日本盤に関しては、2007年9月の時点では同年11月7日に発売予定と報じられたが、その後11月21日に延期され、最終的には再度12月5日まで延期された[2]。 反響バンドの母国イギリスでは、先行シングル「フォーリング・ダウン」が2007年11月24日付の全英シングルチャートで52位となるが、翌週にはトップ100圏外に落ちた[17]。そして、本作は全英アルバムチャートで3週トップ100入りするが、最高44位に終わった[6]。 イタリアでは「フォーリング・ダウン」がシングル・チャートで2位に達し、本作は同国のアルバム・チャートで10位を記録した[3]。アメリカのBillboard 200では36位に達し、前作『アストロノート』(2004年)に引き続き全米トップ40入りを果たした[4]。 評価Matt Collarはオールミュージックにおいて5点満点中3.5点を付け「興味深いことに、ボーカリストのサイモン・ル・ボン、キーボーディストのニック・ローズ、ベーシストのジョン・テイラー、ドラマーのロジャー・テイラーといったオリジナル・ラインナップ(ギタリストのアンディ・テイラーはレコーディング前に脱退)は、ザ・キラーズのように分かりやすいネオ・ニュー・ウェイヴへ向かうのではなく、ネイト・"ダンジャハンズ"・ヒルズやティンバランドといった現代的なダンス・ポップ系プロデューサーと組み、鋭角的でクラブ指向のルーツに立ち返ったのみならず、ジャスティン・ティンバーレイクやネリー・ファータドといったティンバランド人脈の現代的アーティストにも匹敵するほど、ラジオでもかかりやすいサウンドへのアップデートを行った」と評している[18]。Caroline Sullivanは『ガーディアン』紙のレビューで5点満点中3点を付け「グループはキーボーディストのニック・ローズが言うところの『グルーヴの要素』に注力して、その結果、彼らの作品の中でもより冒険的な一枚となり、グルーヴという意味では充実しているが、彼らの大ヒット曲の背景にあったメロディアスさには欠けている」と評している[19]。また、John BergstromはPopMattersにおいて「デュラン・デュランの作品の中でも、特に良い曲のコレクションの一つ」とする一方「全くデュラン・デュランらしくないアルバム」「『彼らがニュー・ウェイヴのルーツに立ち返った』と持ち上げられているが、実際にはデュラン・デュランの優れたアルバムをリミックスしたかのように響き、それ故、単に良いアルバムでしかなくなった」と評している[1]。 収録曲特記なき楽曲は作詞がサイモン・ル・ボン、作曲がデュラン・デュランとネイト・ヒルズの共作による。
日本盤ボーナス・トラック
デラックス・エディション盤DVD7.は日本初回生産限定盤のみ収録のボーナス映像である[20]。
参加ミュージシャンアディショナル・ミュージシャン
脚注
外部リンク
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