レイジー・レスター(Lazy Lester、1933年6月20日 - 2018年8月22日[3])は、アメリカ合衆国のブルース・シンガー、ハーモニカ奏者である。本名レズリー・カースウェル・ジョンソン。1950年代よりエクセロ・レコードで活躍した。ニューヨーク・タイムズは彼を「スワンプ・ブルースの創設者」と称賛している[4]。
来歴
レイジー・レスターは、1933年6月20日、ルイジアナ州トーラスに生まれた[3]。バトンルージュ郊外のスコットランドヴィルで幼少期を過ごした彼は、兄からギターを教わった[5]、続いてハーモニカも覚え、ジミー・リードやリトル・ウォルターに影響を受けながら腕を磨いた[3]。間もなく自身のバンド、リズム・ロッカーズを率いてハイスクールのダンス・パーティーに出演するようになった[5]。
エクセロでの活躍
転機が訪れたのは1950年代半ばのこと。バスでライトニン・スリムの隣に乗り合わせ、彼と知り合うことになった。スリムのハーモニカ奏者として活動することになったレスターは、スリムからエクセロ・レコードのプロデューサー、J.D.ミラーを紹介された。芸名「レイジー・レスター」は、ミラーがのんびり屋な性格の彼を見て名付けたものであった[6]。
エクセロではスタジオ・ミュージシャンとして重宝され、ライトニン・スリムはもちろんのことケイティ・ウェブスター、スリム・ハーポなどのセッションでも演奏している[6]。間もなく、自己名義の作品も制作するようになり、1956年にエクセロよりシングル「I'm Gonna Leave You Baby」でデビューを果たした[7]。
音楽活動からの一時引退
1958年にはキンクスのカヴァーで知られる「I'm A Lover Not A Fighter」を発売[6]。1960年代に入ってもエクセロよりシングルを発表し続けるが、レコードの収入が少ないことに嫌気が指し、1967年のエクセロのアルバム『True Blues』を最後に音楽活動から離れた[4]。ルイジアナ州を離れシカゴに移住し、一度南部に戻ったのち、先に移住していたライトニン・スリムを追いかける形で、ミシガン州ポンティアックに移り住んだ[4][5]。引退後は様々な職を転々とし、スリム・ハーポの妹と結婚している[5]。
カムバック
その後もデトロイトでギグを行なうこともあったものの、本格的な復活は1987年まで待つこととなった。同年イギリス・ツアーを敢行。ブルー・ホライズン・レコードより20年ぶりの新譜『Lazy Lester Rides Again』をリリースした。翌年には米国のアリゲーター・レコードから『Harp & Soul』をリリース。活動を完全に再開させる形となった[6]。
その後はアントンズ・レコードなどからも新譜をリリース。2000年には日本公演も行なった[8]。
2015年には、ミシシッピ州、ルイジアナ州のブルース・シーンを紹介する音楽映画「I AM THE BLUES アイ・アム・ザ・ブルース」に出演(日本公開は2018年)[9][10]。2018年には米国の保険会社ガイコのCMに出演した[11]。
死去
晩年まで活動は続いていたが、2018年8月22日、長年住んでいたカリフォルニア州パラダイスの自宅にて85歳で死去した。胃がんで闘病中だった[12]。
ディスコグラフィー
[13][14][1]
アルバム
- 1967年『True Blues』(Excello)
- 1987年『Lazy Lester Rides Again』(Blue Horizon)
- 1988年『Harp & Soul』(Alligator)
- 1998年『All Over You』(Antones)
- 2001年『Superharps II』(Telarc) ※キャリー・ベル、レイフル・ニール、スヌーキー・プライアーとの共作
- 2001年『Blues Stop Knockin' 』(Antone's)
- 2010年『One More Chance』(Karonte/Cambaya)
- 2011年『You Better Listen』(Bluestown)
- 2020年『Yes Indeed!』(Tempo) ※ベノワ・ブルース・ボーイ、ゲラント・ワトキンスとの共作
編集盤
- 1971年『Made Up My Mind』(Blue Horizon)
- 1976年『They Call Me Lazy』(Flyright)
- 1979年『Poor Boy Blues』(Flyright)
- 1989年『Lazy Lester』(Flyright)
- 1994年『I'm A Lover Not A Fighter』(Ace)
- 1994年『I Hear You Knockin'! - The Excello Singles』(Excello)
- 2016年『Some Say He's Lazy...Some Say He’s Crazy!』(Minigroove)
- 2017年『I'm A Lover Not A Fighter (The Complete Excello Records Singles 1956-1962)』(Jasmine)
シングル盤
年
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曲名
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レーベル名
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レコードNo.
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1956年11月
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「I'm Gonna Leave You Baby」 「Lester's Stomp」
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Excello
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45-2095
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1957年6月
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「Go Ahead」 「They Call Me Lazy」
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Excello
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45-2107
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1958年1月
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「I Told My Little Woman」 「Tell Me Pretty Baby」
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Excello
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45-2129
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1958年9月
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「I'm A Lover, Not A Fighter」 「Sugar Coated Love」
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Excello
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45-2143
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1959年4月
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「I Hear You Knockin' 」 「Through The Goodness Of My Heart」
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Excello
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45-2155
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1959年9月
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「I Love You, I Need You」 「Late Late In The Evening」
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Excello
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45-2166
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1960年8月
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「Bye Bye Baby, Gonna Call It Gone」 「A Real Combination For Love」
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Excello
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45-2182
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1961年2月
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「You Got Me Where You Want Me」 「Patrol Blues」
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Excello
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45-2197
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1961年11月
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「Whoa Now」 「(I'm So Glad) My Baby's Back Home」
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Excello
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45-2206
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1962年8月
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「If You Think I've Lost You (You're Wrong As Can Be)」 「I'm So Tired」
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Excello
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45-2219
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1963年4月
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「Lonesome Highway Blues」 「I Made Up My Mind」
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Excello
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45-2230
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1963年6月
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「You're Gonna Ruin Me Baby」 「Strange Things Happen」
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Excello
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45-2235
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1964年1月
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「A Word About Woman」 「Could Happen To You」
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Excello
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45-2243
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1966年
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「Take Me In Your Arms」 「You Better Listen (To What I Said)」
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Excello
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45-2274
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1966年
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「Pondarosa Stomp」 「Because She's Gone」
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Excello
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45-2277
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脚注
外部リンク